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-鳳梨邸-
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RS2R
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【RS2R夢】1.すれ違う君
RS2R最終皇帝男夢。最終皇帝男視点。
夢主と終帝男女は名前変換可。変換しないとデフォルト名になります。
レオンハルト
レオンハルト
レオノーラ
レオノーラ
レオノーラ
レオンハルト
レオノーラ
レオノーラ
レオノーラ
レオノーラ
レイ
レオノーラ
レオノーラ
レオノーラ
レオノーラ
レイ
レオノーラ
レイ
レイ
レイ
レイ
レオノーラ
レオノーラ
レイ
レオノーラ
レオノーラ
レオノーラ
レオノーラ
レオノーラ
レオノーラ
レイ
レオノーラ
レオノーラ
レイ
レオノーラ
レイ
女性の吟遊詩人とは珍しい。
初めて彼女を見た
レオンハルト
の感想はそんなありきたりのものだった。
彼女の顔は見えない。大きめの鍔がある帽子の下からは長い黒髪が覗き見えるくらいで、目元を細やかなレースで作られた黒いヴェールで覆っていたからだ。
アバロンの噴水広場で、噴水を背にした彼女はこれもまた珍しいネックが二つあるギターを軽やかに奏で、その歌声が響く。
優しげで、少しだけ悲しげで。綺麗に歌い上げて噴水広場をその声で彩る。
道行く人が足を止めてその歌声に聴き入れる。自分もその一人だったはずだった。
ただの吟遊詩人とその観客。
この時は、それだけの関係で終わらず、ここまで自分の人生に関わって、彩りを与えてくれるとは思いもしなかったのだった。
・・・・・
「
レオンハルト
?」
双子の妹
レオノーラ
が、金の髪を靡かせ私の顔を覗き込んだ。少し反応が遅れたからか、怪訝そうな顔をしていた。
「
…
ああ、すまない」
気づいた時には、噴水広場に吟遊詩人の女性の姿はなかった。歌の対価として金銭を得ることもせず、颯爽と去っていった。
「女性の吟遊詩人なんて珍しいわね」
レオノーラ
の言う通り、基本的に吟遊詩人は男性であると聞く。旅をしながら歌い奏でるには、女性には厳しい面もあるだろう。
「そうだな。綺麗な歌声だった」
女性が持つ高く透き通るような声と、男性程には重圧を感じない低い声で歌われたその歌にはとても癒やされた。
噴水広場で聴いていた人々と同じように余韻に浸りたいが、我々には行く所がある。
「宮殿に向かおう」
「ええ」
噴水広場から離れ、城門へと続く石階段を登る。
我々兄妹はバレンヌ帝国の皇族の血筋だ。祖にかつてのバレンヌ帝国皇帝であったジェラール帝がいる。
と言っても、皇族とは名ばかりである。
この国では伝承法で前の皇帝の力と記憶を受け継いだ者がバレンヌ帝国の皇帝に就く。つまり、血筋は関係ない。
皇帝を本来の血筋に戻そうとする派閥と現在の皇帝を推す派閥、バレンヌ外での貴い血筋を皇帝にと推す派閥と入り乱れながらも、帝国は今の形を保っている。
我々は何時どの時であろうと現在の皇帝を支持しているが、皇帝を本来の血筋に戻したい王侯貴族組にはそれを良しとしない者も多くいる。
現在の皇帝陛下がバレンヌ出身ではなく、つい最近併合したばかりのヤウダ王国の方だというのが大きな理由として占めているのだろう。
…
現在の皇帝陛下について知っていることは多くない。
前の皇帝陛下が亡くなり、伝承法で皇帝の力を受け継いだ現在の皇帝ジュウベイ陛下。
ジュウベイ陛下はバレンヌにおける騎士とも言える、ヤウダのイーストガードである。戦士としての力も申し分なく、人格者であるというのが聞こえてくる評価である。
他に知っていることと言えば、陛下には我々と同い年の妹君がいると言うことだ。
城門に差し掛かると、兵士が敬礼し宮殿への扉を開けてくれた。
扉を通るとすぐに文官が現れ、その文官を通して玉座の間にいらっしゃる陛下へと来訪の旨を伝えてもらうと、すぐに玉座の間へと案内された。
レオノーラ
と並び、膝を付き頭を下げて、陛下の言葉を待つ。
「二人ともよく来てくれた」
人を安心させるような力強い声が耳に届く。
「はじめまして、皇帝陛下。
レオンハルト
と申します」
「皇帝陛下、お初にお目にかかりますわ。
レオノーラ
と申します」
レオノーラ
と共に名乗ると、顔を上げて欲しいと言われたので、陛下と向かい合った。
「ジュウベイだ。よろしく頼む」
陛下は、強い意思が宿っている切れ長の瞳をしていらした。
ヤウダ人種特有の艶のある黒髪を総髪にし、纏めた箇所に棒状の物を飾り付けている。この辺りでは見ない髪の纏め方だ。同じく、朱色の戦衣装もアバロンで見かけるものではない。
「
…
」
レオノーラ
の反応におや、と思いちらっと横目で見たら、頬を赤く染めてその瞳には熱を秘めていた。
…
身内のこういった姿を見るのは、何というか落ち着かない。ただでさえ陛下の前だ。そわそわする。
「そなた達に期待している。帝国のために励んでくれ」
「はっ!」
「はい!」
私も
レオノーラ
も、皇帝となるために育てられた。皇族だということもあり、そういう教育を受けてきており、アバロンの大学にも通って学びを深めている。
全ては、帝国のために。我々の存在意義だ。
「陛下。失礼いたします」
文官が、陛下へ一礼してから歩み寄り、そっと耳打ちをした。
「
…
レイ
はまだ来ないのか
…
」
「
…
?」
陛下が落胆したその声で呟いた名前は、確か陛下の妹君の名前だ。
「すまぬな、二人とも。愚妹にも挨拶させるつもりだったのだが
…
またの機会にしよう」
何か行き違いがあったのだろうか。
「左様でございますか」
陛下が紹介してくださるお身内に逢うのなら、我々は幾らでも待てるのだが。
「ここで逢えずとも、大学で行き合うことがあるだろうが
…
」
「妹君は帝国大学に通われるのですか?」
レオノーラ
が聞いた。同じ歳、同性でもあるから気になるのだろう。
「ああ。今日、大学の手続きをしに来ている」
それなら確かに大学でお会い出来る。この方の妹君なら悪い人物でもあるまい。
「長く黒い髪に、目を覆っているからアバロンでは目立つはずだ」
陛下のお言葉に思わず
レオノーラ
と顔を見合わせた。該当する特徴を持つ人物なら、先程我々は見ている。
「こちらに参ります前に、同様の特徴を持った吟遊詩人の女性を見ましたが
…
妹君でしょうか」
そう私が尋ねてみると、皇帝陛下は深い溜息を吐いた。
「
…
そうだ。近くまで来てはいるのだな
…
」
苦いものを噛み潰したのを耐えているような、そんな言い方だった。そこに複雑なものが見えて、一歩踏み込むのは躊躇われた。
「大学で、これからお逢いするのが楽しみです」
レオノーラ
のこういう機微を察して動けるところは素直に感心する。
レオノーラ
が微笑んだのを見て、陛下は目を細めた。
「私も逢うのは久し振りでな」
陛下が仰るには、妹君
レイ
殿は数年前から故郷であるヤウダを離れ旅をしており、陛下が皇帝になったことを切欠にアバロン大学に通って知見を得たい、と手紙で言ってきたそうだ。
「今更得る知見もないだろうに、私が皇帝になったから帝国について学びたいのだと。私の事より自身の事を考えて欲しいものだ」
仲の良いご兄妹なのだな。珍しい女性の吟遊詩人であることと言い、ますます彼女と話してみたくなった。
「入学早々やらかすであろうな
…
」
それはどういう意味だろうか。
最後に疑問を残しながら、皇帝陛下との挨拶を終えたのだった。
・・・・・
陽が高く昇る頃、私は大学構内にいくつかあるガゼボにて情報交換を兼ねて
レオノーラ
と昼食後に茶を交わしていた。
皇帝陛下との挨拶から三ヶ月が経過したが、未だに陛下の妹君とは挨拶すら交わせなかった。
そして、ここ三ヶ月で陛下の仰っていた妹君の「やらかす」ということは理解できた。
皇帝陛下の妹君
レイ
殿の容姿について、陛下と同じ黒髪がとても目を惹いた。ヤウダの人種特有の黒髪はアバロンではそこまで多く見かけないのもあるが、彼女の髪は豊かでまるで魔性を感じるような烏の濡羽を思わせるものだった。
そして目を黒いヴェールで覆っている。軍師を名乗るコウメイも目を変わった眼鏡で覆ってはいるが視界をきちんと確保しているのに、彼女のそれは完全に隠している。一分の隙もない。講義での黒板とかどう見えているのだろうな。
吟遊詩人としての姿を見ていたこともあり、我々は見てすぐにこの方が
レイ
殿だと分かったが、この容姿だけならまだやらかすという範囲ではない。
レイ
殿は非凡だった。総合首席として名を上げられていた。
特に術法に関しては常に頂点におり、彼女からの術法についての問い合わせに手を焼いた教授が王宮の宮廷魔術士を呼ぶほどだ。
彼女は術法の使い方が巧みでかつ高威力で、現存している術や合成術の取り扱いもそうだが、新たに術を生み出してもいるらしい。それは教授だと手を焼くだろう。
宮廷魔術士とは兄である陛下との関わりがあるのか知り合いのようで、仲は良さそうであった。彼女と話が出来る宮廷魔術士達が、少しだけ羨ましい。
吟遊詩人だからだろう、彼女は音楽の科目も取っている。
現役である彼女の演奏は聴き惚れる者が多く、講義中だというのに廊下に人が集まっていることがあった。私もその一人だ。
あの時みたいに歌わないのは残念だ。
ちなみに先日は陛下もいらした。何をしていらっしゃるのか。
レイ
殿は私と
レオノーラ
と同じ科目を取っているため講堂でお会いすることもあるのだが、何度か隣に座ることが出来ても話しかけることは出来なかった。
講義後にやっとの思いで声をかけたそばから、すでに彼女は講堂にいないのだ。風の術法で高速移動しているらしく、席を立つとすぐに講堂の出入口に飛んでいる。
関わりたくない、とその背が言っていた。その背を見送るたびほんの少し悲しさが芽生える。
後になって
レオノーラ
から聞いて知った話だが、
レイ
殿が入学してすぐにあった試験の後に、アバロンの貴族から皇帝陛下の妹だから成績を融通してもらっているんだろう、と非難を受けていたと言う。
そんなことがあったのならアバロンの貴族や皇族とは話したくないだろう。私が感じた少しの悲しさとは比にならない。
…
陛下はアバロン出身ではなくヤウダ出身だから、そちらを贔屓しているように見えているアバロン貴族の不満が透けて見える。大学も利権の縮図なのだな。
それにしても誤解にも程がある。彼女の何を見てそんな事が言えるのだ。彼女の首席は天才だからではない。あれは努力の賜物だ。講義で隣に座って彼女を見てみろと言いたい。
びっしりと書かれた講義の内容と、自身の考えをまとめてあったあのノート群を見るといい。いや、そんな連中に見せるくらいなら私が見たいし語り合いたい。
私がそう言うと
レオノーラ
は、カップを手に取りながら呆れたようにこう言った。
「普通は陛下が身内可愛さにそんなことをする訳がない、って言うところではないかしら」
「それは当然だろう。陛下はそんなことをするお方ではない」
これまでに何度か陛下とは話をしているが、品行方正で自他共に厳しいお方だ。そんなお方が身内贔屓などしない。分かりきっている話だが、
レオノーラ
は何が言いたいのか。
「そうじゃなくて
…
随分入れ込んでるのね、妹君に」
「
…
入れ込んでる、だと?」
まだ我々は会話すら出来てないのに?
そうとしか聞こえないのよ、とぽつりと呟いてから
レオノーラ
は茶を飲み干し、音もなくカップをソーサーに置いた。
「私も早く話してみたいわ。陛下がとても素敵なお方だし。その妹君である彼女とも、きっと仲良くなれる気がするの」
ここ最近の
レオノーラ
は陛下の話をすることが増えた。陛下との初めての顔合わせ、その時の反応からそうなるだろうとは分かっていた事だが。
正直な話、身内贔屓ではないが
レオノーラ
に釣り合うような男性は非常に少ない。文武両道の陛下に懸想するのも当然なのかもしれない。
そして、私と共に皇帝になるため育てられた
レオノーラ
にとっても、立ち位置や考え方で対等に話せる存在というのは貴重だ。
レイ
殿なら、と考える気持ちも理解出来る。
レオノーラ
は社交的だが、周りに寄ってくる貴族達はご機嫌取りにしか見えないと言う。私も同様の意見なので、辟易しているのも理解出来る。
皇族として期待されているのは分かる。けれども、その位置にいる我々が、上辺だけでなく本当の自分を見て関わって欲しいと願うのは我儘なのだろうか。
「話が出来る機会があれば良いのだがな」
半分諦めの境地だ。考え方も暗くなる。思わず溜息を吐いてしまった。
大学以外で彼女を見かけたことがないので、大学で話が出来ないなら何処で話をすればよいのだろうか。
茶を一口含み、喉を潤してからソーサーにカップを置く。温くなってしまったな。
「それなら来週末に王宮でパーティがあるじゃない」
「ああ」
交流会のことだ。皇族貴族、周辺地域の貴族や他地域の長達を招いてのパーティである。
今回は皇帝陛下がどういった人物なのか各地に知らせる意味合いもある。
「ねえ。陛下のダンス相手はいらっしゃるのかしら」
レオノーラ
はにんまりと笑みながら、私にそう聞いた。分かりきっている話であり、何かを含んだ言い方だ。
「順当なところで
レイ
殿だろう」
陛下には婚約者がいない。そうなると必然的に、年齢の近い身内がパートナーになる。
どこか派閥に肩入れするのならそこの女性を選ぶだろう。例えばバレンヌ皇族やアバロン貴族から選ぶなら、皇族であることと陛下との年齢の近さを考えて
レオノーラ
が選ばれることになるはずだ。
だがそういった知らせは来ていない。陛下はどの派閥にも肩入れする気はないようだ。
「
…
お互い、話が出来たらいいわね?」
そうだ、交流会では確実に会える。
我々が陛下と交流しているのは周知の事実だ。その陛下が連れているお身内と交流会で話をすることは、何らおかしな事ではない。
「そうだな」
レイ
殿のヴェールで覆われている素顔を見てみたい気持ちはあるが、そこまでは望まない。
一言だけでいい。こちらを認識して貰わなくていい。陛下の為にアバロン大学へ入学し研鑽を続ける姿に、その努力に敬意を持っていると伝えたい。
それを考えただけで、いつもは仮面を貼り付けたような顔で出ている交流会が、今回は実のあるものになりそうな予感を覚えたのだった。
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