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きなこ
2025-05-26 00:29:33
1736文字
Public
スビボク
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【スビボク】キスのお題
お題ガチャで出たのを書いてみたよ。
一応注意事項としては、一方通行三角関係。ただし、ボクオーンから矢印が出ている相手の名前は特に明言していません。
お題↓
ボクのことを離さないと決めた日、スビは強く強くボクを抱きしめてキスをする。もう何処にも行かせない、と歪んだ感情がスビの頭を支配していく。
#お題ガチャ
https://odaibako.net/gacha/21387
月明かりが下界を照らす。
その銀色の光が、彼の輪郭をそっと縁取っていた。淡く浮かび上がるその姿があまりにも儚げで、闇に溶けてしまいそうだと、スービエは思った。
仲間達は焚き火を囲んで談笑をしている。
そこから離れた森の木々の間、闇に紛れるように、彼は
――
ボクオーンは立っていた。
木の葉の隙間から漏れる月光が、ボクオーンの姿を朧げに照らす。
その視線の先には、彼が想いを寄せる男の姿があるのだろう。遠いから表情も見えないだろうに、直向きに見つめて。
普段は凛とした表情のボクオーンだが、今は無防備な表情を晒していた。
その瞳に浮かぶのは諦念だ。
スービエは知っていた。ボクオーンが密かに想いを寄せる相手がいて、その人の視線はボクオーンには向いていないことを。そして長い片想いにボクオーンの心が疲弊して、擦り切れそうなことも。
そんな彼に思いを寄せて、ずっと見てきたから
――
。
風にかき消されそうなほどに儚いその姿を見ていたら、捕まえて離したくない
――
そんな欲に、駆られてしまった。
一歩踏み出すと、草を踏む微かな音が、静寂が支配するこの場で大きく響いた。
ボクオーンは肩を震わせ、振り返る。
警戒を含んだ険しい瞳を向けられた。
スービエは無抵抗を表すように、両手を肩の高さに上げる。
「よぉ。こんなところで何してんだ? 月にでも帰るのか、お姫様」
からかい混じりに問いかける。ボクオーンはぱちりと大きく瞬きをして、苦笑を浮かべた。
「薪木を集めに来たんです。そう言うあなたこそ、どうしてここに?」
手が届くほど近寄って、スービエは軽薄な笑みを浮かべた。
「お前が暗がりに歩いていくのが見えたから、後を追ってきた」
正直に答えると、ボクオーンの口元が微かに震えた。瞳にスービエの腹を探ろうとする色が帯びる。だがスービエは笑顔のまま、怯えさせないようにゆっくりと手を伸ばした。
指先でそっと頬をなぞると、青白い肌は月明かりの冷たさを宿していた。
ボクオーンは戸惑うように瞳を揺らして、だがどうして良いのか判断つかないようで、スービエをただ見上げていた。
「お前の気持ちは気付いてるよ。最近随分としんどそうじゃん?」
ボクオーンが息を呑み、瞳に鋭い光が宿る。
彼の頬を撫でていたスービエの手を振り払い、踵を返して立ち去ろうとした。
スービエは手を伸ばし、ボクオーンを背中から強く抱きしめた。
「何を
……
っ!」
「忘れさせてやろうか?」
耳元でそっと囁くと、ボクオーンは身を強張らせた。
スービエは抱きしめる腕を強めながら、彼の髪に頬を寄せた。
ボクオーンは反応をしない。
受け入れてはくれないが、逆に跳ね退けられるわけでもない。ボクオーンには迷いがあるのだろう。
「俺に身を委ねちまえよ」
スービエは彼の体の向きを変えて、唇を重ねた。
ボクオーンの肩が揺れる。
文句を言おうとしたのか、開いたボクオーンの唇に舌を滑り込ませて、絡めた。
抵抗しようと、ボクオーンの白い指がスービエの襟を掴んだ。
スービエは抱きしめる腕に力を込めた。抵抗を封じるように。
熱を交換するように、口付けをより一層深めた。
しばらくして口を離す。
ボクオーンは呼吸を乱しながら、スービエを見上げた。責めるわけでもなく、だからと言ってすがるわけでもない表情で。困ったように眉を寄せるだけ。
濡れた唇が月明かりを反射して、どこか無防備に見えた。その光景に、スービエの喉が鳴った。
彼を自分のものにしたい、と、その欲求が大きくなる。
籠に捕らえてもう何処にも行かせたくないと、そんな歪んだ感情が頭を支配していく。
「全部忘れさせてやる」
潤んだ金色の瞳に月が映る。希望を見出すようにキラキラと輝いて、スービエだけを見つめる。
ボクオーンは返事をしなかったが、その視線の奥には諦めでも覚悟でもない、何かの感情が灯った気がした。
スービエがもう一度唇を重ねた時。そっと、首に腕が回される。
それが答えなのだと、スービエは口元に薄く笑みを浮かべた。
ボクオーンの冷えた心を温もりで包むように。スービエは腕に力を込めた。
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