テロリストとして指名手配されているアマテ・ユズリハがシャロンの薔薇とともにソドンに回収されてすぐのこと。
シャリアの執務室でシャリアはマチュの尋問を行なっていた。シャリアの部下コモリ・ハーコートも同席している。
「マチュ君には夢がありますか」
尋問らしいことはあらかた終えていて、シャリアの側にしてみるともう終わりにしてもよかったのだが、それはそれとしてまだ確認したいことはあったのだ。
「夢?」
マチュとコモリは戸惑いながらシャリアを見る。軍事機密垂れ流し尋問に比べたらましかもしれないが、尋問らしさはない。
進路希望の提出紙に「クラゲ」と書いたことをマチュは思い出した。三者面談で『地球の海で泳ぎたい』と言ったことも。
「そういう夢も素敵ですけど。何か出来ないことでマスターしたいことはないかと」
(クラゲになりたいことは否定しないのか
……。確かにヒゲマンはお母さんと違うもんね)
「何か成し遂げたいことがあって、そのために身につけないといけないこととかありませんか」
(成し遂げたいこと
……シュウジにもう一度会いたい。地球にいるララァさんを助けたい)
シャリアはにっこりと笑った。
「いいですね」
(そのためにはどうしたらいいんだろう)
求めるものがある。なのに手の伸ばし方がわからない。
「ところで、ジークアクスは誰でも動かせるものではありません。でもマチュ君、君はもっと動かせるようになった方がいい」
シャリアはマチュを見つめた。
(もしジークアクスを使いこなせるようになったら、私はようやくあなたに取引を申し出られる。あなたに何か望みがあるのなら、私はきっと手助けできます)
「!」
シャリアの誘導に乗せられた、ということではあるだろう。だが、マチュには確かな『手段』だ。
「私、ジークアクスをもっと乗れるようになりたい」
「中佐、いいんですか?」
コモリが胡散臭そうに確認する。
「では、一緒に訓練をしましょう。この
艦の正規の仕事の合間になるとは思いますが、時間はあまりありません」
「え? なんで?」
「イオマグヌッソの完成までという期限がありますから」
コモリの目の前で勝手に分かり合っているニュータイプ二人。もうどうなってもいいや、とコモリは目をつぶった。
了
おまけ
「ヒゲマンは夢とかないの?」
「ありますよ。かれこれ5年間、その夢に邁進しています」
「そっか〜(赤い彗星さん、愛されてるなあ)」
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.