【R-18】【シャアム】out of sync

クワトロ×CCA1年後アムロ(生存if軸)。えっちなお姉さんアムロのすけべを書こうとした意欲作(?)しかしすけべならず。 ふたりの夢なのでアウドムラ風の異空間ステージ。

「っは……今はクワトロ大尉・・・・・・、だっけ?」
「アムロ……ッ、君は」
 シャアの腰に跨り、ベッドに散る金髪を見下ろした。
 サングラスと赤いノースリーブの連邦服を身に着けたシャアは、クワトロ大尉と名乗っていた頃と同じ姿をしている。髪は今のオールバックではなく、肩までの長髪。顔もなんだか少し若い。グリプス戦役前か。俺が今さっきまでいたのは宇宙世紀九五年だから、大体八年前あたりだろう。
 ここはアウドムラの一室――おそらくシャアの自室だろう――に見える。入ったことはないから勝手な想像だが。
 宇宙特有の嫌な浮遊感、深く重いエンジン音、振動、ベッドの質感、そして微かなヘレンヘレンの香りが当時の記憶を生々しく再現した。まるで自分が未来からタイムスリップしてきたようだ。夢とはいえ、信じられない。
 現状に戸惑い眉を顰めるシャアは、普段の傲岸不遜の態度はどこへいったのか珍しく余裕がなかった。総帥と呼ばれている憎たらしい男ではない。しかし、尻に当たる硬い感触に、目の前の男もシャアに変わりないと確信する。そのまま尻を擦り付けて煽ると、敷かれている男は息を詰めて顔を反らした。はは、可愛い反応をする。
「君は、貴様は誰だ……!」
「貴方の思ってる通りだよ。少し年上になっちゃったけど」
 警戒するシャアの目元を撫でて宥めると首を竦めた。そのまま身体を屈めて、サングラスを奪って蒼を覗き込むと、急な光で締まった瞳孔が俺を認めて開いた。互いの前髪や息も触れて、シャアの思惟が流れ込んでくる。八年後と変わらない。この男の思惟はいつだって煩くて分かりやすい。ギシとベッドが軋んだ。
「アムロ、どけ」
 唇が触れそうなほどに近かったが、シャアは途方に暮れている子どもの顔をしていた。男の言う通り退いても良かったけれど、悪い癖が「どうせ夢だろう」と唆してくる。夢であれば好きにすればいい。
 触れたいと思っているのはシャアだけではない。外に漏れない発散場所ならここはうってつけだ。
 軍服のファスナーをゆっくりと下ろしていくと、唾を飲み込む音がした。俺を欲しがっている音だ。シャアは穴が空くほど熱い視線を向けていた。ここまで筒抜けな男だっただろうか。腰が甘く痺れて重くなる。
「俺で興奮しているのか? ……ああ、それとも俺を通して別の俺を見ているのかな」
「やめたまえ。私は君とこのようなことは」
「嘘つき」
 唇を奪うとシャアの肩が跳ねた。
 押し返す腕を掴んで、何か言おうとした瞬間を見計らって唇を割りそのまま舌を捩じ込んだ。熱くて滑る口の中を舌先で探っていると、掴んでいた手首が逆に掴まれて引かれた。消極的だった舌が俺の舌に絡んでくる。柔く噛まれて溢れてくる唾液を飲み込んだ。口だけの拒絶。シャアの思惟からは「欲しい」としか感じられなかったし、シャアが俺の思惟を感じたとしたら同じ気持ちを感じただろう。建前なんて要らない。
「ん、」
 声を漏らすと、シャアが名前を呼んだ。
 舌で表面を擦られ、舌のつけ根を突かれる。もどかしそうに上着を脱がされ、息継ぎの合間にまた名前を呼ばれる。
 シャアのキスは八年経っても変わらない。
 上顎を撫でられて我慢できず声が溢れた。すべてを奪う嵐のようなキスだ。負けじと歯列に舌を這わして、溢れる唾液を吸い取った。ごくりとやけに音が響いて腰が疼いた。シャアの舌を口内に招いて唇で扱くと声を漏らした。低くていやらしい、俺の身体を痺れさせる声。
「シャ、ア」
 じゅく、と音を立てて唇を離した。唾液が糸を引いてゆっくりと切れる。
 シャアを見下ろすと頬を赤くして息を乱していた。信じられないと言いそうな潤んだ目をしていて、混乱しているようだった。純朴だと思っていた少年がいきなり手慣れたディープキスをしたんだから、当たり前だ。
 おかしいな。シャアが可愛く見える。
 ふ、と笑った瞬間、怒気が取り巻いた。
……君は、どこで」
 蒼い瞳に怒りが混ざっていた。
 シャアはいきなりキスをしたことではなく、俺がしたキスに怒っていた。言い逃れは許さないと雄弁に語っている。怒りの理由は額の傷を消さずに残しているものと同じであればいい。
「教えない」
「アムロッ」
 未来のお前に仕込まれたなんて格好悪くて言えないだろう。絶対に言いたくない。
 この男を喜ばせたいのか怒らせたいのか、あるいは両方なのか。ただシャアに構われたくて戯れているだけかもしれない。
 貴方の思惟は俺で溢れているし、俺の思惟だって貴方で溢れている。それは八年後も同じで、きっとその後も同じだろう。人を好きになるのにニュータイプなんて関係ない。
 シャアの目の前で見せつけるようにアンダーシャツを脱ぐと、名前をまた呼ばれた。貴方の中の俺はこんなことをしないだろうね。「誰に」嫉妬心を剥き出しにしたシャアに腕を掴まれ、可愛くてつい笑ってしまった。シャアの瞳がギラつく。
 純粋な貴方は美しい瞳をしている。
「何がおかしい」
「ああ、いや。相変わらず俺のこと好きすぎるなと思って」
 驚いたシャアに「気持ち良かった?」と身を屈めて距離を詰めた。あからさまに恨めしい視線が楽しい。額の傷跡に唇を落として「俺も」と声を出さずに言った。
 貴方と触れ合うのは酷く痛くて、ひたすら気持ちが良い。
 俺の右肩の傷は変わらず貴方の隣にあるよ。
「アムロ」
「ね、えっちしよう」
 貴方と繋がりたい。
 シャアの手を取り、裸の胸に触らせる。
 いつか醒める夢ならここにいる貴方を欲しがっても構わないだろう。
 細くて長い指が恐る恐る乳首に触れると、ひく、と後ろが引き攣るように疼いた。パイロットたこのできた硬い皮膚で擦られて仰け反ってしまう。シャアは俺の名前を呼んで、腕を掴んで引き倒した。
 怒ってたんじゃないのかよ。胸に顔を埋めたシャアに苦笑した。即物的で正直な、可愛い男だ。
 馬鹿みたいに名前を呼ばれる。繰り返さなくとも聞こえている。
「ぁん、シャ、ア……ッ」
 嘘つき、嘘つき、嘘つき。
 あの頃は、何も要らなかったのに。
 これだけで良かったのに。