三毛田
2025-06-16 22:13:11
1074文字
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25 025. その手に触れて

25日目
もっともっと触れたい

 傷だらけで不格好だと、自嘲気味に。
 けれど、それは守るべきものがあって戦った証。
「穹、手にしているものは何だ」
「ハンドクリームと軟膏」
 先に軟膏を、優しくなじませるように塗る。
 どうしてこんなことをされるのか、わからない。そんな表情を浮かべていて。
「丹恒。お前の手は、武器を握る手。そてと同時に、アーカイブをまとめる立派な手。だから、もっと大事にしろ」
……そう、言われたのは初めてだ」
 驚いたように目を見開き、ハンドクリームを塗る俺の顔を見て。
「だったら、俺のためだと思って大事にして欲しいな」
「善処しよう」
「してください」
 ちょっとだけ強めに告げると、困ったように眉を下げる。
 くっ。その姿は可愛いけれど、それだけじゃ絆されないぞ!
「はい、出来上がり。しばらくあちこち触るのは駄目。クリームがなじんだら、大丈夫だから」
「わかった」
 頷いて、手を顔に近づけて匂いを嗅いだりして。
「甘いな」
「嫌だった? それだったら、今度から無香料のを選ぶよ」
「いや。お前は、この匂いは好きなのか?」
「うん? うん。結構好き」
「そうか。なら、このままで」
「じゃあ、次からは自分で塗ってみて」
「少なくてもいいだろうか」
「うーん……化粧水と乳液をちゃんとつけてから塗ると、効果的かも」
「なるほど。勉強になるな」
 頷きながら、今度はハンドクリームの裏の成分表を読み出す。
 そういうところ、丹恒らしいんだよな。
「丹恒。俺がいる時にハンドクリームを出しすぎたら、俺の手に塗っていいから」
「手に?」
「うん。だって、タオルとかティッシュで拭いちゃうの、もったいないだろ?」
「そうなのか?」
「そういうものだよ」
 そう思っているのは本当だけど、丹恒の手に触れたいっていう下心はもちろんある。
「丹恒」
「穹の手は、触れていて気持ちがいいな」
「そ、そう?」
 そっと手に触れると、目を細めてそんな言葉を。
「あ、ありがとう」
「どういたしまして?」
 俺がお礼を口に出すと、この返事でいいのだろうか? というように首を傾げ。
 うんうん。そんな仕草も可愛い。
「俺も、丹恒の手に触れるのが好き」
……
「丹恒?」
 手を取りながら告げると、じわじわと顔を赤らめていって。
「ど、どうしたんだ?」
「お前の口から〝好き〟だと告げられたのが、その……思っていたよりも、効いた」
「うぐぅ」
 丹恒の言い方の方が、ズルいし俺にクリティカルヒットだ!
「穹?」
 俺が胸を押さえて蹲れば、心配そうにこちらを見て。