三毛田
2025-07-10 22:41:31
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49 049. 「好き」と「嫌い」の駆け引き

49日目
失敗しました

「う〜ん……これは、好き。これは嫌い。でも、これと混ざってると食べられる」
「なるほど……うむ。嫌いなものを無理に食べろとは言わん。じゃが、ちゃんと栄養が摂れるよう別のものに置き換えるからな」
「はーい」
 何もない。まっさらな状態でここへきて。
 最初に聞かれたのは、食べ物のアレルギーや好き嫌いの有無。
 何もわからない、知らない、覚えていない。の三コンボだったけど、パムが試行錯誤してくれて少しずつ己の好みや苦手なもの、嫌いな味を知っていった。
「丹恒は、好き嫌いはないのか?」
「食べ物や食事に関しては、特にない。栄養が摂れればいいし、食べられればそれで構わない」
「穹。丹恒にそれを聞くのは間違ってるよ」
「なんだその言い方は」
 むすっとした表情の丹恒。なのは、揶揄うような表情。
 二人ともなんだかちょっとだけ楽しそう。
 そんな彼らに、ちょっとだけ感じる疎外感。
 感じているものがそれであっているのか、わからないけれど。
「穹。俺の食べかけだが、こちらはどうだろうか。お前のプレートには、なかった品だ」
 食べていいだろうかと、パムへと視線を向け。
「よいぞ。穹の口に合うかわからないから、お前の分は皿へ入れなかった」
「へー。じゃあ、ください」
 口を開けると、丹恒はスプーンを差し出したまま固まり。
 なのは、デザートを口へと運んだままこちらを見て。
「穹。自分で食べろ。丹恒もまだ食事中じゃ」
 パムに怒られてしまった。ので、丹恒からスプーンを預かって、彼のお皿からおすすめされたおかずをもらう。
「うへ。ちょっと苦手」
「だろうな」
「やっぱり苦手じゃったか」
 丹恒とパムから視線が刺さる。
 案の定。っていう表情だが、視線はどちらも優しい。
「それなら、好きと嫌いをしっかりと覚えておけ。外で食事をする時に、役に立つだろう」
「はぁい」
 頷いて、残っているご飯を平らげた。
「で。丹恒はどうなんだ?」
 少しして。だいぶみんなと仲良くなったというか、絆が強まった頃。
 丹恒へ問いかけると、彼は手を止めてこちらを振り返り。
「何のことだ」
「俺! 好き? 嫌い?」
「そうだな……
 俺の前に来ると、指先で顎を持ち上げて。それから、ジッと見つめてくる。
 ど、どうしよう。
 ドキドキが止まらない。
「このまま、好きだと告げたら……お前は、どうなるんだろうな」
「ひゃぁっ」
 悲鳴を上げると、丹恒はおかしそうにクスクス笑って。
 駆け引きをするつもりが、返り討ちに合った気持ちだ。
「丹恒先生!」