たかせ
2025-06-16 23:51:29
2832文字
Public ロウリン小話
 

テイフェス妄想 小話版


前にあげたテイフェス妄想 と並行して書いてた小話版
今回まで見たことがなかったので設定はふわっとしてます

ロウ視点→リンウェル視点






「すっげえ」



思わず出た声に、少し先を歩くリンウェルが「でしょ」と楽しそうに頷く。
『祭典』ってやつの話だけは散々聞いて(聞かされて)きたけど、やっぱり実際その場に居合わせると全然違うもんなんだな。
会場は想像よりずっと大きくて広いし、俺たちと同じように集まったやつらもたくさんいる。
何だか不思議な世界に迷い込んだみたいだ。

「なあ、こいつらってみんな違う世界からきてるんだよな?」
「うん。みんな強くてすごい人ばっかりなんだよ」
俺の問いかけに顔だけ振り返って笑顔を見せるリンウェル。目的地がわかっているからなのかその足取りは迷いがない。そんなリンウェルを追いかけつつ、俺はもう一度きょろきょろとあたりを見回した。
確かに佇まいからしてただものじゃなさそうなのがゴロゴロいる。立ち話してても、隙がないっつーか。
どういう原理でそんなやつらばっかり集まってんのかはわかんねえけど、やっぱすげえ。


――それに。

ここに来た時から思ってたけど。
キレイなお姉さんがいっぱいいる!

清楚で知的な雰囲気のお姉さん、スタイル抜群のやさしそうなお姉さん、元気いっぱい笑顔がかわいい感じのお姉さん――いや、美人多すぎだろ!しかもみんなすげえ強いって、どうなってんだよ!?

「へえ……すげえな」
今すれ違った人もめちゃくちゃかわいい!
思わず視線で追いながら生返事を返した次の瞬間、脳天に激痛が走った。
「いって!!」
「フルッフー!!」
馴染んだ痛みに反射的に涙が出る。思わず頭をかばった腕の向こうで、リンウェルが眉を吊り上げているのが見えた。
しまった。ちょっとぼーっとしてた間に置いてかれかけてる。
「迷子になっても知らないから!」
リンウェルはべ、と舌を出したかと思うと、俺に背を向けてさっさと歩きだしてしまった。
「あ、ちょ、おい!待てって!」
マズイ。
ここに来る前に散々言われたんだ。『絶対リンウェルを一人にしないで』って。
真顔で詰め寄ってきた二人の姿を思い出して、俺はフルルに頭をつつかれながら慌ててリンウェルの後を追いかけた。



***



分かってたけど……分かってたけど!
やっぱり腹が立つものは腹が立つ!

予想通りライラやミント、パスカル、シェリアにでれでれしまくっているロウに、私は案内してあげようと考えていたのをあっさり放り出して背を向けてしまった。
そりゃそうなるよね。分かってたよ。ロウはきれいなお姉さん大好きだもんね!
何か言いながら後ろから追いかけてきているのは声でわかったけど、私は無視を決め込むことにする。

――やっと一緒に来れたのにな。
そう思ったら何だか悲しくなってしまって、私は慌ててうつむいた。
――ううん。やめやめ!今日はアルフェンとテュオハリムのことも頼まれてるんだし。シオンとキサラが居ない分、私が頑張らないと。


よし、と気合を入れて顔を上げたら、聞き覚えのある声がすぐ近くから聞こえてきた。
「あれ~?リンウェルちゃんじゃん!久しぶり~」
「ゼロス」
ふわりと広がる赤毛に思わず視線が引き寄せられる。私の目の前に現れたのは、一緒に司会を務めたこともあるゼロスだった。
立っているだけで華がある美青年。腕も立つし、頭もいい。人好きのする笑顔で女の子に人気もある……みたい。周りの人は微妙な反応してたけど。

「久しぶり。元気そうだね」
「リンウェルちゃんの顔見たからそりゃ~元気よ!」
こちらに歩み寄りながらさらりと平気でそういうことを言うゼロス。私の周りにはいなかったタイプだから最初はびっくりしたっけ。
「はいはい、ありがと」
「ちぇ~。つれねえの。俺様の本心なんだけどなあ」
がっくりと肩を落とす変わらないゼロスの姿に、私は思わず笑ってしまった。こうやって構えなくてもいい雰囲気を出してくれるところは素敵だなと思う。

――ってあれ?今日シオンちゃんたちは一緒じゃねえの?」
「ああ、うん。シオンも、キサラも今回は居ないんだ」
「そりゃ残念。リンウェルちゃんも心細いだろ」
……うん。でもその分、私が頑張らなくちゃと思って」
「お、感心感心」
へらりと笑うゼロスに、子ども扱いしないでよね、と頬を膨らませてはみたけれど、それは少しの間ももたなくて、思わず二人で笑いあった。
「ふふ、ありがと。ちょっと落ち着いた気がする」
「そりゃあよかった。リンウェルちゃんも楽しまねえとな」
「うん」

そうだよ。私、今日を楽しみにしてたんだ。アルフェンと、テュオハリムと――ロウと一緒に、ここに来られることを。
そういえば、ロウはどうしたんだろう。いつの間にか声も聞こえてこなくなっていることに気づいて、私は内心焦りだした。
まさか……本当に迷子になっちゃった?

やっぱり置いてきたのはまずかったかも――そう思ったちょうどその時、不意に腕を掴まれて私は慌てて振り返った。
視線の先、いつの間にかすぐそばにロウが立っていた。頭をフルルに齧られたままで。

……誰だよこいつ。こいつもすげえ奴なのか?」
何か妙に慣れ慣れしいけどよ。
ぼそりと頭上でそう呟いたロウは、何やら眉根を寄せて難しい顔をしている。さっきまででれでれ鼻の下を伸ばしていたのが嘘みたいだ。

「え、えっと、この人はゼロスって言って――
「ふうん」
突然現れたロウと彼の雰囲気に少し困惑したまま口を開いた私を遮るように、ゼロスが口をはさんでくる。
今度はそっちを振り返れば、何やら楽し気ににやりと笑うゼロス。その目は私というよりは背後に立つロウに向けられていた。
「なるほどね。こいつがリンウェルちゃんのナイトってわけか」
「はあ?何だそれ」
ゼロスの言葉に、ロウが怪訝そうに声を上げる。
ナイト?ロウが?
一瞬その言葉を考えて、私は慌てて頭を振った。
「な、ち、違うから!どっちかっていうと私がお世話してるの!」
「お世話ってなんだよ!」
「何よ!準備とかいろいろしてあげたでしょ!」
思わずいつもの感じでロウと言い合っていたら、ロウに掴まれたままの腕とは反対側の手をするりと取られた。

え、と見上げた先には涼し気に微笑むゼロス。こういうの似合っちゃうところがすごいよね。――普段はただの面白いお兄ちゃんなのに。
「へえ。じゃあ、俺がリンウェルちゃんのことエスコートしても問題ないってことだよな?」
「あ、おい!べたべたすんなよ!」
ぱちんときれいなウィンクを決めるゼロスに、ロウが食ってかかる。
え、何、何なの??
何故かゼロスとロウに挟まれてしまった私はおろおろと二人を見上げることしかできなくて。
――そんな私を助けてくれたのは、やっぱり。

「フルッフー!!」
「あだ!!」
「痛ってえ!!」

ごす、ごす、と二人の頭をつついてくれたフルルだった。



うん、私のナイトはフルルだよね!