バラ肉
2025-06-09 02:01:15
3941文字
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【なんて素晴らしい日だろう!】アタブロ🔞

兄さんとブロがお別れする日の話。
「思い出が欲しい」と懇願するブロ。


この続きは二世アタブロへ飛びます。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23641494



「思い出を、くれよ」

コトンッ……

その言葉を合図に、氷のみになったジョッキがゆっくりとテーブルに置かれた。

「酔っ払いの、一夜の過ちで、いいから」

濡れた唇から、震える声が途切れ途切れに紡がれる。

「なあ、頼む。アンタ以外、何も考えられなくなるぐらい、ぐちゃぐちゃに、強く、いっぱい、抱いてくれよ」

吐き出される願い事は、拙く、そしてどこか焦燥感に満ちていた。
また、軍帽を取り払ったせいで隠す物のない目は揺れていて。弱々しい上目遣いは、今にも縋り付かんばかりに不安げだ。
晒された顔は相変わらず精悍で美しい。女性人気が高いのも頷ける、どこに出しても恥ずかしくない美貌だ。なのに、今の彼——ブロッケンJr.の表情は年よりもずっと幼く見えた。
言葉と表情のギャップ。
そこに加え、自分の膝にソッと置かれた手のあざとさ。
それらを一身に受けたアタルは、ドクンッと心臓が強く跳ねるのを感じた。

「ブロッケン……Jr.ッ」

やや戸惑いを纏った声色は、常に堂々とした姿勢を崩さない彼にしては珍しい態度である。
それほどまでに、ブロッケンJr.の願いは唐突で、かつ向こう見ずな懇願なのだろう。

「お前は、自分が何を言っているのか……分かっているのか?」

男に抱かれたい。しかも自分の隊長に。
冗談にしてはタチが悪い。
けれど、服越しにでも分かる掌の熱は、『偽り』と一蹴するには熱すぎた。

……こんなことっ、ふざけて言えるほど……オレは器用じゃねぇよ……

案の定、肯定を告げるブロッケンJr.の顔は痛ましいほど真剣だ。泣くのを耐えて奥歯を噛み締める姿は、あまりにもいじらしく。
改めて聞き返した事を後悔させるには十分だった。そして、その気持ちの度合いを測るのにも。

……そう、だな」

アタルは静かに目を瞑ると、自分の持っていたグラスをブロッケンJr.が置いたジョッキの横にソッと並べた。残っていた琥珀色の液体が揺れるのも気にせず。

「一夜だけの、思い出……それで良いなら」

言い終わる前に腰を上げた男は、そのまま隣で息を飲む相手の真正面へと場所を移動した。

「キャプテン……?」

テーブルとソファの間にはそこまで間隔がない。そのせいもあり、覆い被さる形で上背を屈めたアタルは、片方の手を背もたれに乗せると、もう片方を何か言いたげな唇へと伸ばした。

「ッ……あ」

突如添えられた人差し指と中指は、ゆっくり唇をなぞり、その柔い感触を楽しむ。と、思えば、次の時にはぐいっと上下に割り開く。

「んぁッ」

いきなり開かれた驚きに歯の隙間から飛び出した舌先。そこに今度は乾燥した皮膚のザラつきが襲う。

「ンッ!」

過敏な口内に押し入った指は反射的に拒否感を与えたのか。
逃げるべく動かした拍子に、舌先が意図せず指の間接を柔くなぞる。
ニュルリ。
途端、見下ろす目の色が昏くなった気がした。その怪しい色ときたら。
青空を思わす青が、底の見えぬ深海色へと変わる。
誰も行き着けぬ冷たい海の底。そこへ引きづられる様な錯覚に、ブロッケンJr.は背筋がゾクゾクと粟立つのを止められなかった。



(皆の羨望を集める男が、自分だけを見ている。嗚呼、これじゃあまるで、世界に二人だけしか居ないようだ……



「ンッ、フッ……

湧き起こる興奮から鼻にかかった吐息が漏れる。
口の中に涎が溜まり、飲みきれなかった分が端から垂れていく。しかし、イタズラな指はそれでもまだ閉じる事を許してくれない。むしろ、唇から歯の間に侵入した指は、赤い舌を挟み、ぎゅっと力を込める有様だ。

「ンンッ!」

苦悶の声をあげれば、慰めのようにアタルの額がコツンとぶつかった。

「キスはできんからな。その代わりだ」

なんて。嘯くなり、有言実行とばかりに上顎を優しく撫でる。続いて、頬肉を触れる流れで歯列に指の腹が這う。爪を立てないようゆっくりと口内を動く指に、ブロッケンJr.は甘い痺れを感じた。

(嬉しい、な)

こんな擬似的な行為にも関わらず、相手が自分とキスをしようとしている。たったそれだけの事実に、心も体も熱くなる。

トロンと蕩けた目を向ければ、思いのほか近くにあった双眸に体が震えた。
どんな色になろうと、澄んだ瞳はいつだってブロッケンJr.の隠した奥底まで見抜いてしまう。
酔いに任せた告白の真意も、きっとバレている。
その事実に、今更ながらぎゅぅぅと胸が締め付けられるように痛んだ。

(お情け、なんだろうな)

思い出に抱いてくれ、なんて。恋愛小説でも言わないチープな台詞だ。
彼とて己の願いがひどく滑稽なことは理解しているのだ。

それでも、言わずには居られなかった。

自分とアタルとが重なる未来は、この先きっともう来ない。
かたや、偉大なるキン肉族大王の兄。かたや、廃れていくのが目に見えている軍人一族の跡取り。
歩む道がほんの少し交差したとしても、最後に用意されたゴールが重なるわけがない。近づきたいと願うことすら許されない。

だからこそ、二人の間に、一時とはいえ交わる時間があったのだという証が欲しいのだ。



……後悔は、させないようにする」

その思いを分かった上で紡ぐ言葉に、ブロッケンJr.は静かに瞼を伏せた。

自分も、迷いはない。

決意を込めて、相手の服を両手で掴む。その瞬間、微かに息を飲む音が聞こえたのは決して勘違いではない筈だ。
もう戻れないぞ?
頬に添えられた指が、緩やかに首筋へ滑る。だが、答えは変わらない。

……キャプテンが、欲しい」

そう告げた途端。

ソファへ押し倒された彼は、天井と共に見える相手の顔に目を細めた。
怖いくらいにギラつく眼差しには、アルコールだけではない熱が滲んでいた。欲しがっているのは自分だけではない。その証拠を見つけて、心が喜ぶ。

「なら、お前が望むようにしてやろう」

伸びた指が、ゆっくりと軍服のボタンを外していく。一つずつ。殊更丁寧に。徐々に晒されていく肌が、空気の冷たさに興奮に僅かに強張る。しかし、微かに触れる男の太く逞しい指に、火照りを取り戻すのは早かった。
気付けばジャケットを止めるベルトが外れて、床に落ちる。

ガチャッ。

無機質な金属音は何かのスタート音かのようで。
「あ……
意識がほんの少し、そちらへ向いた。
瞬間、ガバッと下に着ていたシャツが鎖骨まで捲られる。

「ーーッ!」

些か乱暴なその動きに、反射的に視線が目の前の男へ固定される。先ほどまでの慎重なそれとは違った動きに動揺が隠せない。
それを確認した上で、アタルはブロッケンJr.へずいっと顔が近づけた。

「俺以外、何も考えるな」
「ッ……

傍若無人な台詞はひどく傲慢で、しかし、それは彼本人が望んだことに他ならず。

「フンッ……

傲慢そのものに鼻を鳴らす男は、露わになった胸に大きな手を這わす。

「アッ、ァッ……

その感覚に、ブロッケンJr.は恥じらいもなく甘い声を漏らした。

この男にも、自分のことを記憶してもらいたい。

そんな気持ちからか。羞恥に耐え、敢えて痴態をみせる。
耳に、目に、手に。どうか自分を刻んでくれ、と。

……

もちろん、聡い男がその健気さに気付かぬわけがない。
ならば、とツンと尖った乳首を指先が捉え、ツンツンと先端をつつく。敏感なそこはそれだけで下腹部に刺激を送る。ハアッ……と熱い吐息が漏れる。無意識に太ももを擦り合わせる。
じれったい。
頭にそんな気持ちが浮かんだタイミングで、今度は性急にグリッとこねられ、体がビクッと跳ねる。

「ヒッ、アッ、んんぅッ!」

きっとこれまで何度も自分で可愛がってきたのだろう。乱暴な仕草に痛むどころか、勃ち上がって悦ぶ胸の尖は嬉しいと濃い桃色に染まる有様だ。ぷっくりと色付く愛らしい粒は、白い肌によく映えていた。

「ブロッケンJr.……

呟く声に湿った響きが滲むのも仕方ない。

「アッ、ん……ハッ、ああッ……

愛撫する手が一つから二つに増え、人差し指の腹の部分で両方の乳頭を捉え、クルクル円を描く。

「それっ、アッ……アッ!」

気持ち良いのか。胸を突き出すように、背中がソファから浮く。また、先ほどから揺らめいている腰元を見れば、前立ての部分に立派なテントができていた。きっとズボンの中はトロトロと零れる先走りで散々なことになっているに違いない。
そんな想像が容易に頭に浮かんで、アタルはハアッとマスクの中で大きく息を吐いた。
ジンジンと股間を腫れさせているのは、何も相手だけでは無いのだ。

「良い、ざまだ……

侮蔑は一体誰へ向けられたものか。
マスクでバレないのを良いことに、獣の舌でねっとりと己の下唇を舐めた彼は、徐にジャケットに手をかけた。
バサリ。硬い生地が重量感を感じさせる音と共に床に落ちる。

「キャプ、テン……
「ブロッケンJr.……今夜だけは、骨の髄まで、お前を奪おう」

望む通り、決して忘れられない時間にしてやる。

言外に語るアタルの眼差しは、あまりにもわかりやすくて。

「Ja……

涙を零しながら答えた男は、全てを捧げるように彼の首に腕を絡めることしかできなかった。



「絶対に、離さない……!」



かつて告げられた台詞を、どうにか昇華させようと足掻き。

「アタル……ッ!」

下半身に伸びた手に、ブルリと震えた。





(嗚呼、なんて素敵な日なんだろう)

生涯で唯一の愛を、この身に感じられるなんて!