ラクリウム・サインを追って冒険を続ける一行。今日はぐるみんの元に届いた情報を頼りに、とある温泉街へ訪れていた。彼らは情報の提供者である温泉めぐりをしている配信者に会うため、とある温泉旅館へ向かっている。
「この街、すごく賑わってるね」
「うん。どこもかしこも温泉…後で入ってみたいな」
「ボクはこの街ちょっと苦手かも…全体的に暑い…なんか陽射し強いし」
「そういや変だな。最近はどこもメガじめじめしてて雨が降ってたのに」
ウルトの言う通り、彼らがここ最近歩いてきた地域の季節は梅雨に入り雨が続いている。まるで台風の目かのようにこの温泉街とその周りだけが夏のように日が照っているのだ。もしかしたらラクリウムで凶暴化したポケモンがなにか関係しているのかもしれない。そんなことを考えていると、目的の旅館に到着した。中に入り女将に事情を話すと、早速広い一室に通された。どうやら配信者がリコたちの宿泊部屋を用意してくれていたらしく、今夜はここに泊まっていいらしい。
「それで、その配信者さんは…」
「すいません。ただいま温泉組合の会長のインタビューをされていて…後一時間くらいは戻って来られないそうです」
「んだよ。人を呼びつけておいてメガ勝手なやつだな」
「まあこの部屋とか準備してくれてたみたいだし…気長に待とうよ。まだラクリウムと関係があるかも分かってないんだ」
そう言ってドットは畳に仰向けになった。すると女将が一つ提案した。
「せっかくですから、当旅館の温泉に入ってみるのはいかがでしょうか?長旅でお疲れでしょうから英気を養ってください。ポケモンも自由に入れますよ」
「ありがとうございます。じゃあみんな、行こう」
というわけでまずは温泉を楽しむことに決まった。どんな温泉があるのか確認し、リコとドット、ロイとウルトはそれぞれの脱衣所に向かった。
「おいロイ、どっちが長く浸かれるか勝負しようぜ!」
「えー…温泉くらい気楽に浸かろうよ」
「んだよつれねぇな。…ん?お前なんで海パンなんて履いてんだ?」
「ウルト…もしかして話聞いてなかったの?」
ロイが怪訝な顔で聞き返すと、ウルトは首を傾げた。とりあえず水着を取ってくるよう言われ、ウルトは一度服を取って部屋に戻り、脱衣所で改めて水着に着替えた。なんで風呂入るのに海パン履く必要があるんだと思いながらドアを開ける。白い煙が浮かぶ露天風呂。先に入ったロイはもう湯船に浸かっているようだ。そして、その隣には…
「リ、リコ!?なんでいんだよ!ここ男湯だろ!?」
「やっぱり話聞いてなかったか…」
「あのねウルト、ここは水着を着る条件で混浴になってるの」
「こ、混浴!?」
「みんなで入った方が楽しいと思って決めたんだけど…なんで話聞いてないんだよ」
ロイが鋭い視線を向ける横でリコはまあまあと宥めて笑っている。一方ウルトは顔を赤くしている。なんでロイは平気なんだと言いたげだ。するとウルトの後ろからドットが現れた。
「騒いでないで早く体洗ってこいよ」
「う、ううるせえ!今行くっての!!」
「温泉で走ったら危ないよ!?」
リコが心配して声をかけるもウルトは聞こえてないのか走り去っていった。ロイがはぁ…とため息をつく間にドットも入浴。風呂の淵にもたれかかる。リコは隣のロイに目をやった。いつかのイルカマンの海の時より筋肉のついたロイの肉体が目に止まる。やっぱり男の子なんだ…なんて頭に浮かんだ。
「リコ、どうしたの?」
ずっと見ているとロイが気づいて声をかけた。リコは慌てて返事をする。
「ええと…ロイと一緒にお風呂って不思議な感じだなって…あはは」
「そうだね。でも僕はリコと入れるのなんか嬉しいな」
「うん…私も…」
見ているだけでのぼせそうだとドットは思い、目を逸らした。身体を洗ってきたウルトは少し離れたところに浸かった。ポケモンたちも広い温泉に満足に浸かり、そんなこんなで一同は温泉を楽しんだ。上がった後はモーモーミルクを一瓶飲んでぷはーっと息を吐いた。部屋に戻ってしばらくすると、情報を提供してくれた配信者がやってきた。
「こんにちは!俺は温泉めぐり動画をアップしてるアツト!こっちは相棒のヒノヤコマ!一緒に温泉に入って動画撮ってます!」
「こういう温泉って他にもたくさんあるんですか?」
「ああ!ポケモンとトレーナーは一心同体だからね!基本は一緒に入れるところが多いよ」
「そうなんだ…また行ってみたいな」
「それで、凶暴なポケモンの情報っていうのは…」
ドットが聞くと、アツトはスマホロトムで動画を再生した。どうやら温泉に浸かっているときの様子らしい。湯船に腰掛けるアツトとヒノヤコマが映っている。そしてしばらく見ていると、ゴゴゴという音と共にその背後でピンク色の炎が空へ伸びた。画面の中のアツトたちも驚いて後ろへ顔を向けている。
「これは…」
「ラクリウム・サインだ…」
「動画を回してたら急にね。まるで火山の噴火だよ…これは間違いなくポケモンの技だと思って、一応ぐるみんにメッセージを送ってみたんだ」
「なるほど…これ、場所は?」
「ここの裏にある森の秘湯さ…知る人ぞ知るね。動画を撮ってたときは遠かったからか怪我せずに済んだんだけど、気になって奥へ行ったら木が焼け焦げててね…」
これは間違いなくラクリウムで凶暴化したポケモンの仕業だ。四人はそれを確信し、アツトから秘湯の場所を聞いてお礼を告げ、すぐに旅館を飛び出した。裏の森に進み、入り組んだ道を通って動画の秘湯に到着した。
「ここから…この角度で…」
「じゃああっちに行けば…」
「そのポケモンがいる」
「よし!さっさと突っ込むぞ!」
「待って。同じところにずっといるとは限らない。リコとロイはこのまま向こうへ。ウルトはボクとあっちだ」
ドットの提案に従い、それらしいポケモンを見つけたら報告することを約束し、リコたちは二手に分かれた。リコとロイが真っ直ぐ進んでいくと、アツトが言っていた焼け焦げた木々が見えてきた。黒ずんだ木には微かにピンクのもやの痕跡が残っている。二人は警戒しながら前へ進む。そして、木々のない開けた場所へ出た。そこにはたくさんのコータスがいた。甲羅に入って回転し、ぶつかり合っている。そこに一匹のコータスがぶつかり、全員を吹っ飛ばした。身体を出したそのコータスはピンクのもやを纏っている。
「あのコータスだ!」
「ドットに連絡しよう」
リコはすぐにスマホを取り出してドットにコータスのことを報告した。ドットとウルトはすぐに向かうと言ってくれたが、二手に分かれた道の間に巨大な岩があって通れないため遠回りになり、到着は遅れるようだ。
だったらひとまず二人でコータスを抑え込むしかない。二人はそれぞれマスカーニャとアチゲータを出した。さらにリコはパゴゴも出し、浄化の準備に入る。
「アチゲータ、まずはニトロチャージ!」
ロイの指示を受けてアチゲータが火炎を纏って走り出していく。それを見たコータスは甲羅に入り、ピンク色のオーラを纏ってこうそくスピンを使った。その勢いは凄まじく、正面から挑んだアチゲータを軽く吹っ飛ばした。
「とんでもない威力だ…」
「でもニトロチャージが失敗した今がチャンスかも」
「だね。リコ、サポートお願い」
「任せて。マスカーニャ!マジカルリーフいっぱい!」
手を回しながら指示を出したリコ。それを受け取ったマスカーニャは大量の輝く葉をコータスの周りで渦巻かせる。視界を遮られたコータスは右往左往と首を回し、苛立って声を上げる。
「アチゲータ、じだんだ!」
ニトロチャージの失敗により威力が上がったアチゲータの攻撃。地面の断片がコータスの元へ飛んでいき、見事にヒットした。
「よし、いいぞアチゲータ!リコとマスカーニャもありがとう」
「うん」
ポケモンたちも明るく返事をする。しかしラクリウムで凶暴化したポケモンは簡単には止まらない。コータスは怒り、彼らを睨みつけながら再びこうそくスピンの体勢に入った。素早く回転しながらマスカーニャの方へ突き進んでいく。
「かわして!」
マスカーニャは寸前でジャンプし、かろやかにその攻撃をかわした。すると今度はアチゲータの方へコータスが突き進んでいく。ロイもかわすよう指示を出すが、逃げ遅れたアチゲータは再び吹っ飛ばされてしまった。さらにその場所へコータスが進む。
「まずい…!マスカーニャ、トリックフラワー!」
指パッチンと共にコータスの進路に花々が出現して爆発した。しかしそれでもコータスは止まらず、黄緑色の煙を振り払って進んでいく。
「タイカイデン!アチゲータを助けて!」
ボールから飛び出したタイカイデンが一気に羽ばたいて加速し、アチゲータを呼んだ。それに気づいたアチゲータはジャンプして飛び乗り、なんとか攻撃をかわした。回転を止めたコータスは鋭い目つきで振り向く。
「キャップ、かげぶんしん!タイカイデン、エレキボール!」
空中にキャップの分身がいくつも浮かび、コータスの注意を逸らした。そこにタイカイデンの喉元から発生した電気の力を固めた球が飛び出す。コータスの顔に直撃したが、決定的な一撃にはならない。そして、怒りに満ちたコータスは甲羅に熱を溜める。赤く発光する甲羅は、ついにピンク色の炎を空へ放出した。ラクリウムの力により強化されたふんえんだ。さらに強い日差しによって猛る炎は火砕流の如く高速に辺りへ散り散りに広がっていき、キャップの分身を消しながらキャップや、空を飛んでいたタイカイデン、さらにマスカーニャにも当たった。キャップは怯みながらも着地したが、タイカイデンは墜落。上にいたアチゲータもダメージを負った。マスカーニャもかなりのダメージを受けて膝をついている。
「テブリム、みんなを回復して!」
ボールから飛び出たテブリムはいやしのはどうでポケモンたちを癒す。しかしそれでも戦闘へ復帰できるのはキャップくらいだ。
「パゴゴはまだ準備中…どうしよう」
「まだこいつがいるよ。ルカリオ!」
黄色い星の光を放ちながらルカリオがボールから飛び出した。ロイはすぐさまメガリングに手を当てて、絆の光を結ぶ。メガシンカしたルカリオは素早く走り出す。
「ラスターカノン!キャップは横からかみなりパンチ!」
ルカリオは走りながら手のひらから鋼鉄の光線を放つ。コータスは強力なかえんほうしゃで攻撃を相殺するが、キャップの攻撃がコータスの横腹を強打する。さらにルカリオが駆け込んでいく。
「インファイト!」
ルカリオは拳と足を瞬き挟まぬ間隔で切り替えて連続で浮かび上がったコータスの腹へぶち込む。強烈な攻撃を受けて吹き飛んだコータスは甲羅を地面につけてしまい、足をじたばたとさせてもがく。それと共にパゴゴの準備が完了し、テラスタルフォルムに変化した。
「よし…パゴゴ、お願い!」
パゴゴはもがくコータスの元へ飛んでいき、青い光を放ちながらコータスの身体に纏わりついたラクリウムを吸い込んでいく。吸いきったパゴゴが通常の姿に戻ってその場に落ちると、ルカリオがキャッチした。ラクリウムを吸い取られたコータスはころりと転がって姿勢が元に戻った。すると首をきょろきょろと回して、山の方へと歩き始めた。
「ふぅ…なんとかなったね」
「うん。みんな、お疲れ様」
ポケモンたちに労いの言葉をかけ、リコたちはボールに戻した。ひとまずもう一度ドットたちに連絡して到着を待とう。そう決めてリコがスマホを出そうとした瞬間、日差しがかき消えて辺りがうっすら暗くなった。さらにロイの額に雫が落ちた。リコたちが見上げると、先ほどまで強く照っていた太陽が空を覆った雲に隠れている。そして、一気に多量の雨が降り出した。
「わわ…どうしよう…」
「リコ、あっちに洞窟があるよ!あそこまで走ろう!」
リコとロイはずぶ濡れになりながらもなんとか洞窟に着いた。ぜぇぜぇ息を吐きながら外の様子を見る。他の街と同じくらいの雨が季節通りに降っている。
「でもなんで急に雨が…」
「もしかして…コータスを倒したから…?」
「どういうこと?」
「学校で習ったんだけど…コータスは特性がひでりの個体もいるんだって。ひでりは天気をひざしがつよい状態にする特性…それにあのコータスはラクリウムで強くなってたし…」
「そっか。だからこの辺りの地域一帯を夏みたいに晴らす力があったけど、ラクリウムが消えて特性の力が収まったから雨が降り始めたのか…」
納得したところでリコがくしゅんとくしゃみをした。このまま風邪を引くとよくないと思い、ロイはアチゲータをボールから出した。洞窟の中に転がっている石を集めて円を作り、火をつけるよう指示を出した。
「ありがとうアチゲータ。そのままリコの方に行ってあげて。リコ、アチゲータの身体はあったかいから、しばらく抱いてなよ」
「ありがとう。でも、ロイはいいの?」
「ああ、僕は大丈夫。リコの方が寒そうだしさ。」
「じゃあお言葉に甘えて…アチゲータもありがとう」
アチゲータは笑顔でいいよといった返事をした。濡れたままの服を着ていてはいけないと思ってリコはアチゲータにひっつく前に上着のパーカーを脱いだ。インナーやズボンは仕方ないのでそのままだ。
「リコ、その上着貸して。こっちに干しとくから」
「ありがとうロ…ロイ!?」
「ん?どうしたの?」
「や、だって…上全部脱いでるから…」
リコが顔を上げると、ロイが上裸の状態で手を伸ばしていた。その奥には焚き火から少し離れたところに糸を繋いでロイの服がかけられている。足元ではキャップが帽子を炎に掲げている。
「上着もシャツも濡れちゃったからさ」
「だ、だからって…」
「あ、ごめん…リコには海に行った時も今日の温泉でも見られてたし上くらいいいかなって…ダメだった?」
「イ、イエダイジョウブデス」
すっかり赤面を晒したリコはロイにパーカーを渡した後、アチゲータに顔を埋める。アチゲータは二人の話がよくわかっていない様子だ。ロイはシャツを着るべきか悩みつつ、ひとまずリコのパーカーを干した。そんなロイをリコはちらりと覗いた。雨のせいで身体がぐっしょり濡れて、胸や肩や腕、お腹にも水滴が流れている。髪も雨で下に流れていて、いつもよりも大人っぽく見える。水も滴るいい男ってこういう人のことを言うのかなとリコは思った。
「あ、そうだ。ドットたちに連絡しないと…」
「うん。でも、二人もこの雨じゃこっちに来れるかな…」
「とりあえず聞いてみよう」
ロイがスマホロトムをタップしてドットに電話をかけた。三コールほどして、ドットが出た。
「あ、ドット?そっち雨大丈夫?」
「ああ。リコから連絡受けて来た道戻って、二人と分かれたところまで来たって時に降ってきたから、一旦旅館に戻ったよ。そっちは…ロイの格好的に聞くまでも無さそうだな」
「あはは…暴れてたコータスがこの辺りを晴らしてたみたいで、パゴゴに浄化してもらったらこの雨で戻れなくなっちゃったよ。今はリコと雨宿り中」
「じゃあ旅館の人に傘借りてそっち行くから、それまでじっとしてろよ」
はーいと返事してロイは電話を切った。連絡を終えてロイはその場に座り込む。リコとは焚き火を挟んだ距離だ。
「ドット、きてくれるんだね」
「それまでゆっくりしてよっか」
そう言ってロイは髪を右手で掻き上げた。その仕草が男らしくて色っぽいと感じてリコはまた頬を熱くする。改めてロイの体を見ると、やっぱり昔より筋肉がついている。こんなロイが海に行ったら逆ナンを受けてしまうんじゃ…と考えてリコは顔をムッとさせた。すると突然ロイがリコに声をかけた。
「リコ、寒くない?大丈夫?」
「うん、おかげさまで。どっちかっていうとロイの方が見てて寒いけど…」
「あはは。大丈夫、僕寒いのには強い方だし」
「ロイの身体、あったかそうだもんね」
アチゲータとキャップがそれを聞いて頷く。どうやら本当に彼の体はあったかいらしい。それから十分ほど経って、まだまだドットは到着しそうにない。雨は絶え間なく降り続け、強いビートを刻む。ロイは立ち上がって服の乾き具合を確認する。シャツも上着もまだ乾き切っていない。もう一度座ろうとしたところでリコがロイの名を呼んだ。
「ねえ、ロイもこっちきてぎゅってしよ。その方があったまると思う」
「そうだね。じゃあ」
そう言ってロイはリコの背に回った。あれ?なにか変だとリコが思っていると、ロイはリコの身体を両腕で包んだ。まだ湿っているリコのインナーがぐちょと音を立ててロイの体の接触を教える。
「どう?あったかい?」
「あの…ロイ…私…アチゲータを一緒にって意味で…」
「えっ…?ご、ごめん!!」
「あ、でも…ロイがいいなら…これでも…」
リコがそう言うと、ロイは一度離した両手をまたリコの前にやる。首元で繋がったそれを見てリコは恍惚とした表情を浮かべた。雨音や焚き火の音が耳に入らなくなるくらい、リコは自分の心臓をうるさいと感じていた。永遠にも感じられる時間が二人にはあった。ロイもまた、リコのうなじを伝う雫に何か今までに覚えのない感情を受け取っていた。しかし永遠は突然永遠でなくなった。
「お前ら…何してるんだ?」
「ロ、ロイ!!おま、なんで抱きついて…!?」
「ドット、ウルト!?」
「なに驚いてんだよ。行くって言っただろ?」
「や、急だったから…」
「電話を受けてからもう三十分。さすがに着くよ」
そんなに経ってたんだ…とリコとロイは共に思った。ロイはすぐさまリコから離れ、自分のシャツを着た。上着はまだ乾き切っていないのでカバンにしまう。リコの上着も同じく乾いていないので彼女のカバンにしまわれた。焚き火を消し、アチゲータをボールに戻して出発の準備は完了だ。するとドットは傘を一本差し出した。
「ごめん。旅館で余ってる傘が三つしか無くてさ」
「いいよ。気にしないで。じゃあリコ、使って」
「え?ロイはどうするの?」
「僕はもう一回濡れて帰るよ。どうせ温泉入れるんだし」
「ダメ!せっかく二人であったまったのに…」
いちゃついてたんじゃないんだ…とドットは心の中で呟いた。一方ウルトは先ほどの光景がよほど衝撃だったのか耳に入っていない。
「ロイ、一緒に使おう」
「分かった。じゃあ僕が持つよ。あ…でもこの傘けっこう小さいな。リコ、もっと寄れる?」
「う、うん」
そうしてリコとロイはほとんどゼロ距離で相合傘となった。あまりの近さに二人の胸から雨に負けない音が響く。照れながらも歩幅を合わせて歩く二人に、ドットは少し微笑んだ。ウルトはロイがリコの肩を支えながら歩いているのを見て、さらに顔を赤くしている。
旅館に辿り着いた一行は再び温泉に浸かった。しかしリコとロイとウルトが限界だったのか、今度はそれぞれ男湯と女湯で…
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.