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ゆうひです
2025-06-01 17:28:57
1313文字
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小説
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★風∞降 セレクト
小説。つきあってる二人の事前ネタ。降谷さんが弱ってて素直。左右は特に決めてないです
ローズとハーブと、わずかにスパイスのニュアンス。女性的なラストノートが抱きしめた人の肩に残っていた。
「何か女の人っぽい香水の香りがしますね」
風見の腕の中で、降谷は一瞬体をこわばらせた。
「悪い、気が利かなかったな。さっきまで任務上関わりのある人物と行動を共にしていた」
──あの女、香水をつけすぎだ。
潜入先の組織の女──ベルモットに心の中で悪態をつく。神経をはりつめる仕事のあとには、やはりそれなりにクールダウンの時間を取るべきだった。変に昂ったまま風見を呼び出すのではなかったと降谷は後悔した。
「妬いたか?」
「いえ、別に
……
。いい香りだなと、その人に伝えておいてください」
風見は降谷の肩口に鼻を埋め、くんくんとその匂いを確認していた。降谷は自分を抱く風見を押しのける。
「シャワーを浴びてくる」
服を雑に脱ぎ捨てて、風呂場のドアを乱暴に閉めた。シャワーの音で外界を遮断する。
風見の態度が気に入らない。気に入らないが、本来、組織の仕事のすぐあとに人に会うなんてその相手を危険に晒す行為で、それなのに「少しでも早く会いたい」なんて思ってしまった。数時間前に降谷はたくさんの死体を見た──その状況を阻止できなかったことで、今日の降谷は自分に怒りと落胆を感じて揺れていた。ベルモットと解散してすぐ、風見に中心地から程よく離れたシティホテルに部屋を取らせて合流して、やっと落ち着けると思ったら言われたのがあれだ。
降谷がシャワーを終えて部屋に戻ると、気分の晴れない降谷とは逆に風見は何かのほほんとした空気でベッドに腰掛けていた。
「顔が弛んでるぞ」
え、そうですか? と風見は自分の顔に手を当てる。
「ホテルを取るのは、長く一緒にいられるときなので」
そう言われて、降谷は気が抜けた。
「そうだよ。癒されたくて、君に」
「そう素直に言われると怖いんですが」
失礼な言葉は聞かなかったことにして、降谷は腰にバスタオルを巻いただけの姿で風見の隣に座る。目が合ったのでキスをした。降谷は湿ったままの体で風見を抱きしめ、ベッドに倒れ込む。風見のシャツのボタンを一つずつゆっくり外していく。
風見は降谷の背中を優しく撫でる。風見の呼吸と体温を感じるほどに、降谷の中に蓄積された毒気が抜けていく感覚があった。
「降谷さんは、ぼくから女物の香水の匂いがしたらどうしますか」
風見の質問に手を止めて少し考える。
「何か理由があることは承知の上で、本当はただ嫉妬しているだけなのに、『他人の気配を消さずにいるなんて公安として不用意だ』と説教してしまうかもな」
「そんなあ」
風見は眉をハの字にして情けない声を出す。
「むしろ君は物分かりが良すぎないか」
そう言われた風見は少し目を泳がせ、それから迷うように眼鏡を外し、サイドテーブルに畳んで置いた。
「ぼくは
……
降谷さんはああいう香水が似合う人ではなく──ぼくを選んでセックスをするんだ、今日これから
……
と思ってむしろ興奮してましたから」
思わぬ告白に降谷は目を見開いた。
「そうだよ」
降谷が風見の鎖骨にキスを落とすと、自分と同じ石鹸の香りがした。
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