三毛田
2025-06-04 22:08:13
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13 013. やきもち焼いて

13日目
君も同じと知って

 それが彼にとって必要なことだとわかっている。
 初めはどこか遠慮があったようだけど、気づけばあだ名で呼ばれることに対して臆することなく己の意見を伝えていて。
「やあ、相棒。なんだか元気がないみたいだな」
「お前ほどじゃないよ、ファイノン。というか、その呼び方やめろって。俺の相棒は丹恒だ」
 むすっとしながら伝えると、この星の救世主と定められた男は苦笑しながら頬を掻く。
 無自覚とかならまだいいけど、自覚アリだから困るんだよ。
「君たちの関係は、少し羨ましいな」
「お前とモーディスだって似たようなものだろ?」
「彼とは、戦友であり好敵手だ。友とは呼ばないさ」
 本当はそう呼びたいんだろ? とは口にしない。
 割り切っているようで、それができていないみたいだから。
「ファイノンも来ていたのか。ヒアンシーとは知己だろう? 護衛としてついていてやってくれ」
「聞いてください。たんたんってば、オクヘイマは、アグライア様のおかげで安全だと言っても聞いてくれないんです」
 ぷくっと頬を膨らませるヒアンシー。一般人よりは強いというか、戦う術のような、対策みたいなことはしているだろう。
 それでも、戦士や前線に立つ人間でないのならば、何が起こるかわからないのだから傍に戦える人間がいたほうがいい。
「俺もそう思う」
「そういえば、キャストリスさんが会いたがっていた。行こう、ヒアンシーさん」
 己が呼ばれていると聞けば、行かずにはいられないのだろう。
 二人は花園を後にする。気を利かせてくれたのだろう。ファイノンなのに。
「妬いた?」
「多少は」
「俺も妬いてた」
「そうか。珍しいな」
 俺が妬いたと口にすると、一瞬目を見開いて。
 それから、ソワソワ落ち着きがなくなる。
 休憩中のキメラたちの鳴き声を聞きつつ、ルトロへ戻るため足を向け。
 リクライニングチェアへと寝転がった丹恒の胸へ、顔を寄せそれから体を預ける。
「丹恒が嫉妬するって珍しいじゃん」
「俺も一応感情を持つ生命体だ。それくらいはする」
「ふふ」
「嬉しそうだな」
「嬉しい。丹恒が、俺のことを考えてくれてるってことが」
 心音がちょっと速くなって。
 ああ。
 それすらも愛しい。
「何笑っているんだ」
「丹恒の事、また好きになったから」
「お前はいつもそうだな」
 少々苦笑しながらも、俺の頭を撫でてくれる。
「やきもちってさ、疲れるけど報われたときすごく嬉しいんだ」
「今回はどうなんだ?」
「丹恒もやきもち妬いてくれたから、めっちゃプラス!」