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流
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知らずにいた
6月3日(ローサン)の日記念にできないことをしました。
🏴バカップルローサン。
直接的な表現があるのでご注意ください。
R15くらい。
※転載・2次使用は禁止いたします。
ぶ厚い布の隙間から光が差すのを感じ、頭は覚醒しつつあるが目が開かない。
ローは動かそうとした腕が動かないことに気づいた。腕の中に何かいる。
覚えが無いわけではなく、昨日は島に着くというタイミングで麦わら海賊団と落ち合った。正確に言えばそこのコックと。
ローが麦わら海賊団のコック、黒足のサンジと恋仲になって久しい。紆余曲折あったが仲間達からも公認で概ね順調と言って過言はないだろう。以前組んでいた同盟はとうに解消し目的も行先も交わらない二人が逢える時間は当然減ったものの、未だ逢瀬が実現できているのは互いの移動能力の高さと仲間達の協力の賜物だった。
連絡を取り、宴を開き、情報交換をする慣れ合いを良しとするなどかつてのローでは考えられないことだ。無論、大切な人を作るなんてもっての他だった。互いのことを想うが故に別れようとしたことも一度や二度ではなかった。
どうしてこうなったかは割愛するが、今のローはただのリア充である。今回はそれぞれの航路が似ていた為間の島に立ち寄り落ち合った。商業に富み活気があり、ログがたまるのにニ日程度。一泊し、自由行動の後、夜にはクルー全員と合流し宴も待っている。リア充が盛り上がるのに持ってこいだ。
だから盛り上がったのだ。会っているとは言え常から一緒ではない。焦がれるし、会いたい。基本的に会える時間はずっと拘束している。宿に連れ込み離してやれないこともざらだった。
だから朝起きて今この腕の中にいるのは愛おしい存在に他ならない。
自由な方の腕を開き切らない目の端にチラチラ見える金糸に絡める。さらさらと心地の良い細くしなやかなこれはローの気に入りの一つで、汗をかいたからか、シャワーを浴びて乾かさないまま寝たからか、少ししっとりしている。それでもほのかに香るシャンプーの香料と、本人を象徴する煙草の匂いが混ざってローをたまらない気持ちにさせる。
夜な夜な泣かせ、朝まで腕に閉じ込め、あどけなく眠る顔を眺め目を覚ます。こんなことは初めてだ。
「ん
…
?」
そう、初めてだったのだ。これまで長い付き合いをしていたが、こうやって朝を迎えるのは。
「黒足屋
…
!?」
「んん
…
」
ローの緊張が伝わったかのように腕の中の身体が身じろぎし、その瞳がうっすらと開かれる。これもまたローの気に入りの、深い海のような青。
二人が恋仲であることもリア充であることも紛れもない事実だが、島に取った宿で二人で朝を迎えたことはなかったのだ。ただの一度も。
「
…
はよ
…
あー
…
寝てた。コーヒー淹れようか?」
「いや、それはいいがお前
…
」
「ん?」
「寝てたのか?」
本人がついさっき言ったばかりだが、ローは改めて聞いた。寝ていたからここにいるのだが。これまでサンジがローの腕の中で起きることがなかったのだ。悲しいことに。間抜けな質問にサンジが気を悪くすることもなく、ふわりと気恥ずかしいようなとろけた顔で答える。
「だって起きる必要ねぇもん」
「愛が!足りないのでは!ないのだろうか!?」
そう恋人に言われたのはつい先日のことだ。言われたローは当然顔をしかめる。愛なら充分すぎる程あったし、隠しもしなかったし、存分に放出していたはずだ。言われたことが不本意すぎて、身に覚えがなさすぎて、隈のせいで凶悪な顔を歪めて次の言葉を待つ。
その空気に臆することなくサンジは声を上げる。
「会う度にすーぐ宿に連れ込んで、人の身体好き勝手してるだろ、その、別に、嫌じゃないけど、そうじゃなくて
…
」
「嫌じゃないならいいじゃねェか」
「
…
いいけど
…
」
はいこの話終わり。もう抱える勢いで宿に入ろうとするローをまた恋人が止めた。なんだってんだ。せっかく会えたんだから、ひっつきたいに決まってる。リア充なんだから。
「いいけど、いくない!なんか、身体だけみたいで、いやだ」
「あァ?」
基本的にハリケーン恋愛気質なサンジなので、恋人とひっついていやらしいことをするのは大好きなのだ。偶にしか会えない分仕打ちがちょっとしつこくなってしまうのは許して欲しい。いや、許してくれているからこそ、最後にはどろどろになって目にハートを飛ばしている、と思っている。
「俺、心配になるんだよ、勿論身体だけでも、いいんだけど
…
」
身体だけだなどと思ったことはない。しかし逢瀬の度に速攻宿に連れ込んでいるからあまり説得力はないのかもしれない。
恋人といて、一番深く味わえる方法をどうしてもとってしまう。いくら抱いても足りないのだ。次はいつ会えるか分からない、いつまで愛し合えるかも分からない。ずっと中にいたい。
曰くサンジはもっといろんなことをしたいのだそうだ。この島は市場も大きく食材も豊富で、それを見て回りたい。ローと。勿論ローも島に着いたら服を買ったり刀の手入れなどをする。それを一緒にしたいと言ってきた。
ローはまず焦がれていた恋人を目の前に自分のものであるという実感が得たい。島についた時の各々の買い物は、ある程度それを思い知って満足してからが常だった。それでも離れ難いのだが、島でそれぞれがしたいことは異なるし、しなくてはいけないことだから仕方ないと思っていた。それぞれのすべきことは同時に行えば、二人の時間が増えると。そうとしか思っていなかった。
「
…………
一緒に
…
?」
「お前、ひょっとしなくても馬鹿だろ
…
」
ローはサンジが料理をする様を見るのが好きだった。美しい手が手際よく、色とりどりの料理を生み出すのは魔法のようだったし、嬉しそうな表情もいつもより生き生きとしていた。サンジがその魔法を使う為の食材を吟味する様を見るのもきっと楽しいだろう。
「宴の準備、あるだろ。しっかり万全な状態で買い物してぇんだよ。用事終わらせたら存分に”お楽しみ”できるだろ?」
いつもは先にセックスをするから、体力の温存を図りたいのかあんまりひでぇのは嫌だとかこれ以上は止めてとか言ってくる。ほんのり(本気ではないに決まっているので)嫌がっている様子にも興奮するし少し意地悪したくなってしまうから困りものだ。それもサンジを不安にさせる原因になっているのだろうか。
「買い物に付き合ったら俺の愛を信じてくれるのか?」
「あー
…
疑ってるわけじゃねぇけど
…
いや、ローがしてぇならそりゃ俺だって
…
」
むしろ欲しがってもらえるのが嬉しい、とか言い出すから速攻宿に踏み込みたくなる。お預け食らわせてる恋人の前でよくそんなこと言えるものだと感心する。愛情を疑うような発言は後悔しているようで、早速自らのお願いを撤回しようとしている。
心を隠してしまうサンジにこんなことを言わせているのだ、少なからず不安に思っているのだろう。
「俺の用事にも付き合ってくれるか?」
「い、いいのか
…
?」
「駄目な理由がない」
それを伝えた時のサンジの顔ときたら。やっぱり撤回したくなったが、理性を総動員して踏ん張る。日頃から仕事量は多い恋人だが、2海賊団分の宴の準備というのはかなりの負担だろう。恋人は独占したいし、恋人の料理も食べたいし、恋人に喜んでももらいたいのだ。荷物持ちでもしてやればいいのか。そんなことで喜んでもらえるならたやすいことだ。
というわけでいつもと順番の違う逢瀬であり、実は初めてサンジの買い物に付き合ったが、経験したことのない高揚感を得た。
荷物持ちをするつもりで挑んだが、何分量が多すぎて基本的に後で船に運んでもらうよう頼むのだという。その為手持ちのものが少量だけだった。そこはどうでもいい。
「なぁ、ロー、これすげぇなぁ
…
高いけど、高いけど
…
ナミさんに頼み込んで、いや
…
うーん
…
」
「ローこれな、腸を取っておいて後で漬けるんだ。クソうめぇから楽しみにしてろよ」
「ロー、はい、あーん。この味好きだろ?へへ、やっぱり!6つ買おうかなぁ
…
」
眩暈するくらい楽しい。こんなことをでかい男二人でしていたら目立つことこの上ないがどうでもいい。ちなみに支払いは全てローだったが、この時間を考えたら安いものだった。上乗せしてチップを出したいくらいだった。
支払いだけ済ませて店の外で待つローの前に荷物を持ちやってきて、上目遣いではにかむ、こんな可愛い生き物を見たことがない。これを普段他のクルーとしているのだったら大問題なのでそこははっきりとさせておかねばならない。それを聞いたら「レディとならむしろしたいが他の野郎とするかよ!」と怒られてしまったが、あのモフモフの船医とだったら許す。見たい。
こんなにも楽しい買い物の後に自分の刀の手入れなんてつまらないものに付き合わせるのは申し訳ない。照れ隠しだが、その代わりローの用にも付き合えと言った手前連れて行かないと納得しないだろう。賑わう食材売り場からは少し外れた、客も少ない静かな店がある。日用品売り場のように人がいないのは当然のことで、ごく自然なことだ。サンジは店の中までついて来て、ローが店主と話しているのを静かに見ていた。
「待たせた。悪かったな」
「いや、いいもん見れた」
顔を赤くしてにっと笑う顔にこちらまで照れてしまう。買い物に効率しか求めたことがなかったローはここでも大いに価値観を狂わされた。
用事も終え陽が傾きかけた頃、ようやく二人で宿に入る。サンジは鼻歌を歌う程に機嫌も良く、付き合って良かったとしみじみ思う。不安になっているというのは大げさかもしれなかったが、ここまで喜ばれたら恋人冥利に尽き、ローもかつてない満足感を得た。
市場でいろいろつまみながら買い物した為そこまで空腹ではないが、軽くテイクアウトした食事を二人で食べ、シャワーを浴びベッドに腰掛けた途端、サンジからご褒美に口づけが与えられる。
「ローごめんな?つまんなかったろ?わがまま聞いてくれて嬉しかった」
全くつまらなくなかったし最高に楽しんだが、表情が硬くてバレていないならなによりだ。サンジから見ればお預けを喰らい機嫌を損ねていると思ったのかもしれない。自分の為に我慢してくれたことに少なからず喜び、申し訳ないと思ったのだろう。恋人に好きにしてくれていいと言われ、暴走しない男がいたら御目にかかりたい。その日は遅くまでその身体を離してやることができなかった。
散々泣かせた後も朝起きたらその姿はなかったのだ。いつもなら、恋人には島に着いたら食糧の確保という重大すぎる仕事がある為、どうしてもはずせない。そのせいで二人の時間が削られるのだから、ギリギリまで身体を求めてしまうのも致し方ない。毎回少しだけ反省するのだが、後悔はしていなかった。今回その愚行を改めて後悔した。
先に仕事を終えさせておけば、今でもこうして気の緩んだ姿で腕の中にいるだなんて知らなかったのだ。
「やっぱりお前、馬鹿なんだなァ
…
」
しみじみとそう言われてしまうが、ローはそれどころではない。
昨日のセックスだってサンジはちっとも嫌がらなかったし、反対に積極的にあれやこれやしてくれたし、ちょっと無理な体勢もしたし、一杯喘いでいたし、一杯求められたし、まどろんでその後また一回したし、一杯奉仕してくれた。
「だってローとすんの好きだし
…
なぁコーヒー飲む?」
「ローとデートできたの嬉しかったなぁ。俺の彼氏格好いいだろっていっぱい見せびらかしてやった。腕組みたかったけどさすがになぁ」
「そんで刀見てる時の顔クソ格好いいドキドキした」
「畜生
…
朝からそんな可愛いこと言うな誘ってんのか」
「ええ?うーん。まだ時間あるからいいぜ?」
タフな恋人は朝からご機嫌だった。
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