kanaco
2025-06-07 00:05:50
1049文字
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【四信】熊のお兄さんは蜂蜜がお好き?

1000文字以下でお話を書く練習中。四信。

日没の頃合いになり、患者の足も途絶えた診療所。

「なぁ、これ何?」
ずっと奥の部屋でくつろいでいた信一が人払いされたことで顔を出した。彼の興味は大量の薬品が置かれる机上に増えた、見慣れぬ3つの小瓶に注がれていた。

「蜂蜜だ」と、医者。

「へぇ、なんで3本も?」
「種類が違う。蜂が持ってきた花が」

信一は瓶をまじまじと見た。確かに瓶に詰められた美しい透明の琥珀色は、色味やとろみに違いがある。
「ナツメ、菩提樹、コリアンダー」
「コリアンダー?」
「パクチーだ」
「え、おもしろ」

目を輝かせて、断りもなく瓶の蓋を開け、勝手に持ってきたスプーンを一刺し、口にパクリ。口の中に広がるこってりとした独特の風味に、甘党の信一が頬と目じりを思いきり緩ませた。

「んーうまい。けどパクチーの味しねぇな」
「おい、それは喉の炎症止めに
「本当だ、味が全然違う。菩提樹、ほんのりハーブみたいで、うまっ」
……食べ過ぎるな。消化不良を起こすぞ」
瓶を取り上げようと手を伸ばすも、とても幸せそうな顔で舌鼓をうつ信一が目に入り、気が抜けた四仔は腕を降ろした。そんな四仔を見て恋人は笑う。
「味見だけだって。でも確かに中毒性あるかも。なぁ四仔も食べる?」
そう言う信一の唇と周りが、琥珀色に光る。

(子供か

四仔はすっかりご機嫌の彼へ「そうだな」と返事をした。そして近づくと、おもむろに腰を引き寄せ、そのテラテラと誘う青年の口元に舌を這わせた。驚いて引け腰になるのを抑え込み、流れるようにキスをして舌を差し込むと、甘さが四仔の口内を満たす。温かく濡れた口内を二つの意味で味わうようにじっくりと堪能すると2人から酔いしれるような喘ぎが零れた。

(甘

でも悪くない。
なるほど、中毒性。

「この味は?」
一度、唇を離して聞けば、
「ぼぼだいじゅ
顔を真っ赤にした信一が舌足らずに答える。

四仔は菩提樹の蜂蜜瓶を取りあげ少し傾けると、信一の左手にトロリとかけた。一筋の蜂蜜がゆったりと落ちて指に絡みつき、四仔はパクリとその指を口に含む。そうして丹念に舌で蜜をすくいあげる。

「ねぇなんでスイッチ入ってんの?」
感じる男の舌に色っぽい息遣いをし始め、信一はもう次の甘美を期待して目を潤ませながらも問うた。

その声ごと飲み込むように再度口づけた四仔は、果たしてこの中毒性ある甘さは蜂蜜か恋人か、両方をたっぷりと堪能して確かめるために、診療所のベッドに雪崩れ込むことにした。