神聖ラングラン王国の辺境、戦火に荒れた荒野を覆う暗雲の下、ヴォルクルスの眷属の黒い機影が空を埋め尽くす。焦土と鉄の匂いが鼻をつき、砕けた石柱が戦場の墓標のように突き立つ。サイバスターのエーテルスラスターが青白い光を放ち、風の精霊サイフィスの力を借りて空を切り裂く。マサキ・アンドーの脈が熱く打ち、コクピットの振動が骨に響く。汗が額を伝い、戦場の爆音が耳をつんざくが、闘志は燃え盛る。「いけ!クロ、シロ! ぶっ潰してやるぜ!」
「アタシ、行くニャ!」
「オイラたちに、お任せニャ!」
サイバスターの両腕から解き放たれたハイファミリアが鳥の姿で敵群に突進し、クロとシロの光弾が眷属の小型機を爆砕する。鋭い主翼のカッターが装甲を切り裂き、火花が夜空に散る。マサキはディスカッターを握り、サイバード形態に変形。神鳥ディシュナスの如く風を操り、敵陣を駆け抜ける。だが、胸の奥で焦りが芽生える。(シュウの奴、どこだ!? テメエ、いつも遅えんだよ!)
空間が歪み、暗黒の光が戦場を飲み込む。グランゾンのブラックホールクラスターだ。シュウ・シラカワの冷たくも気品ある声がマサキのコクピットに響く。「マサキ、貴方の無謀さは手に余ります。これで終わりです」グランゾンの胸部装甲が展開し、マイクロブラックホールが生成される。重力波が戦艦を一瞬で引き寄せ、周囲の敵機を巻き込みながら消滅させる。超抗力チタニウムの装甲が月光を反射し、シュウの悪い笑みがモニターに映る。マサキの心臓が、なぜか高鳴る。(シュウ…コイツの力、半端ねえ…!)
マサキはディスカッターを握り直し、叫ぶ。「シュウ! テメエだけ目立たせねえ! サイフラッシュ、行くぜ!」サイバスターの結界内でカロリックが臨界点まで高まり、銀色の機体を中心に熱波が放射される。ウェンディの設計した敵味方識別機能が働き、眷属の機体だけが炎の奔流に飲み込まれる。戦場が赤く染まり、爆音が空を震わせる。だが、マサキのプラーナが一気に消耗し、息が荒くなる。巨大戦艦の厚い装甲はサイフラッシュを耐え抜き、反撃の重力波がサイバスターを押し潰そうとする。(くそっ、効かねえ…! プラーナが…やばい!)
増援の眷属が黒雲の如く現れ、サイバスターを包囲。プラーナが底を突き、機体の動きが鈍る。重力砲が翼を直撃し、サイバスターが傾く。コクピットの警報が赤く点滅し、マサキの視界が揺れる。「くっ、まずい…!」その瞬間、戦場が暗黒に染まる。グランゾンのグラビトロンカノンだ。シュウの声が響く。「マサキ、貴方の不確定要素を失うわけにはいきません。私の後ろに下がりなさい」グランゾンの腕部から重力制御装置が唸り、最大3200Gの高重力場が戦場を覆う。無数の重力球が雨のように降り注ぎ、眷属の艦隊を圧殺。戦場は一瞬で静寂に包まれる。(シュウ…いつも完璧すぎんだよ…! )
シュウはグランワームソードを手に構える。刀身に次元振動の力が宿り、空間が微かに揺れる。「貴方の敵は、私が片付けます、マサキ」グランゾンが一閃。グランワームソードが空間を切り裂き、横一文字で敵機を両断。バレルロールで敵を投げ飛ばし、空間転移で背後に回ーり込む。瞬時に正面へ跳躍し、止めの一撃を放つ。「斬れぬものはない!」剣の軌跡が夜空に光の尾を引き、敵の残骸が炎に包まれる。マサキは息を呑む。シュウの剣捌きは舞のように優雅で、容赦ない。その動きに、胸が熱くざわめく。(シュウ…なんで俺、コイツのことばっか見てんだ?)
チカがグランゾンの肩に飛び乗り、弾んだ声で叫ぶ。「シュウ様~! かっこよすぎます~!」
クロとシロがサイバスターのコクピットに飛び込み、柔らかな毛並みでマサキをからかう。「マサキ、ぼーっとしてるニャ!」
「オイラも思うニャ! シュウにやられちゃったニャ!」
「うるせえ! クロ、シロ、黙れよ!」
マサキは顔を赤らめ、シュウを睨む。シュウの静かな微笑みに、心臓がさらに高鳴る。「貴方のその顔、嫌いではありませんよ、マサキ」戦場の熱気が冷めやらぬ中、シュウの気品ある視線がマサキの熱血な魂を絡め取る。
◇
基地の格納庫は戦場の熱とは対照的な静寂に包まれ、サイバスターとグランゾンが並ぶ。金属の冷たさが空気に溶け、薄暗い照明が銀色の装甲に淡い光を投げかける。マサキはコクピットから降り、汗と埃にまみれた顔で息を整える。プラーナの枯渇で体が重く、膝が微かに震える。そこに、シュウが気品ある足取りで現れる。白いコートの裾が揺れ、手には紅茶のマグカップ。香りが格納庫の冷たい空気に溶け、マサキの鼻をくすぐる。「マサキ、貴方のプラーナは枯渇していますね。補充が必要です」
マサキは汗に濡れた前髪を払い、シュウを睨む。だが、その声の柔らかさに胸がざわつく。「テメエ、なに!? 俺はまだ戦える!」
シュウは静かに近づき、マサキの顎に手を添える。気品ある指先が、戦場で荒々しく動いたマサキの肌に触れる。シュウの眼差しはポーカーフェイスの裏に熱を帯び、マサキの心を貫く。「貴方の熱血は見事ですが、休息も戦術です。プラーナチャージをしますよ、マサキ」シュウの唇がマサキに触れる。柔らかく、だが確かな熱がマサキの息を奪う。格納庫の静寂が二人の息遣いだけを響かせる。紅茶の香りが唇の感触と混ざり、マサキの意識を揺さぶる。心臓が激しく打ち、顔が真っ赤に染まる。(シュウ…コイツ、なんで…! 心臓、持たねえぞ…!)
シュウが唇を離し、静かに微笑む。「どうです?回復したでしょう?貴方の力は、私の力でもあります、マサキ」
マサキは照れ隠しに叫ぶ。声が格納庫に反響する。「し、したけどよ…!シュウ! テメエ、急に何だよ! ったく…!」(ただの回復だろうけど俺は毎度心臓破裂しそうだぜ…ってかシュウお前まで…!)マサキは内心、自分の情けなさに心が痛みつつも、落ち着こうと深呼吸をいくらしても心臓の高鳴りが止まらなかった。
チカがグランゾンの肩に飛び乗り、金色の毛並みが照明に輝く。「シュウ様~! かっこよすぎます~!」
クロとシロがマサキの足元に飛び乗り、柔らかな毛並みでじゃれ合う。「マサキ、ぼーっとしてるニャ!」
「オイラも思うニャ! シュウにやられちゃったニャ!」
「うるせえ! クロ、シロ、黙れ!」
マサキの熱い視線がシュウに戻る。シュウは紅茶のマグを手に、静かに微笑む。月光が格納庫の窓から差し込み、白いコートに淡い光を投げかける。「貴方と共にある限り、私は戦い続けます、マサキ」
マサキは顔を赤らめ、照れ隠しにそっぽを向く。だが、胸の奥で熱いものが込み上げる。「テメエ、かっこいいこと言うな! ったく…俺も、負けねえぞ!」
(シュウ…お前と一緒なら、どんな戦場も怖くねえ)
格納庫の静寂が二人の絆を包む。サイバスターとグランゾンが並び、クロとシロがじゃれ合い、チカがシュウの肩で跳ねる。紅茶の香りが戦場の傷を癒す。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.