ながひさありか
2025-06-03 22:47:45
652文字
Public STR-Phaidei
 

ファイモス:星はうたう

不純文学

「また来世で」という約束に素直に頷いた。その当時はもう少し希望に満ちた約束だった筈だ。だって君は約束を破らないのを知っていたし、僕はできない約束はしないタイプだ。約束も魂も外からは見えないものだけれど、果たせる筈だと信じて疑わなかった。
 なのに、何百何千と人生を周回しても、まだモーディスと再会しない。世界は何度か終わった気がするし、時間の流れや感覚も一定ではなかったような気もする。
 もしかすると周回するうちに僕たちの記憶や魂は擦り切れていて、僕の想いも原初と比較すれば差違が出ているのかもしれないし、モーディスは忘れてしまったのかもしれない。それを確かめる術は僕にはないので、考えないようにする。そうでなければ絶望に落ちてしまうと分かっていたからだ。
 何万回目かの人生で、とうとう、再会を諦めるべきなんじゃないか、と邪念が走った。世界は今度も緩やかに滅亡を迎えている。今度は僕もそれに手を貸した。虐殺に次ぐ虐殺を繰り返し、世界中から国家を残りひとつまで消し去ってもまだモーディスは見つからない。ひとりひとり確かめながら殺して、とうとう誰もいなくなっても、それでもどこにもいないのだ。
 剣を落とした瞬間、地割れが起きて、あ、と声を溢す間も無く足下から飲み込まれて行く。意識が潰されるその瞬間、ようやく君を見つける。
 確かに時間感覚や魂の姿は自由だろうけど、と思ったのは僕の方だが、そんな形で誠実性を示さないでくれよ、と逆に笑ってしまう。
 僕の腕じゃ、星を抱きしめるのは少し難しいだろ。


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