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ながひさありか
2024-11-23 18:44:23
1333文字
Public
STR-Mozeqiu
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モ椒:いい夢をみた
耳の装身具は玉兆と連動しており聴覚補助機能が動作しているという独自設定があります。
奇妙な夢をこのところ連続して見ている、気がした。
胸の上に暖かな重石を置かれ、息苦しさを感じるとそっと離れて行く。そんな夢だった。
椒丘ははじめ、胸の傷の経過が悪いのかと疑ったが、触診にも簡易スキャンにも痛みの原因は引っかからない。それならと丹鼎司で検診を受けても、やはり特に問題は見つからなかった。
不思議に思っていたが、数日続いたその夢を、最近は見ていない。何かの報せというわけでもなく、本当にただの夢だったのだろうか? そう考え、忘れることにした。
数週間程経って、再び同じ夢を見るようになった。三日も四日も同じ夢を見るうちに、ある日突然これは夢だと気がついた。
以前は体が動かなかったが、今回は夢の中で手が動く。椒丘は泥の中から持ち上げるように重い手を動かし、胸の上にある暖かな重石を退けようとした。
その手は、誰かの頭部に触れていた。片耳を椒丘の左胸に当てていた誰かが、びくっと反応する。
指先に触れた髪と肌の感触、身に覚えのある体温に、あ、これは夢ではなく現実か、と気がついた。
寝ぼけたふりをして髪を撫でると、声を上げずにそのまま再び眠りについた。
昼まで惰眠を貪ってから目を覚ますと、洗濯をしていたモゼが寝巻きを回収してもいいかと声をかけてきた。
はいはい、と雑な返事をして脱ぎ散らかしながら箪笥へ移動し、服を着替える。今更下着姿を見られるくらいどうということもないのだし、と思っていると、「ここで脱ぐな
……
」とモゼが呆れ声で呟くのが面白い。
ぼさぼさの髪と尻尾を整えるのが面倒だった。髪はとりあえずまとめておけば良いが、尻尾はそうもいかない。
椒丘はふらふらとダイニングへ向かうと、ソファに座って、あくびをしながら尻尾の手入れをする。そうしているうちに目が覚めて、きちんと髪を結う気分になった。
洗濯機の回る音が聞こえている。二十年も前に「乾燥までできるタイプがいいですよ」と言われ、素材に関わりなく乾かしてくれるのであればいいか、と適当に買ったものがまだ壊れていない。長い間それで不満もなかったが、休日になるとあくせく掃除しているモゼの様子からすると、二人分の洗濯を回すには少し小さいのかもしれない。
そのうち買い替えを提案すべきか悩みつつ、いつものように簪を挿していると、椒丘、とモゼが声をかけてくる。
声の方に顔を向けてから、耳の装身具をつけ忘れていることに気がついた。音の方向が正確に拾えないな、と思っていると、モゼが耳に装身具をつけてくれる。玉兆が微かに振動し、ペアリングが完了したのを感じる。
「どうもありがとう。寝ぼけて忘れていました」
「
………………
」
「モゼ? どうかしましたか?」
笑って礼を言うと、モゼにじっと見つめられている予感がした。
「
……
昨日の夜、」
モゼが気まずそうな声を上げた瞬間、椒丘は首を傾げ、「悪い夢でも見ましたか?」と尋ねた。いや、と言い淀むモゼに、「僕はいい夢を見ましたよ」と続ける。
モゼの手を取って自分の首筋に指先を当てさせると、「こっちの方がわかりやすいと思いますけどね」と笑いながら、自分の指先もそこに添えて、とくとくと規則正しく動く拍動を感じた。
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