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ぽふむん
2025-05-31 23:50:00
1398文字
Public
ワンドロ
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再生の木の実
#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
お題「再生」をお借りして
鬼飼いif
微ホラーです。ザクロを食べているだけですが
ザクロは人肉の味がするとか、「再生」と多産の象徴と言いますよね。
アイデア元は昔のニチアサ「トッキュウジャー」ちまどまと二十歳で鬼にしてもらうまで……そもそも「存在しない記憶」だから思い出さないという事もあるのかな……と思いまして
湿った何かを啜り上げむしゃぶるような音がする。
薄暗くジメジメした石牢だから、尚更不気味に響き渡る。
グジュ、ぐちゃ、がっ
……
ふぅ
……
がじゅ
時折吐息もまじる。
「ああ、食いしん坊ですねぇ
……
そんなにがっつかないでくださいな」
しのぶは天女のような微笑みを浮かべた。
その視線の先には、特別な鉱石で打たれた首輪に繋がれた、白橡の長髪の男が居る。
口の周りは果汁でべったり汚れている。
かなりの美青年なのに台無しだ。
周りには、特別な方法で長期保存された柘榴。
柘榴を貪り食っている。
周りには血のように赤い果汁が広がっている。
本来果肉のみ食す物を、皮までむしゃむしゃと。
人にとっては柘榴の皮は毒だ。
それを大量に、皮ごと食べて平気という事は
……
この男、人ではない。
しのぶは鬼を飼っている。
人を食わない事を条件に。
今はしのぶ特製の薬で少量の血のみで生きられる。
上弦の弐としての力もそのままだ。
でも、時に人肉の味が恋しくなるのだろう。
人肉の味と称される柘榴を与えてみたら、病みつきになってしまった。
大して美味しいものでは無いというのに
意地汚い鬼だこと。
そうしのぶは思う。
「はぁ
……
だって、久しぶりの人肉の味だもの。女の味だもの」
鬼のその言葉にぎゅっと息が詰まる。
胃酸が込み上げ胸が焼ける。
「新鮮なものには劣るけどね。
この種子もプチプチしていいね。人だった時はししゃもをアテに酒を飲むのも好きだったなぁ。子持ちししゃもがあると最高だった」
女を好んで食していた鬼
育てられもしないのに、男に遊ばれた末孕んだ 未婚女。
堕胎、子返しをしようとしていた娼婦などは特に好んで食していた。
唾棄すべき罪を背負った女たち。
でも、誰もが好んでそうしていた訳ではなかろうに。
やはり
……
こんな鬼を飼うだなんて
吐き気がする。
産屋敷本家の指示でなければ、今すぐにでも殺めたい。
「生まれてきたかったろうにね。大人になりたかったろうにね。産みたかったろうにね」
だから俺とひとつになって、また
産み直し
血鬼術にする
てあげるんだ。
そう言う鬼の目が見開かれる。
目の前の鬼の姿が揺らぐ。
『この姿になるな』と言いたいが、本物の人肉を食していないから、時として鬼の力が揺らぐ。
いたし方ないこと。
鬼になることで、得たかった力を得るものがいる。
なりたかった姿になる者がいる。
この鬼は人として死にかけ、鬼にされることでなりたかった姿になった。
臨終に瀕していた身体は、鬼舞辻の血を受け成長し
二十歳に育ったところで成長を止めた。
心は子供のまま、鬼の血で身体だけ二十歳になった。
まだ未熟な身体で飲酒を覚えたらどうなるか未知数だと言うのに与えられていた。
子供なのに、大人の身勝手で大人の振る舞いをさせられ続けていた少年は息絶えた。
身体だけ偽りの姿で彷徨い続ける鬼が居る。
しのぶの目の前には、まだ
神の内
8つか九つ
と言われる年頃の少年
いや、幼児がいる。
ぶかぶかの着物を引きずっているのも気にせずに柘榴を貪り食っている幼児。
首輪が痛々しい。
お願い、その姿にならないで
しのぶは叫びたいが、声にならない。
鬼の子が無邪気にあどけなく、ニカッと笑う。
「大人なら、もう少しうまくたちまわれただろうにね」
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