ぽふむん
2025-06-07 22:38:28
1293文字
Public ワンドロ
 

死神

#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「蝋燭」をお借りして

最後の呪文は古典落語からです
陸期の童磨初挑戦です。
ぎゅうめ兄妹との邂逅前を霊夢で見たしのぶちゃんです

燭台で蝋燭の灯りが揺らめく。
部屋を照らすのは蝋燭の灯りだけ。

そんな部屋に男が一人煙管をくゆらせながら座している。

女は来ない

おおよその予想はしていた。
振られたということでいいのだろう。

女郎にも、客を選ぶ権利がある。
他の男と同衾しているのだろう。

こういうこともままあること。
この寝屋に招いたのは男では無い。女郎の方からしなを作ってしつこく誘ってきた癖に

あまりの仕打ちだ。

普通の男なら怒るところだろう。

だが、どうでもいい
別に同衾したかったわけではない。
元々生来そういう欲が薄いから。
どうせ役には立たないだろう。

求められればどちらも相手はするけれど

役には立たない逸物だ。
別に一晩来もしない女を待つのも意味が無い。
振られ男は引き上げるとしよう。

この客にとっては、どうせここには由良さんこちらをしに来ただけだ。
どうでも良かった。

禿は客が怒って帰るのだと思って、慌てるから、穏やかに笑って「そうじゃないよ。興が乗らないから、仮に来てくれたとしても役に立たない。恥をかかせるだけだから退散するよ」
そう言って、この客は禿の手に金平糖の包みを駄賃として握らせた。

楼主はしきりに謝っていた。
なんでも、気がついたらいなかったんだそうだ。
足抜けだ。
他の女を紹介すると言っていたが、それも丁重に断った。


さて、後門で硬派を受け入れるか。
こちらなら役に立つ。

宴も終わり、消灯し人気のない大通りを歩いていたら、何やら黒い影が掠めた。

あれは、今夜自分を袖にした女郎だ。
本当に足抜か。無駄なのに。

男と違い、女の出入りには厳しい目の光る吉原で……

無駄なのに

おや?もう一人女?

何か取引している。
堕胎薬か。

そうか、孕んでしまっていたのか。

「かわいそうに、俺が救ってあげるよ」
そう言った刹那、先ほどまでは虹色に光るだけだった瞳に上弦 陸の文字が浮かび上がった。

女がはっとこちらを見るのと、氷点下にまで空気が冷え、かまいたちのような旋風が起きるのはほぼ同時。

女達の体がどうと倒れる。
事切れている

血は流れない。
凍らせたから。

いくら吉原とはいえ血溜まりや、血痕なんかがこんな大通りにあったのでは翌朝大騒ぎになるに決まっている。

「生肉はダメだ。一回凍らせないと寄生虫が危ない……ああ、俺は鬼だから関係ないか」

冷気と木蓮の香りが漂う。

季節外れの蝶が一羽舞う

幻覚?

童磨は少し小首を傾げた。

蝶が舞っていると思ったが……いなかった。
「まぁ……いいか。命は儚いものだ




🦋🦋🦋🦋🦋🦋🦋🦋🦋🦋

がばりとしのぶは布団から飛び起きた。
嫌な汗が額に滲む
「夢……

両親が殺された時の夢では無い

全然見たこともない鬼の夢
……死神

見たことも、会った事も無い鬼なのに、何故か心がざわついた

こっちに来るな
親しい人の命を狩って行かないで。
命が欲しいのなら、私だけにして くださいな。
鬼さんこっちに来るな。

あじゃらかもくれんてけれけのぱー