syanpon
2025-06-26 19:49:00
10929文字
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青時雨に秘密をひとつ

うさぎさん(nmdusg)とのリレー合作小説です!!
起承転結の起と転をわたしが、承と結をうさぎさんが書いてくださっています……!!
キスにまつわる学生現パロのオトスバです!!!

 高校生のノートの後ろには秘密が詰まっている。
 授業中の暇つぶしの落書き、明日必要なもののメモ代わりの殴り書き、つまらない先生の愚痴、ノートの回収があると知って慌てて消されたそれらの痕跡。
 授業を重ねるごとに秘密への足取りは近くなって、また新しい秘密を新しいノートに作るのだ。

 ナツキスバルもまた、おろしたてのノートのうしろに秘密を作っていた。
 科学の授業用にと決めた緑色のノートの一番後ろのページを開き、そこに書いた文字を見直してスバルは1人嘆息した。
 ぐるぐると大きな丸で囲まれたそれの中心にはその筆圧とは裏腹に大変小さくか細い文字で『キスがしてみたい』と書かれていた。
 ちなみにキスの下にはちゅーと書かれていたが、横線二本でスバルにより訂正が入れられている。
 閑話休題。
 これが最近のスバルの頭を占める大きな問題であった。

 前提としてナツキスバルとオットー・スーウェンは最近お付き合いを始めたばかりである。
 二人が恋人関係に収まるまでには、オットーのアピールが伝わらず全部スルーしていくスバルや、血迷った結果、オットーの下駄箱に筆跡を変えた文字でラブレターを入れたスバルが秒で看破したオットーにとんでもない顔で学校中を追いかけ回されたり、スバルを放送室に追い詰めたオットーの「あんたが好きだって言ってるんですよ!」の決死の大告白が不運にも校内放送がオンになっていたため、全校中に響き渡る結果になったりした騒動があったのだが、この件を思い出すとスバルは両手で顔を覆って床をごろごろと転がりたくなるほど恥ずかしいため割愛する。

 恋人同士の初めてのキスにスバルは大変興味があったのだが、不覚にも学園公認カップルとなったオットーはスバルと手を繋ぐだけで汗をかき、顔を真っ赤にしてスバルに向かってはにかんでくるのだ。その顔を見るとスバルは胸のあたりがぎゅっと苦しくなってオットーに好きだと言いたいのに口の中がカラカラに乾き、何も言えなくなってしまう。
 手を繋ぐだけでこうなってしまうのだからキスなんてしようものなら二人揃って爆発してしまうかもしれない。だが、好奇心旺盛な男子高校生。心の準備ができるまでゆっくり待ちましょうねなんてことができるはずなかった。
 入念に計画をたてればスマートにオットーにキスをしてやることができるのではないか?あと俺にキスされて慌てふためくオットーのこと見てみたい、面白いだろ絶対。
 そう考えたスバルはこうやってノートに計画を書き記しているのである。

 オットーとキスをするにあたっての問題点は彼のつけている眼鏡やスバルより幾分か高い身長など様々だ。いくつかの攻略は妥協しなければならないだろうが、攻略法は多ければ多いほどいい。スバルは板書を自分が読めるギリギリの文字で書きとり、シャーペンを回し、先生の講義をBGMにファーストキスの攻略法を考え始めるのだった。