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草枕
2025-06-09 16:41:15
1547文字
Public
syzygy
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syzygy_スケッチ②
冒頭の注意書をお読みください。
【企画の方へ】
・ふわっとした殺害・暴力・戦争などの表現
・かなり勝手な妄想とTLを練り合わせて書いた散文スケッチです。信じないでくださいね!
・特定の立場を取るお子さんへ、いいぞ!もっとやれ!と思っていますが、この文章では割を食ってるかもしれません。
・成人隊員キャラクター担当の書くメロペイア人ですので、色々と不備があると思います。
【企画外の方へ】
・架空の信仰と戦争を扱ったR-18創作企画の世界観をもとにした創作です。ただ創作を楽しむ意図しかありません。
・ご覧いただかないのが一番良いと思います。
syzygyの隊服を餌に、ルクス人を獲っている。
男はメロペイアの漁師だ。雪解けの季節を除いて、殆ど一年を川で過ごす。古くは実星期の初めこそ美味い魚が獲れたというが、汚染された雪が一気に川に流れ込む時期だ。魚にも、漁自体にも危険が多い。
だからその時期には、擬似餌作りに精を出す。そして、万全の準備で釣りに挑むのである。
神を信仰しない蛮人にも、仲間意識のようなものはあるらしい。男が還星祭で観察し複製した隊服は、よくルクス人の気を惹いた。特に『青いやつ』を転がしておいた時の食い付きが良いことは予想の通りで、独特の高揚感すらあった。ふだん釣竿を使う男でも、旨い餌に掛かったものに距離を詰め、麻酔銃で撃つ程度なら事もない。
また、新たな獲物がかかる。
『青いやつ』ではない──成人隊員は、たまにこうして警戒心の強いものが居る。仲間を見つけても一定の距離と射線の通らない場所を取り、すぐに連れて帰ろうとはせず、死体の下に敷かれた爆発物を警戒するのだ。
「
……
隊員か
……
?助けてくれ」
男は、マイクに向かって弱々しい声を上げた。餌に仕込んだスピーカーから出力された音に、獲物は反応した。ぶっきらぼうな、男の声が返った。
「怪我の程度は? しっかりしろ、医療テントまで運んでやる」
「
……
すまないが動けそうにない。起こしてくれ」
「そうか」
その瞬間、漁師は獲物を見失った。
望遠レンズは画角が狭い。その虚を衝くようにスコープから逃れた魚は、漁師が肉眼で辺りを見渡した時にはもう、姿を消していた。
──逃したか。
男の強みは、気の長いことだった。
ただ冷静に、次の獲物を待てる。あるいは餌や場所を変える選択を思案する。それが川で過ごした男の半生であった。
男は、ルクスでの戦争を生き抜いた。
男は、メロペイアで多くの釣果を得て、家族たちを潤した。
男は、常に狩る側の人間であった。
その、もはや理と言ってしまっても仕方のない認識に弾丸が打ち込まれ、追って男は蹴り倒される。罠を観測できる高台から転がり下っていく男を、バーチのような赤い目が見ていた。否──憎憎しいルクス人が、こちらを、なんとも思わぬように見ていた。信仰心を持たない蛮人が、何も知らぬ愚か者が。
腹が熱く、痛み、力が抜けるような寒気がする。
*
(動けないルクス人があんなところに居て、お前たちに狩られていない訳がない)
シルーは腹を撃って沈めた相手の首をナイフで掻いた。二発とも撃った方が手っ取り早いことこの上ないが、弾薬もいつか尽きることを考えればやむを得ない。メロペイア人が持っていたのは麻酔を仕込んだライフルのようであった。スポッターの姿が見当たらないことに警戒しつつ、他の装備を漁る。麻酔を解毒するための薬が見つかれば、役に立つこともあろう。その辺りは医官にお任せだ。
目当てのものを見つけ、シルーはすぐさまその場を立ち去った。草木は風にゆるやかに靡き、──同じ風に髪を乱されて、シルーは次の床屋の予定を思った。
発砲音に驚いた鳥の騒がしさだけが、森に残っている。
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