草枕
2025-06-28 22:27:04
764文字
Public syzygy
 

syzygy_Nachtigall

レザさん(@saduki_sanaduki )との会話ログです。沙月さんに加筆修正をしていただいております。

テント内では、レザがすっかり目を覚ましていた。
マリアには声量を調整するゆとりがない話題だったのだろう。事情を知らないレザは、シルーを認めると、へたれた前髪もそのままに
「おい、先生怒らせたの?うるせえよ……
と不満を溢した。見れば毛布を下半身にかけたままだ。マリアの声で起こされたのだろうと予想がついた。
この気安いやり取りが、シルーは好きだ。

「悪かった。また正論パンチをくらってな」

マリアは、いつも正しいことを言う。理屈を味方に付けた、感傷を挟まない言葉を使う。
ただ、先ほどは。
言わせるべきではない言葉を引き出してしまったかもしれない。
シルーは、レザの青い瞳を捕まえる。朝を告げる鳥が飛ぶ空が、そこには広がっている。

「いつか医官が、あの正論で自分を傷付けそうになった時は、お前が止めてほしい」
こう……ギュッと」

敵兵の首を絞めて落とすジェスチャーに、レザは苦笑をこぼした。

「あのなあ……
まあ確かにあの様子じゃ、その時が来たらそれくらいしないと止まんなそうだ」

レザには何か思い当たるふしがあるのだろうか、呆れつつも特に驚きはしていない様子だった。
冗談めいた雰囲気を醸し出してはいるが、ため息混じりに零すあたり、半分くらいは本気なのかもしれない。
わざわざシルーが頼まずとも、二人はそう在るのだろう。言って、酷く安心する。

「じゃあ、俺は寝る」
「ああおやすみ」

レザは戦場においては贅沢とも取れる言葉を残し、立ち上がった。
レザがテントを出て行く音がする。マリアのところへ行くのだろう──そんなことを考えながら、シルーの意識は朝の夢に溶けていった。



credit
RPを元に合同で小説化
沙月(@saduki_sanaduki )
草枕(@kusamakura_siro)