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三毛田
2025-06-22 22:27:29
1085文字
Public
1000字4
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31 031. 追い掛けるのは好きじゃない
31日目
好きじゃないので、気づいたら追いかけられてる
こちらから追いかけていくのは、なんとなく好きではない。
待ち続けるほうが、どちらかといえば得意だ。
それが、あの冷たく暗い場所にいた影響なのかと問われると、答えに窮する。
己のことなのに、己がよく分からないからだろう。たぶんそうだと思いたい。
「俺なら、逃げられたら徹底的に追い詰めて捕まえるかな」
「穹って、普段の言動からは想像できないくらい重いよね」
「一途って言って」
目の前で、穹と三月がそんな会話。
いったい何のことだろうか。
「丹恒はどうだろう」
「一途っぽい気がする」
「何の話だ」
「恋とか、色々。相手の事、大切にしそうだよね」
「懐に入れた相手に対して、優しいもんな」
「さあ。どうだろうな。その時にならないと、わからないだろう」
腕を組んで、二人を見下ろすと彼らはニコニコと俺を見上げてきて。
「でも。丹恒は追いかける側じゃなくて、追いかけられる側だよな」
「そう、だろうか」
「うん」
だって。丹恒が逃げたら、俺が追いかけるから。
なんて声が聞こえた気がするが、気のせいだろう。
そう思いたい。
「丹恒!」
嫌だ。駄目だ。これは、知られるわけにはいかないっ。
これは、違う。恋じゃない。恋心なんかじゃない。
捕まったら、駄目だ。
あの目を向けられた、感情を向けられたら。
それを自覚してしまいそうで。そうしたら、それを認めてしまわないといけない。
「丹恒! 逃げるな!」
一瞬穹の指先毛背中に触れそうになって。
飲月の姿になって、加速。逃げる。
「クソッ」
舌打ちが聞こえ、逃げきれたと思った。
「捕まえた」
大丈夫だと足を止めたら、後ろに引っ張られ。
熱を持った腕に抱きしめられた。
「そこ、までしてっ。俺、からっ。逃げるのかよ」
「だ、って」
「俺が、お前を好きなこと、何が問題んだ」
「俺だけの問題だっ」
「俺とお前の問題だ」
俺の背中で呼吸を整え、抱きしめる力を強くして来て。
「好きだ、丹恒」
「っ」
「やっぱり、なのが言ってた通りだ。丹恒は、追いかける側じゃないって」
「そう、だとしてもっ」
「丹恒から返事を聞くまで、離さないから」
背中から伝わる熱が、嫌じゃない。それどころか、心地よく感じ。
すっと普段の姿に戻り、穹の手にそっと自分の手を重ねる。
呼吸を整えると、思っていたより心臓がうるさいことに気づいた。
嬉しいけれど、それを認めたくなくて。
どうしたらいいのだろうか。
穹の事は、好きだ。
同じ思いを抱いているのが、凄く嬉しい。でも、それで本当にいいのだろうか?
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