ぽふむん
2025-06-14 22:53:00
1096文字
Public ワンドロ
 

化け猫

#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「土蔵」「息遣い」

土蔵を改造した研究室で毒の研究、服毒中のしのぶちゃんです。

しのぶちゃんの蟲に呼吸……実は呼吸ではないんじゃないかという説を見ての作品です

胡蝶しのぶは猫が嫌いだという。
同族嫌悪と言うやつなのだろう。
そんな事を本人に言ってしまったとしたらきっと「あんな毛むくじゃらと一緒にしないでください」ということだろう。
でも 、蟲柱胡蝶しのぶの姿を知る鬼殺隊士は皆、猫のような少女だと思っている。

見た目は細く、小柄で、くりっとしたつぶらな瞳。
小さく、官能的なふっくらした唇。
身軽で、しなやかで……

猫のような少女だ。

本物の猫を抱いていたら、さぞかし画になろうものだが……

どうしたわけか、この少女は猫にも嫌われる。


毛を逆立て、威嚇のポーズで

ふぅうううう、ぎゃぁああああ
と唸られる。

近親憎悪なのだろう。

皆そう思っていた。

でも、実際は違う。
親憎悪なんかではない。
……特に猫は人ならぬ者を見分ける目を持つという。
猫は、しのぶが人とは違うもの。
妖に近いと見抜いている。
だから警戒し、威嚇するのだ。

しのぶは鬼の首が斬れない。
にも関わらず柱にのぼりつめた。

首が斬れないのは身体が小さく力が弱いからだけでは無い。
首を斬るのは古来から特殊技能だ。
一般人がほんの数年の訓練でできるものではない。
それを、鬼殺隊士は独特の息遣い。「呼吸」でやってのける。
だが、しのぶは呼吸が使えない。
色変わりの刀の色が変わらない。

その事実に最初は打ちのめされた。
だから禁じ手を使った。

女好き……いや、女に甘い刀匠に頼み込み、特殊な形状の刀を打ってもらった。
色の変わる部分を削いだ、特殊な形状の刀を打ってもらった。
特殊な戦法を取った。

そして、特殊な方法で身体を強化した。

あの鬼だけの為に


鬼を殺す毒

それは藤だけでは無い

どんな種類の生き物でも、共喰いは病を引き起こす。
弱毒化した鬼の細胞と藤の混合毒を毎日コツコツ一年以上摂取した。

今や人でも鬼でもない生き物に成り果てた。
あなたのための毒人形に成り果てた。
研究のための土蔵で今日も毒を食む。

そこに1匹の猫が迷い込んだ。
そして、しのぶに気づき毛を逆立て背中を丸める。

ふぅうううううみゃあああ!ふぎゃぁああ

猫の、赤子の泣き声にも似たうめき声に

しのぶの瞳が暗紫に光る。

しゃあああうみゃああ

人間ではない唸り声がしのぶの喉から響く。
上位の存在に、猫は恐れおののき逃げていく。

うみゃあああ

ああ、ついに人の娘ではなくなった。
こうなったのも、あなたの為。

あなたのためだけに、今日も毒の呼吸をしている。
これはお前さんのための息遣い

あなたに会える時を楽しみにしてますよ。

覚悟しろ