AON12345
2025-07-10 18:00:10
2070文字
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えんすお(クロスオーバー)

セフレ以上恋人未満なえんすおです
火付け役?というのでしょうか、そういう感じでD.Gray Manのティキミックを当てがいました。
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ズズズと棪堂の指が蘇枋の腹の中に沈んでいく。
「ぇ?」
「は?」
「これが俺の能力、“選択”だ」
そう言って棪堂の手を蘇枋の腹に沈めさせている男、ティキ・ミックはニヤリと嗤った。

—————————

暗い路地裏で、熱い吐息が断続的に響いている。大柄で全身を刺青に覆われた男が、細身で眼帯の男を壁に押さえつけている。
眼帯の男蘇枋は口内を荒らされながらも、目の前の棪堂を瞳の膜が張った目で睨みつけている。

「っは、、ふぅ、ん、、、んんっ、!」

しつこく舌を絡ませてくる棪堂に、息が苦しくなって厚い胸板をどん、と叩く。最後に舌を遠慮なく吸われて離されるが、腰の抜けた体は重力に従ってかくんと座り込んでしまう。三角座りの要領で壁に背を預け、何とか体制を保つ蘇枋の前に棪堂がしゃがみ込んで、徐に手を伸ばしてくる。
艶めかしく唾液に濡れる唇を親指でなぞって、そのまま下に下がって蘇枋の服の裾を捲り上げる。直に触れ合った肌が火傷しそうな程に熱くて、もはやどちらの熱かなんて分からない。
棪堂とは以前から体の関係はあるが、学校帰りに待ち伏せするのはいかがなものか。そのうえ外でシようとしてくるから腹立たしい。せめて室内まで待てと何度言っても聞く耳を持たない。

「こんなんで終わりじゃねぇだろ?まだまだこれからだぜ」

喉でククッと笑った棪堂が蘇枋の柳腰に太い腕を回して、再び立ち上がらせる。無理に引き上げられて蘇枋が抗議しようとした瞬間、第三者の声がその場に割って入ってきた。

「あ、やべ。お取り込み中だった?」
「「!?」」

男が壁から生えている。
棪堂も蘇枋も声が出なかった。見られたことよりも、今の今まで気配を感じなかったこと、そして男の体の半分が壁に埋まっている現状が理解できなかったからだ。二人が固まっている間に、何てことないように壁から出てきた男は悪いねーと謝っている。

「は、いやお前、、今、壁をすり抜けてきたのか?」

無意識であろう、棪堂が蘇枋を背後に隠すように庇いながら男に問い掛ける。蘇枋もされるがまま棪堂の背中の服を握って、警戒強く男を観察している。

「ん?そうそう。ちょっと追っ手から逃げててねー。ショートカットしてたらつい、ね?」

「追っ手ってお前何者だよ」

「ショートカットとか本当に人間なのか疑わしいんですけど、」

端正な顔に、タレ目がちな金の瞳、色気を感じさせる左目下の泣きぼくろ。黒髪の癖毛を後ろに撫で付け、飄々とした雰囲気をしている。身長は棪堂より少し高いくらいだろうか。浅黒い肌が目を引くが、よく見れば額に十字の模様が連なって刻まれている。
見れば見るほど人間離れしている。それに男が纏う雰囲気、のらりくらりとしているが狂気じみたものを微かに感じる。

「あははっ、分かっちゃう?俺はティキ。まぁ、君らに何かするつもりは無いよ。むしろ邪魔しちゃったし、お詫びとして“盛り上げ役”をしてあげるよ」

手貸して、と棪堂に近付く男に二人して警戒を強めるが、男は敵意はないというように両手を上に上げている。
恐る恐る棪堂が手を差し出せば、その手首を掴んで蘇枋へと向けてきた。



そして冒頭に戻る———



「俺はこの世のありとあらゆるものの、触れる触れないを選択できる。今はこの子のガワだけを拒絶した。どう?生きた人間の中身に触れた感想は」

棪堂の手に、蘇枋の熱い臓器の感覚が直に伝わってくる。驚きのあまり、ティキの言葉も、何もかも頭に入ってこない。目の前の蘇枋が酷く震えていることすらも。
無言でゆっくりと手を上に上げていけば、酷く脈打つ何かが指先に触れた。

「ひっ!」

「これ、心臓か、?」

早鐘を打つように早く、強く脈打つそれを包み込むように触れてみれば。面白いほどに跳ねたのが分かって、唖然としていた棪堂の顔が暗い愉悦に歪んでいく。もう少し力を込めたらどうなるだろうか。

「かひゅっ、ひゅ、はっぁ、ぇんど、さ、!やだっ、はな、してっ」

息を詰めてしまっていたらしい蘇枋が、苦しさと恐怖に喘いでいる。可哀想なほどに震えて涙をぼろぼろと流す姿にはっとして手を離す。

っ!わ、悪い。大丈夫か?」

がくんと蘇枋が体制を崩して倒れ込む。棪堂の手をすり抜けながら。案外気に入ってる蘇枋の顔を、まるで棪堂自身の手で抉ったように見えて、流石の棪堂も肝が冷えた。
荒い息を繰り返している蘇枋は、胸を押さえて丸くなっており、起き上がれないようだ。

「初めての感覚にびっくりしちゃったかな?でも痛みはないでしょ?」

蘇枋を抱き起こして自身にもたれさせながら、棪堂がしゃがんだまま見上げた男は変わらずヘラヘラとしている。
力加減を誤れば蘇枋を殺してしまっていたかもしれなかったというのに、この男にはそういった焦りや恐怖が一切感じられない。先ほど感じた狂気が確かなものになっていく。棪堂は今だに震えたままの蘇枋を強く抱きしめて思う。


———この男は人殺しだ。