三毛田
2025-06-27 23:15:23
1073文字
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36 036. 君が走ってくるその靴音を

36日目
実は楽しみにしている

「丹恒、たんこ〜!」
「これ! 走るな!」
 パムが掃除をしたばかりだからか、いつもより高めのキュッキュという靴音。
 叱られているにも関わらず、というよりも気にもとめず穹は俺の元へと一直線。
 踏み込んだと思ったら、飛びついてきた。ので、受け止めると、全身で抱きついてくる。
 いつものことなのて、ぽんぽんと優しく背中を叩くと、しがみつく力は強くなり。
「んん〜! 久しぶりの丹恒の匂いだ……
 うっとりとした声。首元でしゃべられるとくすぐったいのだが、離れる気配はなく。
「一週間だけだろう?」
「一週間も丹恒と離れるとか、前ならまだしも、恋人になった今じゃ考えられない!」
「通話はしていたんだ。声は聞いていたのだから、それで我慢しないと駄目だ」
 これから先、今回のように。いや。もっと長時間、開拓の進捗によっては離れ離れになること事だってあるんだ。
 慣れてもらわないと困る。し、俺も慣れたい。
 自分だけが、寂しいと思っているのだろう。
「穹」
「たんこぉ」
「このままお前の部屋へ。離したいことがある」
 パムの方へ視線を向けると、さっさと行けというように耳をパタパタと動かして。
 尻の下に手を添え、しっかりと抱え直す。
 階段は、ゆっくりと上がって、穹の部屋へ。
「ベッドに下すからな」
「うん」
 そっと下ろすと、腰を下ろした俺にぎゅっと抱き着いてきた。
「甘えたいのか?」
「そうだよ。甘えたいんだよ」
 ぐりぐりと、顔を胸に押し付けて。
「穹。寂しいのはわかる。俺も、お前と離れていて、寂しかった」
「丹恒も?」
「ああ。だが、これから先、一週間以上お前と離れ離れになる可能性は大いにある」
……うん」
「だから、慣れろ。少しずつでいい」
……うん」
 でも、嫌なのだろう。認めたくないのだろう。
 俺が口に出した途端、抱き着く力が強くなり。
「丹恒。何か丹恒の匂いがついたもの、ちょうだい」
「匂い……
「うん。霊砂にもらったお香でもいいよ」
 それは俺の匂いとは言わないんじゃ。という言葉は飲み込む。
「一番いいのは、ちょっと汗をかいた後の、脱ぎたてのシャツと……ほぎゃっ」
 それはさすがによくないと、思わず頭を叩いてしまう。顔が熱い。
 何故?
 そこまでいくと、俺でも許容できなくなる。
「下着って言わないだけましだろ」
「下着が欲しいと言ったら、流石に俺でも怒る」
「怒られてもいい」
「お前……
 呆れた表情を向けてしまったが、仕方ないだろう。
 まさかそんなことを言われるとは思わなかった。