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スサ
2025-06-29 17:12:39
1368文字
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【ゲタ水】シジミ汁
水木さんにずっと片思いしてるけど叶わないと思うし心に秘めているゲタくんなので他の人とも付き合うけど毎回振られる、みたいな話です。父さんはゲゲろっていうより原作とかの父さん寄りのイメージです。
「どうせ僕ァしじみ汁の男ですよ!」
朝食の場でいきなりぶちまけられたため、水木は片手にしゃもじ、片手に茶碗の体勢で固まった。そして、パチリと瞬きした後、「しじみ汁が良かったのか?」と困惑したまま首を傾げる。義息は何やら憤慨、または悲嘆に暮れた様子だったが、そんなにしじみの味噌汁が
…
、と思うと可哀想になる。
「今朝豆腐と油揚げの味噌汁なんだが
…
」
「イエお豆腐も油揚げも好きです」
「そうか、良かった」
ホッとした顔で笑う水木につられて「毎朝ありがとうございます、水木さん」とゲタ吉も言う。
へらっとお互いに笑い、なかったことになりそうだったが、ハッとしたゲタ吉はクワッと目を見開いて「ってそうじゃないんですよ!」と訂正してきた。
「そうじゃないって
…
、じゃあなんだ。しじみ採りにでも行くのか」
「行きませんよ
…
」
ため息をつくゲタ吉だったが、ほら、と茶碗を渡されれば「ありがとうございます」と礼を言い受け取る。
「
……
女の子たち、みんなそう言うんですよ。ゲタ吉さんみたいな人ホッとするわって。かっこよくもないし、モテるって感じてもないしって
…
前に付き合ってた人たちと全然違うって」
そこで水木はまじめな顔でちゃぶ台をひとつ叩いた。ゲタ吉も、ちゃぶ台にちょこんと座っていた目玉のおやじもビクッと跳ねる。
「ウチの子になんてこと言うんだ。そんな見る目のない小娘どもと付き合わなくてよろしい」
「小娘」
「ども」
幽霊族親子は分割して呟いた。ごほん、と咳払いして場を解凍に乗り出したのは年の功で目玉のおやじだった。
「しかし、わしの息子なのになんでモテないんじゃろうか」
──解凍は失敗に終わった。
「わしはのう、そりゃあもうモテモテじゃったぞ」
「水木さん、お味噌汁僕よそってきます」
「そうか、ありがとう。盆を使えよ」
「こりゃ!聞かぬか!」
水木の手がむんずとちまい体を掴んだ。
「痛い!荒事はよすのじゃ!」
「おまえ、父親が我が子の傷心をからかうとはどういう了見だ!」
「父親だから言っておるんじゃ!せがれがあのざまでは幽霊族再興など夢のまた夢じゃ!」
「馬鹿野郎、そこは『本当に思いあった相手と添い遂げろ』とかだろうが!」
「独り身は黙っとれ!」
「うるせえ!」
ぎゃんぎゃんと角付合わせ始めてしまった父達に毒気を抜かれ、ゲタ吉はすっかり前日に「ゲタ吉さんは優しいけど、物足りなくなった」と振られたことへの憤りなど忘れるしかなくなった。
そもそも、ゲタ吉も傷ついているわけではない。本当に一番好きな人とはどうにもなれないから、何となく縁ができた女の子達に優しくしているだけなのだし。そういう意味では、ゲタ吉だって誠実なわけではない。
そうはいっても振られればまあ少しは面白くない気持ちもあるというだけで。
…
あわよくば、一番好きな、初恋の人が可哀想にと慰めてくれないかなという下心もあって。
だけれども、その人は実父とくだらない喧嘩を始めてしまった。それはなんだか面白くない。
「父さん達、その辺で。ごはん冷めちゃいますよ」
声をかければ、ふんっ、とお互いにそっぽを向くのなんか子どもの喧嘩さながらだ。
まったくもう
…
と思いながら、ゲタ吉は父達と自分の味噌汁をよそった椀を盆に載せたのだった。
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