三毛田
2025-06-02 22:22:42
1089文字
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11 011. 隣にいるのに

11日目
君は意識を向けてくれない

 こんなにも近いのに。ずっと隣にいるのに。
 まるで気づいているけれど、気づいていないふりをしているかのようで。
 初めからいないものとして扱ってくれるのならば、こちらも諦めがつく。
 けれど、存在しているのをわかっていて無視されると、結構傷つくんだけど。
「なあ」
「どうした」
「構って欲しいって言ったら……駄目?」
「あと少しだ。我慢しろ」
「はーい」
 そう言われてしまえば、我慢するしかなくて。
「よし」
 多分一システム時間は待った。
 邪魔しなかったのは、偉いぞ俺。
「今日のノルマは終えた。これからは、お前の好きにしていいぞ。穹」
 そんなことを言われたら、あんなことやこんなことをしてしまいそうだ。
 でも、それは妄想の中に閉じ込めておく。
「俺を持たせたんだから、ぎゅーってして」
「ほら」
 腕を広げたので、そこに飛び込んで抱きしめてもらう。
 ほんのり漂う、潮の匂い。多分海の匂いとも。
 しばらく抱きしめ合い、体温を分かち合う。
「好き」
「俺も好きだ」
「大好き」
「ああ」
「キスしても?」
「どうぞ」
 そっと唇を重ね合わせ、待たされた分の愛を味わい。
「こら」
「でっ」
 首元のチャックを下げてたら、デコピンされてしまった。
「俺、我慢したんだよ?」
「それでも、これから食事だ」
「ぶー」
 ついでに頬も軽く引っ張られた。
 いつもは俺に甘いけれど、こういう時だけは、厳しい。でも、好き!
 先にお風呂に入った方がいいというので、ご飯の前にお風呂。
 それから、ご飯を食べに行く。
「そろそろ、いい?」
 ご飯を食べ終え、リラックスしてだんだん眠くなってきた頃。
 ベッドでうつらうつらし始めた丹恒の胸に手を当てる。
「ああ、いいぞ」
 ふにゃふにゃ笑いながら、シャツを脱ぐ。
「いい子の穹に、ご褒美だな」
「ふふふ~! ありがとう」
 シャツの裾に手を抱えつつ、キスを交わし。
 我慢したご褒美をもらったのだった。
「隣にいるけど、見てもらえない、意識してもらえないのは辛い」
「すまない」
「ううん。結局、俺の我が儘だから」
 胸に頬を寄せると、ゆっくりと沈んでいくような感覚。
「丹恒が気に病むことじゃないよ」
「だが」
「丹恒と一緒にいたいっていうだけの我が儘。報われなくなって、それならそれでいい」
……
 唇を強く噛んでいるので、そっと指で撫でる。
「穹」
「俺がお前を好きだから、ちょっと寂しいなって思っちゃったんだ」
「なるべくお前に寂しい思いをさせないようにしよう」
「うん。でも、ほどほどでいい」
「そう、か」