たくとろ
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#rylkweek2506 Day2「いちゃいちゃのひかり」

ドット合流前。あやしいひかりっていい技持ってるよねヤミラミくん(ちゃん?)。

ある日の朝、朝食を食べ終えたリコとロイはキャンプの片付けを始めていた。すると突然、ウルトがロイの名を呼んだ。

「ロイ!いい天気だバトルしようぜ!!」
「今片付け中なんだけどウルトも手伝ってよ」
「そんなの後でもいいだろ!ほら、バトルだバトル!!」

はあとため息をついたロイの肩をリコが指先で軽く叩いた。ロイが顔を上げると、リコが微笑みながら言う。

「片付けは私がしておくから、ロイはバトルしてきていいよ」
「それは悪いよ
「気にしないで。ロイだって思いっきりバトルしたいってちょっと顔に出てるよ?私もロイとウルトのバトルちゃんと見てみたいし」

リコがそう言うと、ロイは目を閉じて少し考える。再び開くと、その目には闘志が宿っている。

「分かった。でもリコに片付け全部させるのは嫌だから、リコも手止めてバトル見ててね。後でウルトにも手伝わせるし」
「うん。ロイ、応援してるね」
「ああ!よし、やるぞウルト」
「お、おう」

さっきまでと打って変わってやる気のロイと後ろでニコニコと微笑むリコ。壮絶なアウェイ感を覚えつつも、ウルトもバトルの準備に入る。ロイはルカリオ、ウルトはヤミラミをくり出して一対一のバトルだ。

「ヤミラミ、かげうち!」

先手をとったのはウルトだ。ヤミラミの影がルカリオの方へと地面を這い進んでいく。

「ルカリオ、ラスターカノンで地面を抉れ!」

ルカリオは両手の間に体の光を一点に集め、ヤミラミの影が蠢く地面へと放つ。光線はロイの指示通り地面を掘り返しながら進み、ヤミラミの攻撃を焼き払った。しかし、その先にヤミラミ本体がいない。

「どこに!ルカリオ、上だ!」
「遅いぜ!!パワージェム!」

ヤミラミの周囲に宝石のような光が浮かび上がり、地面にいるルカリオに向かって集中砲火する。ルカリオは両腕を交差させて防御し、攻撃を耐え凌ぐ。

「よし、跳び上がってメタルクロー!」

ルカリオは足をバネにしてジャンプし、鋼鉄の爪でヤミラミを切り裂く。攻撃を受けたヤミラミはダメージを負いつつも、どうにか体勢を戻して着地した。ルカリオも着地すると、再びウルトが指示を出した。

「あやしいひかり!」
「避けろルカリオ!」

ヤミラミの放った不思議な光はルカリオめがけて飛んでいく。しかし、寸前でルカリオがそれをかわす。真っ直ぐに進む光はちょうどルカリオの奥にいたリコの元へ舞う。

「え?」
「あ」

時既に遅し。あやしいひかりに当てられたリコはクラクラと頭を回して倒れた。その場にいたルカリオがしゃがみ込んで声をかけるも返事はない。そして、すぐに駆けつけたロイがリコの両肩を持ち上げて呼びかけた。

「リコ!!大丈夫!?」
ロイ」
「よかった無事みたい——

ぎゅ。ロイの言葉は途中で遮られた。リコの両腕がロイの身体を強く抱きしめている。何が起きたのか分からず、ロイは思考が止まってしまった。

「え、えと、リコ?」
ロイ……ロイだいすき!」
「え?え?」

ぎゅー。一瞬ロイの顔を見つめたリコの目には渦巻きとハートが浮かんでいた。戸惑うロイにリコは身体を擦り寄せる。体温が直に伝わる感覚。心臓がニトロチャージを使ったかのように速くなっていく。でも、これはいけない気がする。息を吸い、心中で落ち着け落ち着けと唱えながらロイは言葉を絞り出した。

「あのリコ一旦離れて
「やだ。ロイのことだいすきだからずっとずっとはなさないよ」
「気持ちは嬉しいんだけど今のリコ絶対変だから
「へんじゃないよぉ」

どう見たって変だ。おそらく原因はあのあやしいひかり。リコの説得を一旦諦めたロイはウルトとヤミラミに視線を向ける。ロイに甘えるリコを見て顔を赤くしていたウルトだが、ロイと目が合ってびくりと身体が動いた。

「な、なんだよ」
「これあやしいひかりのせいでしょ?早く解いてよ」
「お、おうそうだな。ヤミラミ、解いてやれ」

無理。ヤミラミは両腕を交差させて意思を伝える。どうやら相手を混乱させることはできるが、元に戻すことはできないらしい。

「え、解けないの!?じゃあどうすんだよリコのこと
「こんらんならそのうち治るだろ」
「しばらくこうしてろって?心臓もたないよ」

真顔でそう言ったロイは相変わらず離す気が無さそうなリコに目をやる。ポケモンなら少し待てば治るが、人間にはどれくらいの効き目かこのかわいい顔にずっと甘えられたらどうにかなってしまいそうだ。

「おいロイ、朝飯に使ってたキーのみとかラムのみ残ってねえのかよ」
全部ウルトが食べたじゃん」
「しゃ、しゃーねーだろ、腹減ってたんだし」
「別に怒ってないよ。とりあえずこの辺りにキーのみとか無いか探してきてくれない?僕動けないし
「おう。行くぞヤミラミ」

珍しく素直なウルトは森の中へ飛び出していく。逆に心配だ。そう感じたロイはタイカイデンをボールから出した。ウルトが道に迷わないようサポートをお願いし、飛んでいくのを見送る。キャップやルカリオ、アチゲータも木の実を探しに行ってくれた。続いてマスカーニャも行くようだが、ロイの方をじっと見つめている。

なにもしないから絶対

ロイの言葉に頷きも返事もせずマスカーニャは森に消えていった。パゴゴとテブリムはその場に残って不思議そうにリコを見つめていたが、ロイに幸せそうな顔で抱きついている様子にパゴゴもテブリムも満足したのか違う方へ歩いていく。

「やっとふたりきりだね」
「あははねえ、一回離してくれないかな?」
「やだよ。ロイとずっといっしょ」
僕も一緒にはいたいけど、ひっつくのはダメ!」
「えへへ。てれてるロイかわいい」

やはりリコは離れてくれそうにない。どうしたものか。ロイが顔を上へ逸らすと、リコは彼の右手に指を絡ませた。

「ロイのてあったかいね」
「そ、そうかな」
「うん。ぜんしんポカポカおちつくなあ」

「こっちはドキドキハラハラなんだけど。」と、声には出さず飲み込んだ。手の甲を包むリコの手のひら。自分の指に絡まる繊細な指。リコの手を握ったことは何度だってあるはずなのに、心臓はいつかのバトルと同じくらいに跳ねている。

「リコあのほんとにもう限界だから離れて
「わたしとこうするのいや?」
「そうじゃないよ?でもこういうのってちゃんと付き合ったりしてから
「そっかじゃあロイのきもちきかせて?」
「え?」

リコは体を離すと、ロイの目をじっと見つめる。気持ち。伝えたい想いは決まっている。でも、今のリコに話していいのだろうか。こんらんしていた彼女の目が真剣に光っている。もしかしたらもう解けているのかもしれない。だったら、正直に。でも、解けていないとしたら

「ロイ
「僕は

その時、大きな風が森に吹くと共に、翼が羽撃く音がした。空を見上げると、大きな翼を広げたタイカイデンがリコとロイの元へ急降下する。その足はウルトの肩をがっちりと掴んでいた。

「タイカイデン!ウルト!」
「おおロイキーのみあったぜ
「ありがとうって大丈夫か?」
「こいつで飛ぶのメガ目がちょっと休む
「ああ

ウルトはロイに木の実を渡すと、木陰に移動して座り込んだ。遅れてやってきたヤミラミがその背を撫でる。ルカリオやマスカーニャたちも続々と戻ってきて、後はリコにキーのみを食べさせるだけだ。

「さあリコ、これを
「まだきいてない
「へ?」
「ロイのきもちまだきいてないよ
「あ、いや、ええと

リコの目が鋭く光る。ポケモンたちは首を傾げるが、ロイの頬には冷や汗が伝う。早くキーのみを食べさせてリコを正気に戻したいところだが、このままでは食べてくれそうにない。話を逸らすことも許さないという空気だ。

「あーリコこれ食べてくれたら言うから
「だめ。そんなのずるいよロイ。わたしはすきってちゃんといってるのに」
「でもさ、ほらこれ食べたら頭スッキリすると
「ロイ」

言いなさい。そう告げるような圧のこもった名前の呼び方に、ロイは怯んだ。思えばリコにしっかり怒られたことはない。初めての重みが体にのしかかる。だが、ここでリコに気持ちを伝えるのはやっぱりダメだ。どうにかして先に食べさせるしかない。

リコ、気持ちを言う以外でどうしたらこれ食べてくれる?」
「んーロイがたべさせてくれるなら」
「ほんと?じゃああーん
「そうじゃなくてくちうつし」
「は?」

あーんくらいならと安心したロイの体は一瞬で固まった。口移し。要するにキスじゃないか。リコに、キス。リコの目に僅かにまたハートが浮かんでいる。頬は赤らんで、もう完全にその気だ。

「ロイはやく」
「え、でも
「ん」

リコは再び体を寄せ、ロイの両腕に手を当てながら顔を上げて目を瞑った。入れやすいようにと少しだけ口を開いている。ポケモンたちの方に目をやれば、よく分かっていない者、知らんぷりをする者、これから起こることに顔を赤くして目を伏せている者。やらないことが許されない空気だ。
ロイは息を飲みキーのみを咥えた。これはあくまでリコに食べさせるだけ。キスじゃないキスじゃない。必死に自分にそう言い聞かせてロイはリコの両肩に手を置いた。ゆっくり、ゆっくりと顔を近づけていき、その唇が触れた。



!ロイ!!」
ん?リコ?」
「ロイ!よかった目が覚めたんだね」

安堵した顔のリコに、隣でため息をつくウルト。周りのアチゲータたちもほっとしている様子だ。どういうことだ?ロイは当然首を傾げた。

「えっとなんかあったの?」
「覚えてない?でもそっかこんらんしてたもんね」
「え、こんらん?」
「ロイ、ヤミラミのあやしいひかりが当たっちゃって色々あって木の実食べてもらったら意識失っちゃったから心配してたんだ」

色々。歯切れの悪いその言葉と共に、リコの表情は少し赤くなったように見えた。するとウルトが二人の会話に割って入った。

「そうだぜ。お前こんらんしてリコに
「ウ、ウルト!!それは言わないで!!ロイが覚えてないならいいの!!」
「え、待って、僕何したの?まさか抱きついたり
「え、ええとだ、大丈夫!!私嫌な思いはしてないから!」

リコはどうしても何があったか言わない。両手を顔の前で振る彼女をよく見てみると、唇に何かついている。木の実のかけらだ。あの色はキーのみ。まさか。ロイは自分の唇を指でそっとなぞった。すると指に何かが付着した。確認してみると、リコについているのと同じ色のかけらだ。それを見せながらロイはリコに聞く。

「ねえリコ僕のこんらん解除するために何を
「え?そ、それはだって仕方なく

リコの顔は真っ赤に染まった。ウルトも何が起きていたかを見ていたのだろう。ほんのり頬が赤い。もし、ロイの記憶にあるのがこんらんしている間の夢だとするのなら。

「リコもしかして口——や、ごめんなんでもない」
「そ、そうよかった

何をしたのかなんてもう聞くまでもない。いや、とても口に出せることじゃない。それを言ってしまったら、何をしたかハッキリしてしまうのだから。
気まずい空気が吹っ切れぬまま三人はキャンプの片付けを始めた。