三毛田
2025-06-30 12:35:12
1058文字
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039. 本気と嘘と

39日目
伝わらない好意

 何が本気の言葉で、何が嘘なのかわからず。
 人の言葉の裏を読むのは大変だ。その点、列車の皆は裏があるような言葉を口にしない。
 なのとパムは分かりやすいし、丹恒もわざわざそういうことを言わない。まあ、姫子とヴェルトは必要に応じて……って感じだろうな。
 だからこそ、伝わると思っていた。受け入れてもらえると思っていたというのは。
 流石に傲慢すぎた。
「フラれました」
「一部始終を目撃してました。丹恒、穹に言うことは?」
「いや。てっきり、嘘か冗談かと思ったんだ。済まない」
 丹恒に突撃告白したら、フラれてしまい。べそべそ泣いていたら、なのがよしよし。と頭を撫でてくれて。
 彼は少しだけ責められて、困ったように眉を下げる。
 そんな顔も可愛いと思うと同時に、俺の言葉は響かなかったのだと悲しくなり。
「なにを騒いでいる」
 ぽてぽてと、パムがこちらへ寄ってきて。
 注意でもしようとしていたのか眉がつり上がっていたけれど、泣いている俺と、責めるような眼差しのなのと、困っている顔の丹恒を見て俺たち三人の顔を順番に見ただけ。
「丹恒にフラれた〜! パム、癒やして〜」
「こ、これ! 鼻水をつけるでない!」
 勢いよく飛びつくと、耳でペシペシ叩いてきて。
「あーあ。穹、可哀想」
……たとえ本気だったとしても、俺にはその資格がない」
「資格の有無じゃないんだよ! 穹のあんたを好きって気持ちを、否定しちゃ駄目!」
「否定は……していない」
 自信がないのか、視線があちこちに動いている。
「他者へ、好意を抱くことが、俺には……
 理解できないというよりは、きっとそれを好意だと認識できていない。そんな感じが、彼から伺えて。
「じゃあ、聞くけどさ。丹恒は、ウチらのこと嫌い?」
「嫌いではない」
「うんうん。じゃあ、好き?」
 好きであるか? という問いかけに、また困ったように眉を下げ。
「嫌いでないなら、好きというのは些か単純すぎないか?」
「好き嫌いって、結局そういうものだよ。あ。ウチは丹恒のこと好きだよ。仲間としてね!」
 俺からの視線に気づき、ニヤニヤしながら〝仲間として〟と付け加える。
「仲間として。ではないなら、それはどういう」
「丹恒にはまだ早かったか〜」
「三月ちゃんもそう変わらんと思うが」
 パムからツッコミが入るが、聞いていないのか聞こえていないのか、鼻歌が返ってくるのみ。
「ウチは、ほら。恋愛漫画とか小説とか読んでるから。それでいうと、穹もちゃんとその自覚があるんだから」