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三毛田
2025-06-29 13:54:49
1071文字
Public
1000字4
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38 038. 明日また笑って会えたら
38日目
なんと幸せだろうか
「じゃあ、また明日」
「ああ、また明日」
笑顔でブンブン手を振って、自室へと戻っていく。
「ふわぁ
……
穹、一日中走り回っていたのに元気だよねぇ」
「あれで、自室に戻ったらすぐに寝るから放っておいて平気だ」
「へ~。丹恒、穹のことよく見てるね」
頬杖をついていた三月は、ニヤニヤとこちらを見上げ。
「なんだ」
「べっつに~? あんたたち、本当に何もないの?」
「
……
今のところは、な」
そう。今のところは、俺と彼は親友だ。
「そうなんだ。親友のままでいいの?」
「それでいい。あいつの足枷になりたくない」
「足枷、ねぇ」
「なんだ。その含みのある言い方は」
「ううん。それは丹恒が勝手に思ってるだけで、穹はそう思ってない可能性もあるよ?」
「例えそうだったとしても、本人の口から聞くまでは憶測にすぎない。それならば、俺からは
……
何も言えない」
一方的な好意は身を亡ぼすと、決まっている。
身を滅ぼしたくないからそう言っているのではなく、彼の心を蔑ろにしてまでそんな関係になりたいわけじゃないから。
「お前も早く寝ろ。明日は、ヴェルトさんと一緒だろう」
「はーい。丹恒ってお母さんみたい」
「お前
……
」
「はいはい。寝ますって!」
三月は、タッタッと軽やかに客室車両へと帰っていく。
息を深く吐き出す。
上手く隠していたつもりだったのだが、彼女にはバレていたようだ。
そんなにわかりやすかっただろうか。
考えても仕方ない。俺も寝て、体を休めよう。
「たーんこ」
「
……
きゅう」
俺の顔を覗き込み、ニコニコと笑っている穹。
重い。
チラッと視線を向けると、俺に乗っていた。
「一緒にご飯食べよう。そしたら、出かけるからな」
「だったら、まずは退いてくれ
……
重い」
「ふふはっ。うん、そうだ。おはよう、丹恒」
「ああ、おはよう」
俺の上から下りると、ニコニコと手を伸ばして。
列車の中にいるから、危険はない。多分。だから、こうして笑顔で手を差し伸べてくれる。
そんな些細な日常が、とても勤いものだとオンパロスに足を踏み入れて知った。
止まらない赤に、指先が冷たくなっていく。
何が起こったのかわからないが、目の前にいる穹からは生命の熱を感じない。
列車の中で、どんな場所だろうと楽しそうにしていた彼の顔は赤く。同時に白く。
「穹」
どうにかして血を止めようとしている途中で、意識は途切れて。
「
……
」
しばらくし冥界から還ってきて、元気に走り回っている彼の姿にほっとすると同時にまた指先が冷たくなった。
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