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ながひさありか
2025-04-24 00:39:12
1513文字
Public
STR-Phaidei
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ファイモス:終末何してますか?
デートしたいなら素直にそう聞け。
終末何してる?
明らかな誤変換だったが、モーディスはあえてそのまま返信することにした。
『戦っている』
簡潔に返すと、翻訳途中の巻物を棚から取り出した。先日、樹庭の学者に翻訳を頼まれたもので、クレムノスの昔の食事風景について記された日記のようだった。公用語に翻訳したものをアーカイブ化したいと言われていたため、なるべく丁寧にやっていたのだが、近頃戦闘が多く、進みがあまりに良くない。
そう言うわけで、「今週末」の予定であれば「翻訳作業がある」、と言う回答になったが、「終末」であれば、戦っていると答えるしかない。
巻物を公用語で読み上げ、文字起こしを走らせていると、ファイノンからメッセージが数件届く。
『いや誤変換だってわかるだろ!』
通知で一文だけメッセージを読むと、無視して作業を進めることにする。
二分も経たずに、今度は通話がかかってくる。
「
……
なんだ」
文字起こしを中断し、音声をスピーカーに切り替えながら出ると、「あれ、返事をくれないから出てくれないかと思った」と意外そうな声がした。
「切るぞ」
『待った! すぐ本題に入るから! さっきの返事だけど、エスカトンの話じゃなくて今週末の予定に決まってるだろ?』
スピーカー越しのファイノンの妙にそわそわした声に、何か約束をしただろうか、とモーディスは記憶を辿るように首を傾げた。
先週はバルネアでファジェイナ祭典(簡易再現版)が行われ、散々ネクタールを飲んで呂律の怪しいファイノンに「もしかして王子のくせにダンスのひとつもできないのか?」とかなんとか煽られ、気づけばファジェイナを讃える(とは言うものの、子どもも大人も簡単に踊れるものだ)ダンスを市民に混じって数時間踊り狂う羽目になった。
最後まで立っていたほうが勝ちだ! と決めたものの、最終的に、ファジェイナを信仰する大酒飲みの女性が二人から勝ちを取っていった。彼女が座り込んだ英雄二人の前で華麗なステップを決めながら、「普段から踊ってるからね」とネクタールをさらに浴びるように飲む写真が、ディアディクティオに掲載されている(黄金裔に勝利! 真の勇士の誕生か!?)。
「今週末は忙しい」
『どこかへ行くのかい?』
「樹庭の依頼で翻訳作業をしている」
『え、樹庭は君に声をかけるほど学者不足なのか』
「切るぞ」
今度は言い訳を許さず即時で通話を切ると、ファイノンを着信拒否に設定しておく。後で解除してやるつもりはあったが、これ以上作業の邪魔をされたくはなかった。
週末、丸一日かけて一通り読み上げを終えると、文字起こしの完了したテキストの確認をした。モーディスは一部ニュアンスの怪しい部分に注釈をつけ、誤変換を修正し、不足を追記する。
データを保存すると、樹庭の学者や使者がオクヘイマに一時滞在していないか探すよう侍者に頼み、ファイノンの着信拒否を解除した。
読み込みの止まっていたメッセージが雪崩込んでくる様子に呆れながら、ため息をつき、通話をかけてやる。着信拒否をこちらにもしているだろうかと思ったが、それはなく、呼び出し音が響く。
今度もスピーカーに切り替え、ファイノンが通話に出る間、届いていたメッセージを一応見ておくことにした。どうせ謝罪とくだらない呼びかけばかりだろう、と予測しながらスクロールし、その通りの文言が並ぶ画面に鼻を鳴らす。
『終末でも君のそばにいられたらいいなと思ってるけど、多分叶わないんだろうな』
最後のメッセージにモーディスが顔を顰めるのと、ファイノンが通話に出たのは殆ど同時だった。
「くだらんことを言う暇があるなら、今すぐ会いに来い」
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