たくとろ
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#rylkweek2506 Day4「そういうのってどういうの?」

91話後、ロイリコ冒険再開2日目。
ロイは鈍感というお話から始まり…

セキエイ学園からの新たな旅立ちの翌日。リコと並んで街中を歩いていたロイは、ふとあることを思い出してリコに聞いた。

「ねえリコ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「なに?」
「学校で女の子たちがこっち見てたとき、なんの話してたの?」

リコは足を止めた。ロイも数歩先で止まってリコの方へ振り返った。顔を見ると、リコの目は上へ泳ぎ、口を変に開けている。不思議がってロイがどうしたのか聞くと、リコは言葉に詰まっている。

「そんなに言いづらい話?」
「うーん別に悪口言われてたとかじゃないんだけど
「じゃあ、なんで?」
「説明が難しいというか

恥ずかしい。まさかロイが自分に告白しようとしていると思われていたとか、ロイが彼氏だと思われたとか、あの子たちが本当にどう捉えていたかは自分にだって分からないけれど、“そういう風”に思われていたのは間違いない。それをロイに正直に話すのは気が引ける。なんて説明すればいいのか、悩んでいるとロイがそういえばと付け足す。

「リコ、あのとき『そういうのじゃないから』って言ってたけど
「え、ええとあの
「“そういうの”ってどういうの?」
「え?」

そのロイの言葉を受けてリコはぽかんと口を開けた。ロイが恋愛事に鈍いのは一年前もそうだったが、まさか今も全く分かっていないとは思わなかった。一年の間に背も伸びて、少し大人っぽくなったように感じていたが

「ロイってそういうところは変わらないね」
「???だからそういうってなに!?」

はあとリコはため息をつく。ほんとに分かってないみたいだ。そうなると余計に説明が難しい。ロイが分かってくれるなら“そういう話”で片がついたはずなのに。とはいえ、ロイも余計に気になっているし、説明しないわけにはいかないだろう。すっかり子どもっぽく気になる気になるという気持ちが顔一面に出ている。でもやっぱり正直に話すのは恥ずかしいし、ロイがそれを聞いてどんな反応をするか一緒に恥ずかしくなってくれるならいいけど、もしももしもそういう風に見られることをあり得ないとか、変だと言われてしまったらそれはそれで辛い。なにか上手い言い訳はないだろうか。考えている最中、リコは後輩の女子たちの言葉を一つ思い出した。

「え、えっとね。ロイがカッコいいって話だよ」
ありがとう?」

これまたしっくりこないという様子だ。でもこれはリコも言葉足らず。リコも補足を続ける。

「あの子たち後輩なんだけどロイのことカッコいいって言っててね?」

この言い訳は無理があることにリコはやっと気づいた。なにせ、“そういうの”がなんなのか説明できない。あの子たちがロイのことをカッコいいと言っていたのは確かだけど、案の定ロイは納得していない。

「じゃあ結局“そういうの”って何?リコは何を否定したの?」
「それはその
「リコ、嘘ついたでしょ。変な誤魔化し方しても分かるよ」
「ご、ごめんほんとのこと言いづらくて

謝ると、ロイは細めた目を緩めた。いつも通りの優しい顔で「ちゃんと教えて」と改めてリコに言った。さすがにもう正直に話すしかないリコは静かに頷いた。

「あのね、まずあの子たちがロイのことカッコいいって言ってたのは本当なの。それで私と話してるところを見て、付き合ってるとか告白してるみたいな感じに思われてたの

やっぱり口にするのは恥ずかしい。でも正直肩の荷は降りた。これで気楽に過ごせる。そう思ったのも束の間、ロイは間髪入れずにこう言った。

「なんで?」
「へ?」
「僕とリコ普通に話してただけだよ?」
「それは、確かにそうだけど

ロイの言うことも分かる。でも、鈍すぎる。リコは頭を抱えた。ただでさえ恥ずかしいのにこれ以上の説明をしないといけないなんて。ほんとうに何故という顔で、納得させてあげないと可哀想だ。もうこうなったらしっかり話そう。リコのやる気は逆に漲った。

「ロイ、学校の屋上っていうのはラブコメじゃ定番の告白スポットなの」
「そ、そうなの?」
「うん。それにお昼を一緒に食べたりお話したりとかあんまり人が来ないからこそ二人だけの世界ができる場所なの」
「な、なるほど」

さっきまでとは別人かのようなリコの勢いにロイは押され気味だ。しかしその熱量は強固な説得力を持っている。

「えっとだから僕とリコは勘違いされたってこと?」
「それもあるけどロイがあんなこと言うから」
「あんなこと?」
「どうしても会わなくちゃとか伝えたいことがあるとか言うから!!そういうのだと思われたの!!」

リコの叫びに、思わずロイの体はぎょっと固まった。頭の中でリコから受けた説明がぐるぐると回る。一、屋上はラブコメの定番スポット。二、会って伝えたいことがあるという言葉。ここまでの説明を受けて、ついにロイは自覚した。

「あご、ごめん僕が告白しようとしてるみたいだねなんか自分で言うと恥ずかしい」
「だから私は言いたくなかったの
「そっかごめん」
「ううん。分かってくれたならいいよ」

頬を赤くしたロイを見てリコのテンションも落ち着き、ニコニコと微笑んだ。次から言葉選びには気をつけようとロイは胸に刻んでいる。ひとまず話は終わり。リコとロイは再び歩き始めた。また何気ない会話をしながら進んでいると、リコはある違和感に気づいた。

「ロイなんか遠くない?」
「あああんまり近いとまた誰かに勘違いされちゃうんじゃないかって思ってリコは僕とそういう風に見られるの嫌でしょ?」
?嫌じゃないよ?」
「え?」

二人とも不思議な顔をしている。目をパチパチとシンクロさせ、首を傾げた。ロイはなんでそう思ったんだろう?リコは嫌じゃないの?とお互い顔に浮かべている。先に口に出したのはロイだ。

「リコほんとに嫌じゃないの?」
「うんなんで?」
「だってリコ、あの子たちにも勘違いされないようにしてたんでしょ?嫌だったんじゃ」
「それはロイがちゃんと大事な話をするために来てくれたのが分かってたから冷やかされたくなかったし落ち着いたところでちゃんと聞きたかっただけだよ」

訳をしっかり聞いてロイも納得した。そんな彼の元へ一歩近寄ってリコは付け足した。

「それにね、ロイとは一年前もけっこう近くで過ごしてたから、今さら離れられると寂しいよ。せっかくまた会えたのに」
「リコ分かった。じゃあ、今まで通りで」
「うん。そっちの方が安心するよ」

気持ちを確かめ合い、二人はまた歩き出した。誰かの声を気にせず、二人だけの距離と感覚で新しい道を進んでいく。