三毛田
2025-07-06 21:44:58
1082文字
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45 045. 視線の先に

45日目
君がいることが嬉しい

 俺の視線の先には君がいて。君の視線の先には俺がいて。
 それが叶うのならば、なんと幸せなことだろう。
 でも、君は己の仕事を果たすことに注力して、俺はその中の一人としか見てくれない。
 それでいい。それでよかった。そのはずなのに。
 いつの間にか、自分がわがままになっていて、独占欲のようなものが育っていることに気づいた。
「丹恒、構って」
「もう少しだけ待て。これに区切りがつけば、後は手が空く」
「はーい」
 丹恒には、遠回しに告げても伝わらない。だから、こうやってストレートに伝えることが大事で。
 彼の〝少し〟がどれくらいなのかわからないけれど、まあ待つしかないでしょ。
「すまない、待たせた。それで、どうかまえばいい」
 アーカイブの端末をスリープにし、こちらを振り返り。
「まず、ギュッとして」
 たあち上がって両手を広げると、優しい笑みを浮かべて俺の前へ。
 ゆっくりと背中に腕が回って、体が密着。
 丹恒の柔らかな胸が、俺の胸に触れてドキッとしたしちんちんがちょっとだけ反応する。
「穹?」
「ううん。丹恒、次は頭を撫でて」
 すると、少し温度の低い手は優しく頭を撫でてくれ。
 あー……駄目だ。溶けそう。
 熱くて溶けるっていうのはわかる。でも、丹恒の手は冷たい。
 それなのに、溶けそうな気持だ。
「丹恒」
「なんだ?」
「胸に顔埋めても、いい?」
 問いかけるけれど、返事はなくて。
 恐る恐る見上げると、冷たさを宿した瞳で俺を見ていた。
 ゾクゾクと、悪寒なのか興奮なのかわからないものが背中を走って行き。
「お前」
「いい? 駄目?」
「はあ」
 いつもより長いため息。流石の肺活量。
 可愛いおねだりに、丹恒が折れてくれるのが先か。それとも、俺が諦めるのが先か。
 ふと、視線がぶつかり合って。
 滅茶苦茶キスしたい衝動にかられたが、グッと我慢。
「何で、胸に?」
「丹恒先生の胸が、柔らかかったからです」
「胸が、柔らかい?」
 理解できないというように、首を傾げた後俺の背中から手を離して自分の胸を下から持ち上げ。
 ぐっ。
 それは狡いだろ。というか、そんなことされたら興奮するだろ。
「穹?」
 思わず股間をおさえていると、丹恒は戸惑った表情をこちらへと向け。
 それから、一歩俺から距離を取る。
 ただ、狭いからそんなに離れられなくてきゅっと眉を寄せて。
「穹、お前」
「丹恒のご想像の通りですよ。俺はお前をそういう目で見てる」
「俺だが」
「丹恒だからだよ」
……趣味が悪いな」
「別にそんなことないと思うけど?」