
※ちょっと展開変わってますがだいたいこういう感じです
【レオナ・キングスカラー】
αとΩの両性持ち。
未分化で成長を見守られていたが、初めてヒートを迎えた際、制御不能となり王宮内で暴走。
→美貌ゆえに(国益となるけど素行が厄介な要人)襲われ、犯されかけ噛まれる一歩手前でユニーク魔法を発動し、相手を重傷にしてしまう。
その結果、王室的な体面とレオナ自身を守るためにΩ性を完全に抑える薬の投与を受け続けることになる。
→「噛む」ということに強い忌避感を抱く
どっちかというとΩの方がこのレオナの本質親和性高いんだけど、普通にαとしての質も高い。
→Ω持ちのため、通常Ωのフェロモンには反応せず(ジャミルの体質が特大地雷)支配者としての側面が強く出ていて、それを忌避している。
身体には未形成(または形成途中で壊された)子宮の痕跡や、欠落したΩ的性質の名残が存在し、発情(ラット)は通常のαよりも苛烈かつ偏ったものとなる
※Ω性を抑える薬が切れると発情する
→ヒートではなく、あくまでラット。『Ωとして』の生殖や、噛まれる側としてのつがいの受諾は長年の投与によって不可能になっている。
「どっちにもなれない、出来損ない。第二性と衝動に振り回されるただの獣だ」
【ジャミル・バイパー】
一方のジャミルは、Ωでありながら軽いヒートしか起こさず、薬もよく効くという「便利」な体質。
そのせいでアジーム家では、身内の暴走したαの処理係として扱われてきた過去がある。
“愛されるΩ”ではなく、“処理できるΩ”という位置付け。
その記憶と刷り込みから、性的な接触を「献身」や「義務」として受け入れてしまう傾向を持っている。
※その上、面倒ごとをわざわざ自分から背負い込んで文句言いながら捌いていくことを「自分は有能」と誇示するために行う悪癖がある。
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春を待つ獣
Prologue|花咲かぬ夜にて
生まれるはずだった季節の名を、彼は知らない。
春は来なかった。
香りもしない。
ただ毒のように熱をはらんだ夜があった。
その夜のために、すべてが狂っていった。
レオナ・キングスカラーは、美しすぎた。
その肉体にΩの兆しが現れたのは誰より遅く、誰よりも鮮烈で。
本能は追いつかず、支配欲は飢え、均衡は、壊れた。
燃えるようなヒートの奔流。
剥き出しの香り。
途切れた思考。
駆け出した視界の隅、手を伸ばしてきたのは、かつて優しい親戚のように在った、けれど今は国益そのものの男だった。
彼は古い体制を巧みに使いこなし、国の要に絡みついた実業家で、この国を「観光」で成り立たせた男で、レオナの「育ち」を知っていた。
だからこそ、牙を立てた。
咲いたばかりの蕾を、自分だけの花にするように。
舐められた肌も、埋められた指も、溢れた熱も、何もかもが気持ち悪くて、気持ちよかった。
けれど──
彼がその手でレオナの内奥を探りながら、頸元へと顔を寄せた瞬間だった。
レオナの中の何かが、烈しく、音を立てて拒絶した。
次の瞬間、男の右腕は──砂になって崩れ落ちた。
腹に残った砂の感覚を、レオナは未だ忘れることはない。
彼は、死ななかった。
王族を傷つけた罪と、経済を支える実績。
その両方を天秤にかけて、彼は引退したが、国の裏には、今も彼の名が残っている。
そして、レオナは、Ω性を喪った。
「お前を守るためだよ」
そう告げられた。
まだ形にもなっていなかった子宮に、苦い薬が流される。
生まれることを、宿すことを、咲くことを、拒絶された身体。
代わりに残ったのは、αとしての王族の資質。
けれどそれは、誰にも支配されず、誰も愛せない、孤独な血の証でもあった。
胎内に残った砂の感触が、
つがいという言葉を腐らせる。
『噛む』という行為を、穢す。
レオナのΩは、封じられた。
「誰のものにもならない」
その獣は、牙を抜かれたふりをして、生きている。
けれど、春の名をまだ、
どこかで待ち続けている。
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ここからプロットと下書き
1.
10月。校内マジフト大会後、オーバーブロットの後遺症と服薬の悪影響で、レオナの薬の効果期間が短縮される。
予定より日を跨ぐどころか、三日も早い効果切れ。
ラット。αの発情。
失ったΩのヒートではないのに、Ωを抑圧する薬が切れると律動する忌々しい衝動。
誰も孕ませたくない。孕めもしないくせに本能が肉欲を求める。
抑制剤もスマホも部室のロッカーに置いてあった。猫の1匹でも通ればラギーを呼ばせることは出来るだろうが、この状態を誰かに見られることも知られることも嫌だった。
少しでも人のいないところへ。
明滅する意識と一歩ごと重くなる足を引きずって運動場奥の森へ抜ける。サボり場所のひとつであるそこはいつもと変わらない木漏れ日と柔らかな芝生でそこにあった。
最悪ここで一晩熱に耐えなければならないと思うと気を失ってしまいたいとすら思う。
「レオナ先輩?」
10分にも1時間にも感じる時間、木の根本に体を預け蹲っていると、そこにジャミル・バイパーがいた。
ラットですか?と、なんでもないことのように近づいて来る。
「
……わかってんなら近寄るな。ただでさえショーガイジケンの首謀者に強姦魔のレッテルつけてぇのか」
来るな、来るな。見るな。
喉から威嚇音が鳴る。
「突き出してほしいならそうしますけど。辛いなら『処理』しますよ。そういう訓練受けてますから」
「は?」
思わず間抜けな声が漏れる。
「処理」という単語が、耳に残る。
その響きがあまりに無機質で、まるで医療行為のようだった。
その瞬間、微かに空気が変わる。
呼吸が、少しだけしやすくなる。
レオナには感じ取れないはずのフェロモン
――それでも、確かにそこには甘い何かがあった。
誘われるような、和らげるような。
「俺、Ωです。ヒートも薄いし、αに引きずられにくい。でも、体はそれ用に『準備済み』なんで。便利でしょう?」
笑っていた。
ジャミルは、淡々と、事務的に言った。
けれどその言葉の奥には、「役に立つこと」でしか自分を証明できないような、何かがあった。
「使っていいですよ。どうせ誰かがやらなきゃならないことですし」
レオナの目に映ったのは、どこまでも冷静に見える、年下の男だった。
けれど、その身の動きはあまりに滑らかで、あまりに手慣れていて
――
まるで、これまでにも何度も同じことをしてきたようにさえ見えた。
「
……まさか、お前
……慣れてるのか?」
「ご想像にお任せします。けど、処理係って、そういうものじゃないですか?」
その一言が、レオナの理性を吹き飛ばした。
思考が焼ける。
熱が支配する。
触れた指の先で、何もかもがどうでもよくなった。
ジャージ越しに触れた熱に、ジャミルの指が沈んでいく。
そこから先は、獣の本能のままだった。
---
木の幹に手をつかせ、無理のない高さで上体を預けさせると、ジャミルは一言も声を荒げなかった。
拒絶も、抗いもない。うなじの下、フードから覗く首筋に薄く浮く汗の香りが、かすかに生温い。
レオナは奥歯を噛みしめた。
発情の中で、それでも頭のどこかで理解していた。これは、自分のための行為だ。
けれど──その「配慮」が、かえって胸を締め付けた。
「
……誘ってんじゃ、ねぇってのに
……」
言いながら、指先は熱の奥をなぞっていた。
とろりと、とろけた内壁が触れるたび、ジャミルの腰が小さく揺れる。
まるで使い慣れた道具のように、レオナを迎え入れる。
「ふ、
……ん、く
……っ」
喘ぎは抑えていた。だが、息が洩れるたびに湿った音が混ざる。
奥を探り、何度か軽く擦ると、ジャミルの肩がふるりと揺れた。
「
……もう
……、大丈夫、です」
振り返らず、背中越しに言った声は、ひどく静かで──諦めているように聞こえた。
レオナは無言で腰を寄せ、先端を宛がう。
ひと呼吸。
ぬめる熱が誘うまま、ぐっと押し込んだ。
「──ッつ、
……ぅ、
……っ」
濡れていたはずなのに、入口はきつかった。
それでも、収まりきらない長さを時間をかけて沈めると、奥の方でぐっと吸い込まれるような感触があった。
ジャミルの手が、木の皮を掴んでいる。肩甲骨が細く震え、その下で腰が逃げようとしては、飲み込もうとする。
「
……ずいぶん
……慣れてんじゃねぇか」
皮肉ではなかった。事実だった。
締めつけが良すぎる。反応が整いすぎている。
だからこそ、レオナの中で何かが軋んだ。
「
……そう、ですね
……慣れて
……るのかも
……しれない、です」
間を空けずに、淡々と返される。
揺さぶりながらも、レオナはその言葉の端に、不意にざらついた感情を感じ取った。
「処理、って、そういう、ことか
……?」
「ええ。昔から、何度か
……身内の
……暴走したαの
……対応を、してきたんで
……」
「んぅ、
……大丈夫、ですから。気に、しないで
……ください」
「──ふざけんな」
レオナの腰が深く沈む。
その拍子に、ジャミルが押し殺した声を洩らす。
「
……あぁっ、く
……ぅ、」
「気にしないでって、なんだよ、それ
……ッ」
突く。
奥の奥まで、容赦なく。
白濁の熱が、滴り落ちるたび、レオナの喉の奥が焼けるように疼いた。
何をしている。なぜ、こんなふうに、すべて整えたように受け入れられている──
どうして、俺は、ジャミルの目を、見ていない。
「
……気持ち、よくなって、もらえれば、それで
……いいんです
……」
突きながら、その言葉を聞かされた瞬間、レオナの指先が震えた。
それは、献身でもなく、受容でもなく。
ただ、自己肯定のための手段だと、わかってしまった。
役に立てば、自分の価値を証明できると。
そんなふうに、自分の体を差し出している相手に、レオナは──
──何も、言えなかった。
---
何度目かの吐精のあと、レオナはわずかに揺れる視界の中で、ジャミルの背を見つめていた。
荒い呼吸の合間に聞こえる木の葉のざわめき。
発情の衝動はすでに、嘘のように静まっていた。
「
……助かった」
ぽつりと、それだけを呟いた。
目の前の背中に、かける言葉がほかに浮かばなかった。
ジャミルは木から手を離し、ぐっと身を起こした。
腰を引いた拍子に、レオナのものがずるりと抜け落ちる。
内腿を伝う白濁。湿った音。
それでも、ジャミルは顔色ひとつ変えず、乱れた衣服を整える。
「ラットは、どのくらいの間隔で起きるんですか」
振り返りもせず、抑揚のない声で訊かれた。
レオナは返答に詰まり、唇をぬぐう指を止める。
まるで、さっきまで身体を繋げていたのが他人だったかのような距離感。
余計なものは与えない。その一線の引き方に、レオナの胸がざらつく。
「
……一週間、くらいか」
「承知しました」
あっさりと、そう言ってジャミルは歩き出した。
ふらつくかと思ったが、足取りは意外なほどしっかりしていた。
枝葉を踏む足音が消えるまで、レオナはその場から動けなかった。
──熱を発散し、衝動を納めただけの行為。
それ以上でも以下でもない。
いや、そう思い込もうとした。
だけど、ジャミルの落ち着きすぎた対応が、あまりに冷静すぎて。
あんなに潤んで、喘いで、身を震わせていたくせに。
その裏に、どれだけの諦めと刷り込みがあったのかを思うと、
レオナのどこかが、じわじわと軋みを上げた。
「
……クソが
……」
頭をかきむしる。
けれど、ジャミルの姿はもう、森の中に消えていた。
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