さかな
1068文字
Public かきかけ
 

コンテンツ🐬🌸

「僕のことお好きですよね?いいですよお付き合いしましょう」って上から〜な感じで告白する🐬と、「先輩のこと好きですけどそれはコンテンツとしてなんで……」って断わる🌸

「貴方って……僕のことお好きですよね?」

 モストロ・ラウンジのバイト終わり、賄いを食べつつ魔法薬学のペア課題について相談途中のこと。今回は課題の薬に使う素材を各自調べ、次の授業までに植物園で採取しておかなければならない。それをいつどうするか、と話していたはずだった。

「え、あ、はい?」
「ふふ、そんなに驚かないでください。ほら、バイトも魔法薬学も、僕と一緒にいる時間をいつも楽しそうにしてくれるじゃないですか。山にも何度も同行してくれますし……これは、そういうことだと思いまして」

 会話の急ハンドルについていけず、監督生は口に運ぶ途中のスプーンもそのままぽかんとジェイドを見つめる。ジェイドは監督生の顎に手を添え開いた口をそっと閉じさせると、なんてことのない風に続けた。

「いいですよ、お付き合いしましょう。ね?」

 微笑みはとても柔らかく、言っている内容の強引さと釣り合っていない。監督生は数秒だけフリーズし、すぐに首を横に振った。

「ち、ちがいます! 先輩のことはもちろん好きですけど、コンテンツとしてというか……
「コンテンツ?」

 ジェイドの笑顔に、ぴしりとヒビが走る。

「先輩って、面白いじゃないですか。観察してると飽きないし、いろんな知識を持ってるし……。普段スマートで格好いいのにキノコの話になるとかわいかったり、すごく……見てて楽しいなって思うんです」
……つまり、僕はあなたにとって“楽しい観察対象”でしかないと?」
「まぁ……そう、ですね?」

 はにかみながらこちらを褒めてくるくせに、恋愛感情はない、と。
 監督生は固まるジェイドにきょとりと首をかしげ、添えられていた手が離れていくのを此れ幸いと食事を再開する。あまつさえ「今日のピラフおいしいですねぇ」「これパエリアだよ」「えっ」なんて他の寮生と会話なぞする始末。

「先輩、食べないんですか? 冷めちゃいますよ?」
 
 山盛りのパエリアを前に表情を落っことしたままのジェイドへ、監督生が邪気のない顔で聞く。ジェイドは頬に手を当てて芝居がかった嘆息を漏らした。

「ひとをコンテンツ扱いとは……まるで僕が奇妙な展示物か何かのようじゃないですか。まったく、監督生さんたらひどいです」
「いやいや、先輩こそ人の言動を逐一観察して“実に興味深いですね”とか言ってくるじゃないですか〜」

 お得意の下手な泣き真似をするジェイドを監督生が笑う。

「綺麗なブーメランじゃん」
「んぐッ」
「ふ、くくくく」
「おいやめろって……!」