三毛田
2025-06-14 08:13:09
1073文字
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23 023. 捨てたはずのもの

23日目
それでも執着するのはなぜなのか

 捨てたはずのもの。捨てられたはずのもの。
 それなのに、つきまとうのは付きまとわれるのは、どうしてなのだろうか。
「今の俺には、彼らだけでいいのに」
 捨てたのはあちらなのだから、都合の良い時だけ仲良くしようとしてくるのはいかがなものか。
 まあ、色々考えたとしても答えはすぐに出ない。
 それならそれでいい。多分。
「丹恒、抱っこ〜」
「ほら」
 今日は甘やかしてくれる日なのか、手にしていた資料を置いて手を広げて。
 いつもなら、勢いよく飛びつく。でも、今日はそっと。
「どうした?」
「丹恒に甘えたくなっただけ!」
「ふ。そうか」
 優しく頭を撫でて、それから触れるだけのキス。
「なんで、捨てた相手に対してわざわざ絡んでくるんだろうな」
「それも一種の執着だ。まあ、彼らの場合は彼らの〝脚本〟に必要なピースだから。というのもあるだろう」
「あー……それもあるか。でも、何を考えてるかわからないんだよ。それが、怖いかも」
「誰も彼も、考えていることが丸わかりだったら、それはそれで生きにくい世の中だが」
「それはわかってる。わかってる? うーん……
 丹恒の胸に顔を埋め、考えてみる。
 確かに、考えていることがわかりにくいからこそ、それを暴くのが楽しいという時もあるな。
「あまり考えすぎると、熱を出すぞ」
「そこまで子供じゃない!」
 むすっと頬を膨らませると、また笑われた。
「丹恒〜?」
「お前が可愛いから、つい」
「俺は可愛いですからね!」
 胸を張ると、柔らかく微笑み。
「丹恒、一緒に寝よう」
「つまりこのままここで、ということか?」
「うん。今日の業務は終わってるだろ?」
 問いかけると、若干驚いたように目を見開いて。
「護衛としての業務は、誰かが外出しない限りはないしさ。いいだろ?」
 また胸に頰をつけ、おねだりする。
 彼が、俺のおねだりに弱いことは把握している。だからこそできる、狡い技だ。
「ただ、風呂は別だ。それを守れないなら一緒に寝ない」
「はぁい」
 思ったより甘い声が出て、丹恒がグッと息を詰まらせ。
 あ〜。可愛い。
 押し倒して、キスをして。デロデロに蕩けさせて。
 俺以外を見ることができないようにしたい。
 今も俺だけを見てくれているけれど、二人きりの時は、他のことを考える余裕などないくらい俺に夢中にさせたいのだ。
 傲慢だと、言われてしまっても仕方ない。でも、それくらい彼が好きなのだ。
「丹恒」
「どうした?」
「大好き」
「ふふ。俺も、お前が大好きだ」
 甘く優し声が耳に届く。