米田
2025-06-21 22:23:02
2226文字
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歌会プラズマ 詠草への読み

2025年6月21日に開催した歌会プラズマ、参加者の皆さまお疲れさまでした!
とても楽しい時間になり、嬉しく思っています。
こちらは詠草への私の読みのメモです。

①お仕着せを透かして見えた少年が奮わす心共に行く宙(そら)    (カスガさん)

シャリアさんと出会った頃のシャアさんのことを詠んでいるのかなと思いました。
お仕着せ:上から一方的にあてがわれたもの、与えられたもの
誰かから与えられた使命に生きることしかできなかったそれまでのシャアさんの人生を、シャリアさんはそれを透かしてただの少年だったシャアさん自身を見てくれた、ということだと思うんですけど、11話でシャアさんが赤い士官服に変身した時に少し不服そうにしていたのも思い出しました。
彼は誰かから一方的に押しつけられるということを嫌だと思う気持ちがあるということなんだなと。
そんなシャアさんが、少年に戻ったように純粋に心を震わせて、シャリアさんと一緒にそらを駆けていく、そういう景が見えてすごく爽やかで前向きな気持ちになる歌だなと思いました。



②乱反射する日々だった過去も未来もそそがれてただの人になる (米田)

乱反射は「光が凹凸のある物体表面にあたってさまざまな方向に反射すること」ですが、この歌では宝石の乱反射を想定して詠んでいます。
お互いのことを光だと思っている、ということが雑誌のインタビューで明かされましたが、お互いを光だとして、きっとそう思っている本人自身はその光を受けて輝く宝石のような存在なんじゃないかなと思ったので、乱反射という語で表現してみました。
初句二句で光のこと、そう思っている人自身のことを詠んで、それ以降の句ではお互いの前ではシャアさんもシャリアさんも、何者でもなくただの人であれたんじゃないかなといったことを表現しています。
「そそがれて」はワインを注ぐ時の「注がれて」と雪と書いて雪ぐと読む時の「注がれて」のどちらの意味もこめています。
過去も未来もワイングラスに注がれて、そういう時は二人はただの人であれたように、過去の苦しみも未来での苦しみもどちらも浄化されるように雪がれて、肩の荷を下ろすように身軽になっていく感じ、が表現できていたらいいなと思います。




③酒精など無くとも上がる熱がある さめる事無く胸で脈打つ (そらさん)

「酒精など無くとも上がる熱がある」という上の句がすごくかっこよくて決まっていて好きです。
そうなんですよね、二人にとってはもはやワインというお酒がなくても二人の間の感情だけで酔えるんだよなという、そのことにはっとしまして、それってすごくロマンチックだなと思います。
「さめる」は熱が下がる時の「さめる」と、夢から醒める時の「さめる」の両方の意味がこめられているのかなと思って、冷めない熱と醒めない夢を胸に抱いて生きていく二人のことを思って私も胸が熱くなりました。
二人が離れている間も、二人の熱は冷めなかったわけですよね。
出会いが二人を変えて、感情が、いまだに熱を持って脈打っている。
二人のことを詠んだ歌としてとても説得力があると思いました。



④空っぽの杯を交わした高鳴りのその残響でわななく宇宙 (玄川さん)

10話でシャリアさんの木星船団任務のことが語られましたけど、大きな挫折があって、自分は一度空っぽになった、その上でシャリアさんは「彼は私と似ている」と話しました。
空っぽである内面が似ていて、そこにシャリアさんは惹かれた、という、そのことを踏まえた歌だと思います。
杯を交わすのは普通はそこにお酒などが注がれた状態のことを言うんだと思いますが、この歌の場合はその杯は空っぽで、その上で杯同士を合わせてカン、という高い音を立てる、そういうシーンを詠んでいる。
「高鳴り」というのはその時の触れ合わせた杯同士のことでもあるし、二人の胸の高鳴りのことでもある。
「その残響でわななく宇宙」という下の句がとても好きなのですが、「宇宙」というのはこの広い宇宙のことというよりは二人の心の中、みないな意味で取ってもいいのかなと思いました。
二人が出会って、感情を交わし合って、そしてそこから生まれる情動が二人の中の宇宙をわななかせている。
とてもグッとくる歌だと思いました。



⑤空洞(うろ)にこそ響いて宿る子守歌 そらの木馬は揺り籠に似て (蒼野あすたさん)

ソドンをゆりかごに例えるのすごくいいなあ!と思いました。
二人にとっての出会いからの成長を過ごしてきた艦ですもんね、と思ってグッときたんですが、それが上の句の空洞、空っぽの中に響く子守歌に繋がっているのがうまいなあと思います。
この歌も10話でのシャリアさんの過去を踏まえて詠まれた歌だと思うんですが、④番の歌と同じで「空っぽ」の部分に着目して作られていて、やっぱり「空っぽなところが似ている」と語られたことの大きさってすごいよなと思いました。
そして「子守歌」というのはシャアさんの過去、少年だった頃の報われなかった彼をビギニングの時に出会ったシャリアさんがその心のうろを見抜いて見つけて、少年としてのシャアさんを癒やしてくれたという、そういうことだと思うんですが、それって本当に誰にでもできることじゃなくて、シャリアさんだったからできたことだったし、シャアさんもそういうシャリアさんの、能力とはまた違った出どころの優しさに癒やされたんだろうなと思います。
そういう二人のことを考えて優しい気持ちになれる歌だなと思いました。



素敵な歌と評をありがとうございました!