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さとうみず
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【R-18】【シャアム】スキトキメキトキス
アムロがカントボーイ。クワアム。Z軸。ダカールの演説後の夜。設定を活かしきれていないまま、挿入なしでフィニッシュです。
「あなたに、言っておかなければならないことがある」
ベッドの上に押し倒され、受けていたキスを留めた。シャアは喉で不満げに返事をして目線を合わせようとしたが、俺は脱がされた上着をベッドの下に落として視線から逃げるように身体を起こした。
唾液でべたべたになった口元を乱暴に拭って息を整えていると、シャアも身体を緩慢に起こした。その所作だけで色気に満ちているのだから、辟易する。
普段サングラスの下に隠れている瞳は胡乱な光を宿していた。
ここはシャア
――
クワトロの自室だ。
ダカールでのシャアの演説が見事に成功し、アウドムラでは祝宴会が開かれた。先ほどまでデッキでシャアと飲んでいた。積もる話はあったが、一言二言交わした後は黙って夕陽を見てお互い酒を傾けていた。
考えてみればシャアとは長い付き合いだが、共に過ごした時間は短かったように思う。漠然とした心地良さと共に、夕陽に染まった美しい横顔を盗み見てぼんやり思った時だった。
「アムロくん」
返事をする前に唇を塞がれた。ウイスキーに浮かぶ氷が音を立てる。もう一度名前を呼ばれて、手首ごと壁に押しつけられた。酒が跳ねて指を濡らす。
「何、」
拒絶するつもりだった。
香水に混じった彼の体臭が芯を焼き始めるまでは。
すっぽり肩に埋まった顔をシャアから背けようとしたが叶わなかった。
アムロ、と重ねて名前を呼ばれ、身体が密着する。シャアの声には普段の飄々とした余裕がなかった。俺はグラスが落ちないよう気を張るので精一杯だった。背中に触れる手のひらが熱い。じんわりと汗をかいていた。
シャアの誘いに頷いたのは、決して自棄ではない。
瞳に込められた熱に正直どう返せば良いか分からなかったし、内にある否定できない熱を持て余したからだ。酒の勢いである今ならば許されると安易に考えた。
袖を引っ張る俺に、シャアはあからさまにほっとした表情を浮かべた後、静かに部屋に案内する。前を歩くシャアの珍しい背広姿に緊張した。
「俺の身体、変わっているから
……
貴方が嫌だったら断ってくれ」
人に見せるのはシャイアンで慣れたと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
緊張と羞恥に震える手でジーンズのファスナーを下げ下着ごとずり下ろすと、シャアは目を見開いた。
シャアの驚く顔を近くで見るのは初めてかもしれない。
「アムロ
……
君、」
「うん、俺下半身女なんだ。
……
生まれつき」
シャアが息を飲んだ。
「
……
すまない、驚いた」
「それは
……
うん、そうだと思う」
驚くのは当たり前だ。謝らなくてもいい。この手は知識としてあっても実際の存在は疑わしいものだ。当事者でなかったら、俺も信じていない。
緩んでぐしゃぐしゃになったネクタイを引き抜いたシャアは「触っても?」と聞き、腰を引き寄せた。シャアの長い腕が腰に周って息が詰まる。酔いなんて覚めただろう。
シャアが触りやすいように足を少し開いて立った。足元にジーンズと下着がたわんでいる。
「一緒だと思うよ、他の女の人と
……
ぁっ」
くち、と粘着質な音が聞こえた。
「
……
濡れている」
「くそっ、お前! そういうことを言うなよ!」
自由な膝でシャアを軽く蹴ると、じろりとベッドに座ったシャアが不愉快そうに見上げてくる。
「君が情緒のないことを言うからだろう」
「お前が気にすると思って
……
う、」
長い指が割れ目をなぞり、無遠慮に指を開いた。外気の乾いた肌触りがする。
「君のここを見た者は他にいるのか」
「ん
……
あ、シャイアンにいた時に研究所のやつらや
……
その、後は
……
ぁ、う!」
長い指が入り込んできた。内側が絞まる感覚に顔を伏せるとシャアは鼻で笑った。聞いた癖に最後まで言わせないのか。
「そうか、大勢いるのだな」
「
……
貴方の経験人数には劣るかもしれないけど」
皮肉を言うと、素っ気なく指を抜かれてみっともない声が漏れた。睨みつけると傷ついたような笑みを浮かべた。
「君に喧嘩を売られているのか、試されているのか分からないよ」
「両方だよ。こんな半端な身体、酔っていたとしてもあなたが抱く気になるとは思えなくてね」
そう言いながらいよいよ酒が抜けてきている、と思った。
熱情を見下ろす理性がはっきりとした形になって立ちはだかっている。頭の端に後悔という字が浮かんでは消える。宿敵だった男の前に足を広げて何をやっているんだろう。
掛けた梯子を蹴飛ばして捨てたのはシャアも同じはずだ。
太腿に手を添えてシャアは溜息を吐いた。
誘われて嬉しく思ったのは嘘ではない。シャアと繋がりたかった。ララァと感応した時、この男の優しさに触れた時からずっと。それと同時に嫌だと思った。己の汚い性的欲求からシャアを汚してしまうことが。
酒の勢いという盾になる理由が欲しかった。
シャアは偶像に目が眩んで失敗したと言えば良いし、俺は記憶をなくせばいい。
太腿を撫で上げるシャアの目はギラついていた。面と向かっては見るのを避けたが、戦場で感じたものと似ている。
「この程度のことで君を諦めるとでも?」
「あなた、繊細そうだし」
違うか? と茶化すとベッドに引き倒された。乱暴に手首を掴まれ、導かれる。すっかり萎えているだろうと思っていたシャアのそれは未だに硬く熱を持っていた。
繊細で純粋な子どもでいて、極端に潔癖な男はどうやら本気らしい。
「君を抱く。
――
了承したのは君だ」
「
……
物好きだな」
静かに落ちてきた唇を受け止めると、シャアの安堵を感じた。それを落とさないように舌で掬う。
足首に絡んでいた下着を取り払われ、足を広げられる。研究所で慣れたとはいえまじまじと見られるのはご免被りたい。二本の指で広げられ、親指で敏感な粒を突かれた。
「ッあ、く、見るな!」
「可愛らしいものだな」
まるで雛鳥のように啼く、と喉の奥で揶揄されてカッと目の前が赤くなった。シャアの手首に爪を立てた。
「お前
……
!」
「ふ、意趣返しだ。君がどんな風に抱かれていたか考えると腹が立ってな」
目の前の蒼い瞳が鋭利に歪んだ瞬間、腹の底が熱くなった。自分が思うよりシャアの顔が好きかもしれない。
シャアの名前を呼んで唇を強請ると、望んだまま唇を重ねられにゅるりと分厚い舌が入ってきた。舌を吸われる度にぞわぞわと背筋が痺れる。アンダーウェアの上から、触られてもいないのに立ち上がった乳首を爪で引っ掻かれた。
「あ、ん、んく
……
ぅ、ひゃ、あ」
喘いでいると下唇を引っ張られた。
「君、何か失礼なことを考えていないか」
「
……
そう感じるんなら、自分の行いを振り返るんだな、ん、んぅ」
シャアは指を中に埋めていく。パイロット特有の指にできたたこが内側を擦って妙な気分になる。シャアの右手中指の第二関節。操縦桿を器用に操る指。
「痛くないか」
「へいき」
ゆっくりと進む指に頷くと、心配そうなシャアの顔が和らいだ。「そんなに優しくしなくていい」息継ぎの合間に伝えるとシャアは首を傾げた。少し癖のある髪が肩を流れて見惚れる。それを見透かされたくなくて顔を背けて誤魔化す。
「俺の初めては変な機械だったから、その、痛いのは慣れてる、し」
笑い話としては不適当だった、と口を滑らせた後にシャアの顔を見て後悔した。
「何だと?」
「あ、いや。緊張してそうだったからさ
……
ただの検査で処女喪失したって情けない話だよ。そんな顔するな」
ついているものがなくとも、男として生きてきたから、別にロマンチックな喪失など求めていなかった。シャアは眉間に皺を寄せたまま、真面目くさった顔を近づけてきた。
「君がどういうつもりで誘いに応じてくれたのかは分からないが、私は君を大切にしたい」
一年戦争時に殺し合いをした相手に言う台詞ではない。可笑しいと思ったが口を噤んで、「そう」とだけ言った。
シャアが言うならそうなんだろう。俺だって別に貴方と喧嘩をするためにこの部屋にやって来た訳ではない。
「なんで俺だけ裸なんだよ。あなたも脱げ」
アンダーウェアを剥ぎ取られた後、シャアのシーツに隠れて言うと「ああ、忘れていた」と惚けたことを抜かした。シャアはシャツのボタンを手早く外し、ベルトに手をかける。金具の音が響く居た堪れない時間が鼓膜に刺さった。
「君に夢中になっていたのだ」
「
……
よくそういう恥ずかしいことを言えるな」
シーツを剥ぎ取られ、裸の肌が触れて安心とも羞恥とも興奮ともつかない綯い交ぜの感情に鳥肌が立った。そのままキスをして、耳の後ろ、首筋と点々とシャアの唇が下りていく。熱い手のひらが腰に添えられ、乳首を舐められる。
「ん、ふ」
ちゅ、ちゅと吸われもう片方の乳首を押し潰され、声が出てしまう。あのシャアが俺の乳首を吸っているのが信じられない。
「あ
……
ッ、くぅ」
「君の口は意固地だが、心臓は正直だな」
「ッ、勝手に聞くな
……
! ん、ふぅ、ぁ、あ
……
っ」
肋骨に指を這わせて、反応を楽しむシャアに腹が立ち、その脇腹を蹴ってやろうと足を上げたところで易々と掴まれた。
「自分から私の部屋に来たというのに。大人しくしないか」
「あなたが余裕なのがムカつくんだよ」
睨みつけると、シャアは
脹脛
ふくらはぎ
を強く吸って赤い鬱血の跡をつけた。
「余裕、か。君相手にそんなものはないよ」
唇を滑らせ、今度は太腿に鬱血痕をつける。
「
自由
クワトロ
を失って、ようやく君に触れられた」
足をさらに広げられ、内腿に唇を寄せて吸われた。視線は俺から外さないまま。
「今の私は一体誰だ?」
縋る蒼い瞳は迷子のように揺れていた。見つからない出口を探している。
アウドムラのクルーはこんなシャアの情けない顔を見たことはないだろう。
「話を難しくするな。クワトロもシャアも俺にとってはあなたただひとりだ。あなただから、俺は今ここにいる」
目の前の男は七年前から何も変わらない。不器用でお人好しの男だ。なまじっか頭がいいからすぐ迷って答えを探す。今だってセックスをしに来たのに、なんでセラピー紛いのことをしているんだ。いや、別にいいか。
「一年戦争の時から思っていたが、あなたはそこまで器用じゃないだろ」
馬鹿だな、と溜息を吐いた後シャアに目をやると、瞳を潤ませて真っ赤な顔で俺を見ていた。想定外の反応に狼狽えていると、シャアは俺を抱き寄せ、震える声で名前を呼んだ。
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