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じれ
2025-06-17 17:36:24
1487文字
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like an idiot
ちゃぷり、と湯が揺れる音が浴室に響く。
「
…
消太さん、狭い」
「俺はちょうどいい」
今はお互いのちょうど胸辺りまである湯だが、そこそこ大柄の二人が浸かっているので恐らくどちらかが先に出れば随分と湯量は減るだろう。
浴室の窓からは明るい陽射しが差し込んでいるため電気を付ける必要が無い。天然の明かりに照らされながら入る風呂はなんと背徳的なのだろうと心操は思う。自分を背後から抱きしめるようにして抱えこむ男らしい腕を見て、つい先程まで行われていた行為を思い出しまた別の背徳感のせいでじわりと体温が上がる気がした。
「今日の消太さん、なんだかくっつき虫ですね」
上がる体温を誤魔化すために後ろの男に話しかければ、うんともすんとも返事はしない癖に心操を抱き締める腕に力を込め、さらに引き寄せてくる。そうされると、心操と相澤の身体はより密着するわけであり。となれば、心操の腰や尻に相澤の性器が触れるのが分かる。
「
…
っ、ちょっ、」
「しないよ。もうしないけど
…
、もう少しだけこうさせて」
心操を抱き締め、すり
…
と肩に顔を埋めるようにして甘えてくる相澤の様子が可愛らしくて(そんなことを本人に言えば下唇を突き出して不貞腐れてしまうのだろうけれど)心操はそのまま体の力を抜いて相澤に体を預けることにした。
思えば、今日の相澤は朝から少し様子が違った。昨晩も散々したというのに起き掛けの明るいうちから濃厚な口付けを落とされ、そこからは、まぁ。流れで。
その間、相澤の手は必ず心操の手と繋がれていた。
まるで、離れるなと言わんばかりに。
「
……
ねぇ」
「ん?」
「もしかして俺が向こう行ってる間、寂しかったんですか?」
「
………
」
正解を引き当てた、と心操は思った。
心操自身も相澤の体に触れるのは約半年ぶりである。海外での任務が思いのほか長引いてしまい、帰国できたのは昨日だった。それから今に至るまで、相澤は心操から離れようとはしない。
相澤は普段からあまり自分の感情を言葉にしない。しないからと言って、なにも感じていないわけではないと心操も分かっている。
(ほんと、不器用な人だなぁ)
ぽちゃん、と浴室の天井から雫が落ちて湯を揺らす。広がる波紋をぼんやりと眺めているとき、肩に感じたあたたかい雫は果たしてどこから来たものか。
「
…
お前は平気なのかもしれないけどね」
そう言いながら、相澤は湯の中で腕の拘束を解いて「もう上がろうか」と声を掛けてくる。心操の体は自由になる。だが、完全にその腕が離れる前に振り返り、滑らないように気を付けつつも湯気ですっかり濡れた唇同士を重ね合わせてやった。相澤は心操からの唐突なキスに驚きながらもそれを拒否するでも無く受け入れて何度も何度も唇を擦り合わせ、時には視線も絡ませる。やっと唇を離したときにはお互い汗だくになっていた。でも今はそんなこと、どうでもよかった。
「寂しかったの、消太さんだけじゃないですからね」
連絡が取れない間、ホテルのベッドで眠る前についついちゃんと眠れているだろうか、食事をしているだろうか、あの人は自分のことになると途端にいろんなことがおざなりになるから、と考えていたけれど、一番最後に必ず思ったのは。
早く会いたい
「自分だけが寂しい、みたいに思ってたら大間違いですよ」
「
……
そうか」
へにゃりと眉を下げ微かにながらも嬉しそうに笑うその笑顔を見て「難儀な人だな」と心操は思う。
それでも、もうこの男から離れようとは思えないのだから自分もなかなかなものだと一人心の中で笑った。
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