それは、運命の出会いだった。
購買部にてニューイヤー以降時々行われる東方フェア。故郷に近い文化ということで東方贔屓の監督生、フェアやるとなったらとりあえず見に行かないと気が済まない。
出汁昆布の値段に慄き涙を呑みながら棚を物色して、見つけたのはデフォルメされた握り寿司のヘアピン。赤くて鮪っぽいやつと、海苔で留めてある玉子っぽいやつ。2つセットになっている。
「おすし
……? お寿司だ!!」
「うわっなに、監督生の大声久々に聞いたわ」
「そんなテンション上がるの珍しいな。その
……オスシ? 好きなのか?」
一緒に来てたマブに見て見て! って必死に説明する監督生。
故郷の国民食で、すごくおいしい。お高い高級寿司もあるけど、ひと皿100円
……100マドルとか安いお店もある。すごくおいしい。ものすごく乱暴に言うと、薄く切った生魚を乗せたひと口ライスボール?かな?
「生魚って、マスターシェフであったポキみたいな?」
「下味ついてるのもあるけど、そのままのが多いかなぁ。自分でお醤油つけて食べるんだよ」
うぅっ、おすし
……たべたい
……って発作起こしつつヘアピンを握りしめる監督生。絶対買う。値段見てないけど買う。
その様子になぜか涙ぐむデュース。よかったな、監督生
……!
いやでもそれエレメンタリースクールくらいの子供用じゃねーかな
……と思いつつ言わないエース。まぁ
……気に入ったんならいいんじゃない?監督生ってば童顔でそんな違和感もないしぃ。
「レジ行くけど、グリムはなんか欲しいのあった?」
「子分これ! これスッゲェいい匂いなんだゾ!」
「うーーーん、却下」
それひとつで2ヶ月分の食費が飛ぶよ。削り器も無いし無理だよ。あ、こっちのお魚クリップは?これたぶんツナの魚だよ!きっとノートに付けたらカッコいいだろうな〜!
桐箱入りのクソ高い鰹節を買う買わないの攻防をグリムとやりつつ、なんとかお会計する。お寿司のヘアピンと魚のペーパークリップ。
翌日。監督生の胸ポケットにはマジカルペンじゃなくてお寿司(まぐろ)が輝いていたし、グリムのノートと教科書はクリップまみれだった。
おまけ
マグロっぽいペーパークリップは実在します。
https://www.midori-store.net/SHOP/43380006.html
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