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らぎ
2025-07-07 19:44:51
436文字
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モノノ怪
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七夕
「七夕ですよ、離の方。鰻焼きましょう」
「
……
。」
清水も茹だるような暑気の中、ご丁寧に炭火を熾した七輪まで持ち出してきた坤の薬売りに、離の薬売りは眩暈を覚えた。火など見たくもない暑さと言うのにこの男は正気なのか。炭から立ち昇る熱で向かいにいそいそと座る坤の髪が揺らいで見える
…
いやそれはいつもか。そもそも何故七夕に鰻なのだ、それは土用の日であろう。我らに食事は不要と言うのに、斯様な貴重品を。どうせなら鰻より瓜でも冷やしてくれば良いものを
……
ああそれにしても暑い。鉄紺色の着物など着て正気かこの男、今日もいい笑顔だな。
思考が一巡りした所で我に返った離の薬売りは、薄い唇の間から細く長く息をつき、着物の裾を捌いて坤の薬売りの向かいに座した。例え干あがろうとも坤と二人の時間を他の同輩に譲る考えなどついに起こらぬ程度には、大概彼も伴侶に骨抜きなのだ。振り回されているように見えなくもないが、夜はあの手この手で坤を振り回しているのだから破れ鍋に綴じ蓋と言うヤツである。
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