山野
2025-07-12 00:57:34
9109文字
Public
 

【二次創作/夢小説】いいこでいたいだけなのに

2024年9月のアリスソフトオンリー「アリス万博2024」で発行した、
ドーナドーナのネームレス夢小説本「いいこでいたいだけなのに」の再録です。
ネームレスな夢ヒロインちゃんは女子学生設定で、お相手はムラサキ。
なんだけど普通にシオンにもエロいことされます。
※ばりばり18禁です。18歳未満の閲覧を禁じます。


 ――少女はその行為が違法性の高いものであることを、もちろん知っていた。
 もし己が捕まれば、あの心配するフリが上手な母も、不倫をするようになってから家族に興味がなくなった父も、生意気な妹も全員まとめて「非正規」だろう。ざまーみろだよ、と思う。思うがそのためではない。
 世間や家庭に中指を立て、ついでに小遣い稼ぎがしたいというだけなら、少女のしていることは割に合わないどころの話ではなかった。彼女には自分を囲む社会への反抗と遊ぶ金欲しさ以外に、厄介で明確な目的があった。



「おほぉ、すごいね、この店、美人揃いだって噂だったけどホントだね」
「私、美人、かな……
「うん、すっごく俺好みだよ。JK、美人で、髪が長くて、胸は大きいほうがイイってリクエストしたんだけど、こんなにドンピシャな子が来るなんてさ」
(それ、別に私に言わなくてもいいと思うんだよね……
 少女は内心苦笑いしつつも、決して表には出さない。膝が見える丈に調節したセーラー服のスカートを握りしめ、内股に揃えた脚の上できゅっ、きゅっ、とせわしなく動かしてみせた。ぱっと見サラリーマンといったふうの男は、その仕草に胸を掴まれたようだった。
「あっ、服……上着……
 ターゲットが己の術中にハマッたのを確認し、少女はわざとらしく彼のスーツの胸元に触れた。
「ぬ、脱がせ……ます」
「あぁ、いいんだよいいんだよ」
 男はもう、すっかり気を許している。自分の手でさっと上着を脱ぎ、さらにはわざわざ立ち上がって部屋の隅のハンガーラックまで歩いた。せっかちではないようで、シャツとズボンは脱がないままベッドに戻ってくる。
「全然慣れてないんだね」
……ごめんなさい」
「いや、いや、いいんだよ。今のは褒めたんだ」
 満面の笑みだった。品定めの末の偏見(それもハズレ)が、目の前の女に「称賛」として伝わると、信じて疑わない顔をしていた。
(慣れてない女が、抗亜が元締めしてるお店でハルウリしてるわけないでしょ……
 呆れる。がしかし、それを馬鹿にはしないと決めていた。彼らはただ若い女の体を求めているのではなく、それに薄くまとわりついた夢とか、嘘っぽいけど本当って感じの物語を買いにきている。その必死さといじらしさは少女からしたら笑いごとではない。なにより相手を馬鹿だと思ってする仕事は、己の精神を著しくすり減らすと知っていた。奉仕するんだ。癒しを提供するんだ。私はこの人たちにとって、エッセンシャルワーカーなんだ……自分のすることを慈善だと思うことによって、少女は巧妙に「ぴえんでぱおん、メンタル病み病みでパキりたくなる」という、この職業の女たちにありがちな状態を避けていた。これは誰かに教わったわけではなく、彼女が独自にたどり着いた処世術だった。



(ホントは言われてるんだけどね。立ったままおじさんのスーツ上手に脱がす方法とか、ズボン脱ぐときは正座して、靴脱いだ相手の脚を私の太ももに乗せてやれとかさ)
 ハルウリ、もっと言えばこの「フラット」の管理する店での接客時のマナーは、連れてこられたときに叩き込まれていた。だが、少女はその場では物わかりのいい顔をしておきながら、それを堂々と無視した。もちろん相手が判で押したようなセッキャクを望みそうな人間だと察したらそうしたが、だいたいはそうではなかった。
 あえてうつむき加減に喋り、たどたどしく服を脱がせ、手も口も秘唇も、相手が「して」と言うまで提供しなかった。だがそれが爆発的にウケた。「××って店に超美人で処女みたいなJKがいる」という噂は、お疲れでロリコンなリーマンにたちまち広がった。なんと言っても、本物の処女と違って、この娘の「処女性」は何度会っても、いくらヤッても目減りすることがない。いつでもフレッシュな反応が返ってくる夢みたいな半処女。少女は今ではリピーターの絶えない、フラットのハルウリ組織の中でも指折りのエースだった。
……ふふ」
 少女は小さく笑った。嘲笑ではない。たまに待機所で顔を合わせるすれた女学生が「客ってどうしてあんなに馬鹿なんだろう」と言っているのを聞いた。それに対して彼女は、別に客へのフォローではなく、ただ事実として「あなたが思っているほど馬鹿じゃないと思う」と考える。たとえば娘の固定客にしたって、さすがに五回も通えば「夢みたいな半処女」のカラクリというか、それが彼女のお仕事スタイルなのだということが見えてくるだろう。だが彼らはそこを演技なんだろ、なんて責めはしない。それは「目が節穴」なのではなく「問い詰めるだけ無駄だし興味ない」だけなのだと娘は解釈していた。嘘でも仕事でも笑顔で頷いてくれて、恥ずかしそうにチンポをしゃぶってくれる女が好きなのだ。嘘でいいのだ。上手く嘘をついてくれる女を、激務で疲弊した男たちは求めていた。それは嗤うどころか、本当に悲しく、同情すべきなようにも思える。
 だからあざ笑うことはしなかった。少女が微笑むのは、これから巡り会える人に思いを馳せてのことだ。憧れのムラサキさんを考えての、可愛いにやけ笑いだった。



 ――漠然とハルウリをさせられている女、というのが、信じがたいが存在する。自分がなにに加担していて、稼いだ金の半額ほどがどこへ流れていっているのか知らない子たち。無知は罪なりだ、と少女は考える。
 亜総義に抗おうとする反社会的組織が実在し、彼らは活動資金調達として若い女にハルウリをさせている、なんて実に単純なことを知らされないまま、回転寿司のレーンに乗せられて、お客に取られて舐め尽くされ、またレーンに戻される哀れな女学生たち。
 しかしそれがフラットのやり方だった。馬鹿な女子供に「僕たちは抗亜、フラットというクランで、反社活動として君たちに体を売らせます」なんて説明する義務も義理もない。少女の大半は「シオンお姉さんが紹介してくれた秘密のバイト」という認識でいる。この娘のように、組織の真の目的に近づいた存在のほうが少ない。



「ムラサキさんっ」
 顔面に悪趣味なメイクを施した男が扉を開いた瞬間、少女は彼が止めるのもかまわず、フラットのアジトに転がり込んだ。
 ソファに腰かけた長身痩躯の男――ムラサキは、白塗りの化粧で本音の見えづらい顔を上げた。
(やっぱり格好いいっ。ムラサキさんが一番格好いいっ)
 フラットの男たちは、みな彼に倣ってか道化のように顔を塗っている。娘はそれを滑稽だし、ブキミだと感じていた。だがそれがムラサキになると途端に「格好いい」と思えてしまう。
(目が大きいから? 鼻が高いからかな? 顔が長めだから?)
 いくら考えてもわからない。わからないが、とにかくこの少女は――ムラサキのことが好きでたまらなかった。
「来たか。お前は下がれ」
 節くれ立った指をわざとらしく振って、ムラサキは少女の後ろにぴたっとくっついていた男を追い払う動きをした。彼は黙って従い、恭しく頭を下げた後に静かに扉を閉めた。室内には、ムラサキと少女のふたりだけが残った。
「来い」
 フラットのボスは、さっきは横柄に人払いをした手で、逆に少女を招いた。少女は胸がいっぱいになった。演技でもなんでもなく本心で、ギュッと両手を合わせ、嬉しさで涙までにじむ瞳を軽く瞑る。そして一歩、二歩、と、愛おしい男の元へ進む。
「なに緊張してる? いつものことだろ」
「あっ……!」
 ――もし彼の部下や、フラットに対抗するクランの人間がこの光景を見たら目を丸くするに違いない。娘がまごまごと、わざとらしく空けられた彼の隣に腰かけるのをためらったのを受けて、ムラサキは自分から立ち上がって彼女の腰を抱き寄せた。
……うぅっ」
「イイ子だな」
 少女を抱き寄せ、飼い猫にするように彼は少女のつむじに高い鼻を埋めた。
「きょ……今日は、シオンさん、いないんですね……
「シオン? あいつは追い払った」
「どうして……?」
「お前あの女嫌いだろ」
 言われて娘は苦しくなった。さまざまな感情がわき起こってぐるぐると渦巻き、彼女の心を支配する。
はい。嫌いです。だってムラサキさんの一番近くにいるから。でもムラサキさんは私のために、それをどこかにやってくれるんだ。私があの人のこと嫌いだってわかってて、それを許してくれるんだ。好き。大好き。
 シオンというのは、フラットのナンバー2とでも言うべき女性だ。妖艶な微笑みとセクシーな体つき。
ムラサキさんに馴れ馴れしくタメ口の女、と少女は思っている。だがフラットにとっては欠かせない人材だということも理解していた。
 ハルウリさせられる女のほとんどは、シオンの手によって「調達」されていた。近頃は名門女子校に忍び込む術を得たようで、そこで年端もいかない娘をかどわかして、性への抵抗をなくさせて売り物にしている。実はこの少女も、シオンが目をつけた存在だった。だが少女は一目でこの女気に食わない、と思った。シオンだってなにかを感じたに違いない。だが、それ以上にシックスセンスが囁いたのだろう――このメスガキは売れる、と。
 結果、少女はシオンの読み通りのエースだ。だが、彼女は他の娘と違って、シオンへの忠誠心や勘違いじみた恋慕で言いなりになっているのではない。シオンの奥、組織の頂点にいるこの男、ムラサキにすっかり心を射貫かれてしまっているのだ。



 初めて会ったのは、何軒も動かしている店のうちひとつ、少女が所属するところに彼が顔見せをしたときで、仕事用の制服に着替えた直後の彼女を見るなりムラサキは目を細めた。
「こいつが噂のエースだな」
「ハイッ、この子がナンバーワンです」
 スーツ姿の無難なボーイに扮した部下がきびきびと答え、少女はあっえらい人が来たんだ、と認識して顔を上げた。その瞬間に心臓を掴まれたようになった。壮絶な一目惚れだった。今まで大人の男というのは、彼女にとって「なんだかんだ、財布」でしかなかったが、彼は違った。アウトローな気配を隠しもしない佇まい。もしかしたらここでいきなり暴力をふるってきてもおかしくない、みたいな雰囲気を纏わせながらも、余裕ありげに少女を眺めた。
「へェ……予想通りの美人じゃねえか」
「え……あっ……
 そのとき少女は、半処女の演技ではなく本気で恥ずかしがっていた。この私が男相手にこんなにもじもじしちゃうなんて、と思ったが、止められなかった。
「このあと予約は? こいつは何時に上がる」
「ぎっしりです。二十二時には帰しますが……
「終わったらテメェがアジトに連れてこい。こいつを俺の部屋までな」
「え? ボス、ジンザ……従業員を、近づかせるんですか」
「俺がやれって言ってんだ」
「はっ、はい!」
 部下は頷いた。
「またあとでな。期待してるぜ、エースちゃん」
 ひらっと手を振りながら背を向ける男に、少女はうまく返事ができずただ頷いた。



「最初にここに来させたときも、あいつはいなかったろ」
……でも、それからはずっといた」
「けっ、妬いてんな? あの女な、俺が商品に惚れちまって腑抜けになるんじゃねーかって不安がってんだよ」
……
 商品。そう言われてびくりとこわばる。そうだ、私がムラサキさんにこうして会えるのは、私が優秀な道具、ツールだからだ。可愛い女の子だからじゃない。
 ふいに嬉しさとは別の涙が滲みそうになった。この人はどうしたら私で「腑抜け」になってくれるんだろう。
……バレるわけにはいかねぇよな? もうとっくの昔に腑抜けだなんてよ」
「えっ……? あっ……!」
 ムラサキは少女のスカート――仕事用の制服ではなく、帰宅のための私服だった――の中に手を入れ、ショーツに包まれた尻を強い力で乱暴に揉みしだく。本性の知れない涼しげな顔に似合わず、情熱的で性急な手つきだった。
「仕事でお疲れだな? でもヤラせろよ。今日なら絶対邪魔は入らねぇから」
「く、ふ……♥」
 頷く。嬉しかった。本気かどうかわからない言葉でも、彼が私に言ってくれるなら宝物だ。そういう気持ちがよくわかるから、少女はお客を嗤うことはしないのだ。



「客にもこういうふうにしてんのか」
「んむっ……ふぶぅ、あ、ふ……それは……
 アジトの中のさらに奥、ムラサキの私室のようになっている部屋で、少女は彼の肉竿にむしゃぶりついた。接客とは違う。お互いシャワーも浴びていない。かすかに味や匂いの滲むペニスを思いきり舐め、この飄々とした男も汗をかくのだと、どこか安堵する。
「わりぃ、今仕事のこと聞くなんて野暮だな」
……ぅ」
「でも気になってな。他の男共もこのえげつないかぶりつきっぷりの虜になってんのかって」
「んむっ……れろ、あ……ふ、お客さんには……ここまでしないです」
「ふぅん……?」
 ムラサキは、少女がそう答えることをわかっていただろう。彼女の人気の秘訣がただの性技ではないのも見抜いている。
それでも問うて、答えさせたい。少女はその心を察することができた。さらに嬉しくなる。
「ぢゅるっ……ムラサキひゃん、だけ……わらひが、洗ってないおひんぽ舐めて、喉が苦しくなるまで咥えて……んぐぅ、おまんこ濡らしちゃうのは……ムラサキさんにしへるって、思うから……んむぶふぅっ!」
 少女が健気に媚びると、ムラサキは急に獰猛になった。彼女の後ろ髪を掴み、腰を使って小さな口腔を蹂躙する。
「おぐぅっ……おぶ、おぇっ……おぶぅ、ふぶっ、ふぅ゙ぅうぅーーーっ♥ うぅぐぅうぅうぅーーーっ……んぶふぅううぅッ……♥」
 自分からディープスロートに挑むのとは桁違いの苦しさと衝撃。肉茎を無理矢理吸わせ、喉粘膜に先端を押しつけて擦り立てるイラマチオは、あっという間に娘の余裕を剥ぎ取った。吐き気がこみ上げる。
(で、でも……それも、嬉しいから……♥)
「大切な商品」に対する扱いではない。男は自分の欲望に正直になっている。それに悦びを覚え、少女は必死で喉を開いた。窒息しないように鼻で息を吸って吐き、どこまでも彼を受け入れる姿勢を取った。
「吐きそうか?」
「ン゙ンッ……!」
 ペニスをしゃぶったまま首を横に振る。ひひっ、とムラサキが笑った。
「お前はそうだよな」
「うぐ、うぶ……
 やがて好き放題の時間は終わった。ムラサキはどの客よりも遅漏で、快感を得たいという欲があるわりに、その発散を急がない。唾液まみれの肉茎を口から引き抜くと、その濡れた粘膜で少女の頬をぺちぺちと叩いた。
「お前ほど……小せぇ店のエースで終わる器じゃねぇオンナが、未だにウチでハルウリしてんのは」
……っ」
――俺に恋しちゃってるからなんだろ?」
「~~~っ、ふ、ぅ、は、はい……そう、です……!」
 引きずり出される。
「む、ムラサキさんが、好きだからです!」
 増幅させられる。
「ムラサキさんと、絶対、絶対、離れたくないからですっ……!」
 意識させられる。己は恋心によって、彼の奴隷になっているのだと。
「俺は女ってぇのは信用ならねぇと思ってるが、お前は違う」
……!」
「なにがあっても、お前だけは俺の味方だな。俺を裏切らねぇな?」
「はいっ……絶対裏切りません!」
「イイ子だ。脚広げろ」
「ああっ……♥」
 膝立ちから仰向けに倒れると、即座に脚を開かされた。胸や尻は大ぶりなのに、まだ未成熟な香りの残る体の中央に、大人の男が割り込んでいく。
「あふっ……んんぅ……♥」
 背丈と同じように長いペニスの先端が、秘唇と触れあう。少し前まで何人もの男を受け入れた穴が、処女のようにキュウッとわななく。
「店の商品をなんべんも味見なんて、シオンに知られりゃ大目玉だ。部下の野郎どもにも……ま、立つ瀬がねぇってとこだな」
「ふっくぅっ……
 にゅち、にゅちっ……と、亀頭を膣口に埋め込んだり離したりを繰り返しながらムラサキが言う。少女はもどかしさで震えた。
「お前が悪いんだぜ? ナメられちゃおしまいの俺を、終わらせようとするんだから……よっと!」
「あ゙あっ……あ゙ぁあぁっ! あ゙ぁああぁあぁあぁ~~~っ……!」
 熱く硬いものが膣道を広げ、たやすく子宮頸部までたどり着く感触に法悦の声があがる。
「ふぅ、あ゙ぁっ、あぁ、む、ムラサキさんっ……奥までぇ……えぇえぇ……あぁあぁうぅううぅぅ~~~っ♥」
 そこからはもう、ふたりとも余計なことは言わなかった。オスとメスの器官を馴れ合わせ、敏感な粘膜を競うように擦る感覚に溺れた。可憐な少女の喉からは獣のような叫びがほとばしり、男もそれに合わせて荒い呼吸をぜえぜえと漏らした。
「あ゙ひっ♥ あ゙あぁおぉ゙ぉおぉ~~~っ♥ ひぐッ、いぃぐっ、む、ムラサキさん、イぐぅうぅっ♥」
「ようやく言ったな……♥ 言ってねぇだけでお前、もう何回気ぃやってんだ……!」
 余裕綽々だったムラサキも、だんだん息を切らせて駆け上がっていく。少女の粘膜を味わい尽くした末の絶頂に思いを馳せていた。
「くおっ、ハァッ、出すぞ……♥ 受精する気持ちで受け止めろ……!」
「はひっ♥ うけます♥ 子宮ぐぅ~ってひらいてぇ、ああっ、ムラサキしゃんのザーメン、ぜんぶぜんぶ飲みますぅうぅぅっ……♥」
 娘が強く頷いたのに合わせて、ムラサキがおぉっ、と体をこわばらせた。同時に熱精が膣壁を灼くのを、少女はしっかり感じ取る。
「いぃイぐうぅうぅっ、うぅっ、うぅううぅっ、ゔうぅあぅううぅうぅうううぅううぅううぅうぅ~~~~~~っっっ……♥♥♥」
 激感に溺れながら、この日一番深い絶頂を迎えた。収縮する膣穴の中で、肉竿が精を放ってのたうつのも止まらない。男女が同時に上りつめることの悦びを、少女はムラサキによって初めて知った。
(し……しぃ、あ……しあわ、せ…………♥)
 うっとりと瞳を閉じる。愛しい彼が、慈しみの手つきで頭を撫でてくれるのを感じる。娘は今、この世で一番の幸せ者だった。



「あっ……
 できるだけ身軽に出勤することを心がけている少女は、店までの道のりで姿を見せた人間に、スマホショルダーの紐をキュッと握りしめた。
「し……シオンさん」
「ご無沙汰してるわね。最近どう? 売り上げも評判も上々だって聞いてるけど」
……それを聞いてるなら、他はどうでもいいでしょ)
 内心毒づく。シオンがわざわざ現れて声をかけてくる。厄介事の気配がした。逃げられない。
「今日は出勤しなくていいわよ。お店にも貴女はお休みだって伝えてあるわ」
「えっ……?」
「久しぶりに『講習』してあげる。エースだからって気を抜いちゃだめよ?」
「い……い、いらない! いや!」
 講習なんて名ばかり。シオンが性欲と嗜虐欲に任せて女をいたぶる遊び。そんなものの餌食になるのはごめんだった。
「つれないのねぇ。いらっしゃい」
「やめて!」
 妖艶な雰囲気に糊塗されて目立たないが、シオンもムラサキに負けず劣らずアウトローだ。暴力慣れしているし、女にしてはだが腕っ節も立つ。少女はあっという間に押さえつけられ、店近くの路地裏へと連れ込まれていった。



「うぐっ、ふぐぅ、ふっ、うっ、うぅうぐぅううぅうぅうぅ……!」
「困ったちゃんよね。お客じゃなくて、うちのリーダーをたらし込もうっていうんだから……
「うううぅうっ、おねが、やめ、も、もう……ゔうぅ~~~っ!」
 少女は開脚状態で縄を打たれた。むき出しの秘唇にはなにやら痛痒感を生む薬を塗られ、そのまま触れてももらえない。
「この間もお楽しみだったわね。ATMをメンテナンスするみたいなエッチ、気持ちよかった?」
……っ! そんなふうに言わないで!」
「じゃあなんて言えばいいの。貴女は優秀な金のなる木なのよ? 枯れそうになったら水をやる。あの男はちゃーんとそれをしてくれたじゃない」
「違う……のっ、む、ムラサキさんは……!」
「貴女、本当に惚れられてると思ってる?」
……っ、ぐ……!」
 一瞬痛みもかゆみも忘れ、悔しさと悲しみに打ちひしがれた。
……わかってる、そんなこと)
 あれほどの悪が、悪事の末になにかを掌握しようと暗躍する男が、自分のような小娘一匹に本気で入れあげるほど頭が悪いはずがない。
 むしろそうであったなら、最初から私はムラサキさんを好きにならなかった。
(絶対……私を好きに、ならない人、だから……
 だから惚れてしまったのかもしれない。焦がれるのかもしれない。
「ま、ムラサキが飴をやったっていうなら、私は鞭をあげないとね。どんなにひどいことしたって貴女は辞めないでしょうし、ずっとうちに居座るんなら、立場ってものをわからせておかないと……♥」
「あっ、あ゙ぁうぅうっ……うぐっ……♥」
 シオンの指が、ようやく少女の秘唇に触れた。薬のせいで隆起したクリトリスをつままれ、一瞬心地よさで声が出る。
「ほらほら、カリカリカリ~……♥ 気持ちいいでしょう?」
「ふぅぐっ、ぐぅ、うぅうぅううぅぅ……!」
「女の体って便利よ。惚れた相手じゃなくてもよくなれるんだから」
「し……ぐ、うぅぐぅ、死ねっ、メス豚……!」
「うふふっ! 元気で嬉しいわ」
「あぐぅっ!」
 指が三本まとめて膣穴に入り込む。シオンはそのまま無遠慮に中をかき回し、大きな汁音を奏でていく。
「道具って、使われている間は幸福よ。自分が、なにか別の目的のためのツールであることを忘れなければね……
「ふッ……ゔっ…………!」
「貴女もせいぜい道具として役に立ってちょうだいね。そうしている間は、あの男だって優しくしてくれるわ」
「ゔ~~~っ……うぅ、くぅっ……ゔうぅ゙うぅううぅうぅ……!」
「あらあら泣いちゃって……案外弱いのねぇ」
「うううぅ……うぅ……うぅうくぅうううぅぅ……!」
 わかっているはずなのに。わかっていることを、改めて目の前の女が口にしているにすぎないのに。
 思い知らされる。引きずり出される。増幅させられる。
 私は、亜総義という企業に支配された街の歯車のひとつ。それに抗う男に焦がれて、奇妙な軋み方をしているだけ。抜け出せない。逃げられない。なにひとつ自由になりはしない。

(了)