カリムの身に着けるものは、その全てが高級品、一級品だ。ルームウェアもその例外ではなく、絹の街で織られた最高級の絹が使用されている。一着でそこらの一般家庭の月収なんて軽く凌駕する。
だから、だ。破いたら、汚したら大変だ、と。そう考えてしまうだけで。
「ジャミル?」
こんな時に限ってうざったいくらいの笑みを消したガーネットレッドの瞳が、真っすぐに俺を射抜く。ああもう、余計なことを言うなよ。こっちはお前のルームウェアが重たくて重たくて、手がうまく動かないんだ。
「オレ、自分で脱げるぜ」
ああそうだろうよ。学園では自分で着替えているのだから、ボタン一つないルームウェアくらい今のカリムなら簡単に脱げる。そう、頭ではわかっているのに。
「俺が、脱がす」
やわらかく薄い絹が、金塊のようにずしりと重たく感じられる。
「ジャミル」
ああ、なんだよもう。そう問おうとした唇に、薄くてやわらかな唇が触れる。
「お前なら大丈夫だ。オレが保証する」
そう言って、片目だけを細めて挑発的に笑む唇にかじりついてやる。今に見てろ。そんな余裕ぶった口、きけなくしてやる。
「あ、じゃみ」
深い口づけをくれてやれば、甘い吐息が上がる。二人分の息が、荒くなっていく。
震える手でとろりとした手触りの服を捲れば、あたたかくなめらかな肌が現れる。
そうだ。このくそ高いルームウェアなんか目じゃない、黄金に今から触れるのだから。
覚悟を決めろ、俺。
すうと深く息を吸って、もう一度恋人に口づけた。
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