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ながひさありか
2025-04-19 23:32:42
2963文字
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STR-Phaidei
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ファイモス:ワンドロワンライ-約束
現パロ。いつものカフェ店長やってるモーディスの話(星座のあとで/余談の日々)の二人です。
ちょっと「ん?」みたいな内容がありますが、合意しているので特に問題にはなりません(したほうがいいかもしれませんが)。
来月大学の頃の友人と飲んでくるよ。男二人女の子三人、全員既婚者か恋人がいるし、本当にただの友人だから安心して欲しい。
モーディスの両手を握り、真剣な顔で捲し立てるファイノンの顔を見つめながら、モーディスは「そうか」とただ一言だけ口にした。
飲みに行ってもいい? だとか、どう思う? と尋ねられたのであればもう少し返答を考えたかもしれなかったが、既に確定した予定のようだったし、昔の友人に会うのを止める理由はモーディスには特にない。どちらかというと、今まで友人の話を殆ど聞いたことがなかったため、てっきり社会人になってからは疎遠なのかと思っていたが、そういうわけではなかったのか、とは思った。
——
より正確に言うのであれば、一度、「友人」についてファイノンと喧嘩をしていたので、お互いの人間関係への過干渉はやめよう、と約束していた。重ねて言うが、「行ってもいいかな?」と言う相談であれば少し考えて「浮気はするなよ」と冗談にして笑ったりもしただろうが、決定事項なのであれば特にモーディスからはコメントはない。
「
……
それだけ?」
「? 帰りは気をつけろよ、お前はたまに飲みすぎるからな」
と言いながら、モーディスはスケジュール共有アプリにファイノンの飲み会の予定を書き込んだ。元々酒を飲む習慣はないが、この日は洋酒入りのケーキも気をつけなければ。もしファイノンが飲みすぎて帰宅が困難になれば、迎えに行く必要があるだろうと考えていた。
*
モーディスの予想は的中した。
帰宅予定時刻になっても帰って来ないファイノンに「大丈夫か?」とメッセージを送るが、なかなか既読にならない。いい歳をした男なのだから放っておいてもいいだろう、とモーディスは自分のはやる心を落ち着けようとしたが、今までファイノンが帰宅予定時刻を守らなかったことはなく、遅れそうな場合も事前連絡があったことを考えると「おかしい」と思った。
十分悩んだ末に電話をかけるが、それも応答がない。
「
…………………
」
五回掛け直してから、さらに五分悩む。その間にメッセージが既読にならないかと考えたがやはりならなかった。
諦めて、モーディスは基本的には使わないようにしている位置共有アプリを立ち上げた。付き合いたての頃にファイノンに「君にも入れて欲しいな」とお願いされていて、特に何の理由もなく受け入れた。
普段は使わないし、逐一ここに行くって聞いてないけど、とかも言わない。でもほら、仕事の後に待ち合わせをしたりするのにも便利だから、とかなんとか、ファイノンは言い訳のように捲し立てていたが、モーディスにはなぜファイノンがそんなことを言うのかがよく分からなかった。
何かあった時のためなのだろう? と尋ねれば、「そうそう、そうだよ」と慌てたようにファイノンが笑い、「君は別に一々問い詰めてもいいから」と続ける。
自分の位置を知られるのは別に構わないが、ファイノンがどこにいるのか監視しようとは別に思わず、「気が向けばな」と答えた。
先日ファイノンと喧嘩をした際はGPSがオフにされてしまい、場所が辿れなかったのだが、今夜はオフになったという警告は出ていなかった。
ファイノンを示すアイコンを見ながら地図を拡大する。どうやら、三つ程すぎた駅にいるらしい。降りそびれたか、寝こけているかで、終点まで行ってしまったようだった。
迎えに行くからそこを動くな、といまだに既読にならない画面を見ながら送信し、家を出た。
車を走らせて駅に着くと、念のため位置情報を再度確認する。家を出る前と変わらない場所に、自分の居場所を知らせるアイコンがやや重なっていた。
駅員に「酔っ払いを保護していないか?」と尋ねると、「もしかして白髪の男性の知り合い?」とホッとしたように答えが返ってくる。
「話しかけても要領を得なくて困ってたんだよ。財布の中とか見せてもらったんだけど、名刺の一つも入ってないし、顔認証も通らなくてね。警察を呼ぼうか相談してるところだったんだ」
モーディスは駅員に丁寧に謝罪をし、救護室を案内してもらう。確かに寝かけているファイノンの頬をはたき「おい」と声をかけると、むにゃむにゃ何か口にし、三分の一ほど目を開けて、モーディス? と言いながらしがみついてくる。
「
HKS
このばか
! 帰るぞ」
明らかにキスをしようとしていた男の顔を慌てて手のひらで押し返し、モーディスは引きずるようにしてファイノンを車へ押し込んだ。
無言で走らせてから十分程して少し酔いが覚めたのか、「モーディス?」と信号待ちの合間に、ファイノンが不思議そうに声をかけて来た。
「楽しかったのは結構だが、こんな風になるまで飲むな」
「ん? あれ
……
、あー、そうか、そうだ、地下鉄に乗ったまでは覚えてるんだけど
……
」
「鞄と携帯と財布はあった。明日起きてから改めて確認しろ」
「心配で迎えに来てくれたのかい?」
ハンドルを握るモーディスの頬に手を伸ばそうとするファイノンに「触るな」とぴしゃりと言い放ちつつと、「当たり前だろう」と口にした。
「酔っ払ったお前を迎えに来るのは今夜が初めてでもない」
「誰かが君に連絡してくれたのかな、明日お礼を言っておかないと
……
」
背もたれに体を沈めて目を閉じたファイノンに、次に目が覚めた時には既にこの会話を忘れていそうだな、とモーディスはため息をつく。
帰宅し、肩を揺さぶっても目を覚さないファイノンを担いで連れ帰ると、服を着替えさせるのは諦めて、ベッドにそのまま寝かせ、上着と靴下を回収する。せめてシャツの襟元を緩めておくか、とボタンを外していると、熱い手に手首を掴まれぐいっ、と引き寄せられる。
アルコールで酔った熱いファイノンの頬と頬が触れ合い、すぅ、と何かを確かめるようにファイノンが深く息を吸う音が聞こえた。
「
……
大人しく寝ろ、目が覚めたのなら水を飲め」
モーディスは盛大なため息を吐くと、頬にキスをしながらまとわりついてくるファイノンを何とか引き剥がした。熱い肌に体を撫でられて少しそういう気分になってしまったが、ここまで泥酔した男はきっと途中で眠ってしまうだろうと言う予感がした。
ちぇ、と拗ねたようにベッドに身を投げ出したままのファイノンが呟き、まるでモーディスが何日もファイノンを放置したかのように、情けなさと恨み言の混ざったような顔でモーディスを見上げた。赤い顔のファイノンは泣いた後のように見えないこともなく、モーディスは少しだけ良心が痛む。何も悪いことはしていないはずだ、していないよな? ない記憶を念のため遡ってしまったが、やはり特にはない。
「今のお前に何を言っても覚えてはいないだろう。今夜は大人しく寝ろ」
髪を撫でてファイノンを宥めていると、撫でていた手を取られ、指を絡ませてくる。その手の熱さに、「水を飲んだほうがいい」ともう一度口にしたが、「うん」と言ったきりファイノンは手を離そうとしない。
三十分は手を握られていただろう。モーディスは寝息が落ちたのを確認すると、ゆっくり握られていた手を解き、ファイノンの前髪をそっと払い、額に口付けを落とした。
「おやすみ」
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