スサ
2025-06-09 22:13:38
1488文字
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【鬼水】おれプレ

潮吹きチャレンジのはじまり

 生まれ育った時代のせいもあり、男臭いのは別として、どうにも軽い調子で盛り上がることに、水木は不慣れだった。何なら自覚もある。
 けれども、クリスマスともなれば、街中の至る所で盛り上がるカップル、若者のグループ、親子連れなどなどを目にすることとなる。カップルなどは、時としてこちらが目のやり場に困ることさえあるくらいだ。
 そんな景色を何年も見ていれば、水木の心境に変化があっても自然な成り行きだっただろう。
 ──つまり
「俺がプレゼント!なんてな」
 12月の24か25は遊びに来いよ、泊まりでもいいぞ、と招いたら素直にやってきた鬼太郎に、水木は一応プレゼントを用意していた。いや、もう長いこと毎年何かしらは用意している。実用的なもの、暖かい靴下とか、毛布とか。プレゼントというより孫への仕送りのようになりがちで、今年もやはり、新しい、暖かいラグを渡そうと用意していた。
 していたのだが。
 ケーキを食べ、自宅だからと酒も開け、ほどよくアルコールが回っていたことが水木の気を大きくさせたのか。
 ケーキの箱についていたリボンをシュルリと自分にかけ、思い切り笑い、首をかしげるようにして上目遣い。精一杯のかわいこぶりっこ。
………………
 鬼太郎は健在な方の目をまん丸にして、まじまじと見つめてきた。
 その真顔を見たらじわじわと水木の中で羞恥心がこみ上げてきて、「や、やっぱり今のなし」とボソボソ言いながら目をそらし、自嘲気味に笑う。
 本当は用意してあるんだ、今年は、と早口でごまかそうとした水木の手を、小さくて固い手がつかんで止める。
…………きたろ?」
 恐る恐る顔を上げ、目を合わせれば、鬼太郎は真剣な目をしていた。
「ください」
「え?」
「あなたがいい。他はいらない」
………………
 じっと見つめてくる瞳が強くて、水木は目をそらせなくなる。金縛りにあったように。
「あなたがプレゼントなんでしょう?」
 念を押すように言うと、鬼太郎は水木の手を取り、その甲に口づけた。きざな仕草に、水木の顔がつい赤くなる。心臓はときどきしっぱなしだ。
全部僕がもらったと思ってたけど、まだもらってないところがあるってことですよね」
「え?」
 水木は一瞬何を言われているかわからなくて、鬼太郎を見つめる。鬼太郎はすぐには答えず、黙って水木の腹の上に手を置いた。びく、とセーター越しの体が揺れる。
「この、奥とか」
………………
「でもまだ届かないかな悔しい」
 本当に悔しそうだったので、水木はそこでやっと我に返った。そして一瞬考えた。毒を喰らわば皿までと。
………、男も気持ちがいいと潮を吹くと」
「しお?」
 鬼太郎が不思議そうに繰り返す。うん、と頷いた後、水木は、茶色い頭を引き寄せるように抱きつき、耳元に囁いた。
……吹かせてみたくないか?俺に」
 それまでの強気が、困惑で少し揺らいだようだった。
「すごく気持ちよくなったら、吹くのかも」
 照れくささは噛み殺して飲み下し、水木は、できるだけ色っぽく見えるように笑った。
 元々そんな努力をしなくても、鬼太郎から見たら水木は大概の状況で色香を醸し出しているのだけれど。
 鬼太郎の首に手をかけながら、水木は自ら後ろに倒れる。それに引っ張られるように、鬼太郎も水木の上に倒れ込んだ。
 ごくりと唾を飲む声がはっきり聞こえて、どうやら誘えたらしい、と水木は満足する。
……吹かせてみたい」
 唇を湿らせた鬼太郎が確かにそう言ったように聞こえ、水木は黙って頷いた。