実福ジューンブライドアンソロジー『Ring』に寄稿させていただいたもののサンプルです。
アンソロの詳細は告知サイトをご覧ください。
よろしくお願いいたします!
告知サイト:
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Bluesky:
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以下サンプルです
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『ベールに隠れて企みを』
「実休? 居るのか? 戻ったぞ?」
「おかえり福島っ」
「っ、おいおい抱きつくなって」
福島率いる部隊が数日間にも及ぶ遠征から帰還した。自室へ戻るとそこには彼と共にこの部屋を使用している実休の姿があった。彼は薬草の本をお供に寛いでいたようだが、福島の姿を見ると手に持つそれを畳に預け勢い良く彼に飛び付いた。
身動きが取れない程のその力強さに呆れたような口振りであるが、福島の表情は言葉とは裏腹に嬉しそうである。それもそのはず、この二振りは恋仲なのだ。福島が本丸を留守にしていたこの数日間、口には出さずとも彼らは互いのことを気に掛けていた。恋刀の元気そうな姿を目にした喜びは当然隠せない。
福島の言葉に一旦身体を離す実休であったが、次は当たり前のように彼の両手をその大きな手の平で包み込む。
「遠征はどうだった?」
「問題なく終わったよ。
……こっちも、変わりはないよな?」
遠征中であっても本丸内で起きた変化は知らされるものである。しかし今回は特にそのような報告はなく平穏無事であることは分かっていた。だが久しぶりに会えた恋刀との会話、それが終わってしまうことを無意識に惜しんだ福島は話を広げようとする。
「うん。
……あ、でもね福島。僕、お前が居ない間に決めたことがあるんだ」
「決めたこと?
……言っとくが部屋のレイアウトは変えさせないからな?」
「そうではなくて、
……最近、主が結婚をしたよね?」
「ん? あぁ
……相手は幼馴染みの女性、だったな。いい式だった」
彼らの言うようにこの本丸の審神者は先日幼馴染みである女性と籍を入れ、現代でごく普通の式を挙げた。
様々な理由から近侍である燭台切以外が式に出席することはできなかったが、審神者はその分彼に会場での写真や映像を細かく残すようにお願いをし、後日本丸にてそれらを見た男士たちは幸せそうな主の笑顔に心を温かくさせた。福島はその際に見た映像を思い出し穏やかな笑みを浮かべる。
「
……で? それがどうかしたか?」
「うん。僕たちも結婚しよう?」
「はぁッ?!」
「いつがいいだろう? せっかくなら縁起のいい日がいいよね? 直近ならいつになる? 光忠なら知っているかな?」
突然とんでもないことを言い出す恋刀に驚いた福島は思わず大きな声を上げた。そんな彼を構うことなく実休は畳み掛けるように自身の考えを放出する。
「ッ、ちょっと待て実休ッ!」
「どうしたの福島」
「いや、それはこっちの台詞でしょ
……」
福島は一振りで話を進めようとする恋刀の両肩を掴むと彼の意識を改めて自分へと向けさせた。きょとんとする実休の様子に戸惑いが生まれる。
「
……突然結婚なんて、急にどうしたんだよ?」
「僕は福島と結婚したいんだ」
「おう、それは分かってんだよ。なんでいきなりそんなこと言い出すんだって言ってんの」
福島が驚くのも無理もない。確かに二振りは恋仲であるが、彼らの中でそのような話題が上がったことは今までになかったのだ。映像や写真で見た審神者の様子に触発されたことは実休の発言から明らかだが、それにしても唐突過ぎる。福島が本丸を留守にしていた間、実休に一体何があったのだろうか。
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