三毛田
2025-07-05 22:13:16
1080文字
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44 044. その一瞬を切り取ったレンズの向こう

44日目
愛らしい君が

「じゃーん! みてみて! ヨウおじちゃんから、デジカメ譲り受けたんだ!」
 ノックが聞こえたので、入室許可を出すと、ピンクのデジカメを手にしたなの。
 それ、ヨウおじちゃんがわざわざお前に買ったやつだろ。と、野暮なことは言わない。
 気づいていないのなら、それでいいのだ。
「容量は?」
「メモリーカード依存だから、カードの容量によるよ。撮っていい?」
「もちろん。丹恒とツーショットで頼む」
「俺は許可を出していないぞ、穹」
 読書中だった丹恒の肩を抱き寄せ、なのへ向かってピース。彼も渋々眼鏡を外して、ピース。
「えへへ。二人とも、ありがとう! 次は星を撮ってこようっと!」
「最初の一枚を星じゃなくてよかったのか?」
「ヨウおじちゃんと姫子、パムの三人だから許してくれるはず」
「三番目でも怒りそうだけど」
「うっ。あ、明日一緒に出かけるから平気だしっ」
 声が震えている。何をされるかわからないから、不安なのだろう。けれど、自業自得。ご愁傷さま。
「じゃあ、またね」
「次は、たくさん撮ってから見せろよ?」
「わかってるって?!」
 そっと扉を閉め、去っていく。
「丹恒。俺も撮っていいか?」
「そう言うと思っていた。好きにしろ」
 スマホを横にし、カメラを起動。
 ぎこちない笑みを浮かべ、ピースをする丹恒を写真に納め。
「はい、撮れた! 丹恒も、俺を撮っていいよ! 美少女を撮るチャンスだ!」
 俺がポーズをとる前に、彼は素早く写真を撮って。
「たんこ~?」
「ふふ。ありのままのお前の姿が、一番だと思ったからな」
 それはこっちの台詞だ。
 今の嬉しそうな、楽しそうな表情を写真に納めたかったのに。
「丹恒」
「どうした?」
「キスしたい。いい?」
 スマホを伏せて置き、頬を指先で撫で。
「ああ」
 ゆっくり伏せられる瞼。
 顔を近づけ、唇を重ね。
「ちょっと。穹、表出な」
 ノックもなしに、勢いよく開けられる扉。
 そこには、殺気を隠すことなく立っている星。
 キスし損ねた俺だって、キレたいんだけどなぁ?
「殴り合いはするなよ。二人とも美少女なんだ。その顔を傷つけるな」
「たんこ~!」
 メロい。メロスぎる!
 何でそんな格好いい台詞を、サラッと口にできるの!?
「丹恒。今すぐそこの馬鹿と別れて、私と付き合わない?」
 指先でそっと顎を持ち上げ、丹恒を見つめる星。
「なのに、星が浮気してるって言いつけてやる!」
「はあ!?」
 部屋を飛び出すと、すぐに丹恒から離れて俺を追いかけて。
「廊下は走るな!」
 と、パムに怒られた。