萌音
2025-05-25 08:27:30
1738文字
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魅惑のおしり

ネコレットさんと暮らしているリオセスリのお話。(現パロ)

「ヌヴィレットさん……それは無理だって。前にも言っただろう?」
俺はリビングへと続く扉の前で立ち往生している愛猫に声をかけた。ペットドアに閊えてしまったらしい愛猫――ヌヴィレットさんは、リビングと廊下を隔たるドアに取り付けたペットドアに頭を突っ込み、大変魅力的なお尻だけをこちら側へ向けていた。
ンナァァと、困っているような唸るような声を出しながら、ヌヴィレットさんはそれでも前に進もうと愛らしい後ろ足でフローリングを蹴る。
「閉じる閉じるって言ってそのままだった俺が悪いんだがな……いや、だから。それ以上は進めないんだ、ヌヴィレットさん」

仔猫の頃に引き取ったヌヴィレットさんは、それはそれは愛らしく、美しく、賢い猫だった。あまりの可愛らしさに俺が愛情を注ぎ込みすぎた結果、大変膨よかで魅力的なボディになってしまったのだ――が、これはこれで可愛いし、まろみを帯びたボディラインに美しく柔らかな銀の毛並みが映える。どんな姿でも、俺のヌヴィレットさんは超一級に愛らしい。
――いや、今はその話ではなかった。
ヌヴィレットさんをお迎えするにあたり、テンションが上がって取り付けたペットドアは、今や無用の長物と成り果てている。うっかり、華奢だった頃のサイズで取り付けてしまったペットドアは、今の豊満なヌヴィレットさんには合わず、とてもじゃないが通れなかった。それでも時折、こうしてペットドアを通ろうとして、閊えてしまっている。恐らく、仔猫の頃にこのペットドアを通ったヌヴィレットさんを褒めちぎったことを、今も覚えているのだろう。少し前にリビングに居る際にペットドアに閊えたヌヴィレットさんと対面した時は、どこか誇らしげな顔でこちらを見ていた。

「お、そうだぞ。そのまま後ろに来られるかい?」
これ以上前には進めないと理解したらしいヌヴィレットさんは、今度は後退しようと後ろ足を少しずつ後ろに動かしはじめる。猫の後退りは珍しいと聞くが、この光景を何度か見ている俺は、余程レアケースなのだろうか。
早くこのペットドアを閉じて今のヌヴィレットさんに合わせたサイズのものを取り付けようとは思うのだが、その身で持って体験し通れないとわかっている今でも、俺に褒められようとしてペットドアを通ろうとするヌヴィレットさんがいじらしくて愛おしくて、行動に移せずにいる。
――それに、だ。
後退りをしようと身体を捩るヌヴィレットさんを見る。足の動きに合わせ、まんまるで膨よかな、大変魅力的なお尻が左右に揺れる。合わせてふさふさの尻尾もゆらゆらと揺れた。
……っ、ごめん! ヌヴィレットさん!」
「ニ゛ャッ⁉︎」
俺は辛抱たまらず、そのふわふわでまんまるなお尻に顔を突っ込んだ。突然の衝撃に、ヌヴィレットさんは普段の鈴を転がしたような愛らしく澄んだ声ではなく、濁点が付いた、絞り出すような声をあげる。そんなヌヴィレットさんを他所に、短く息を吐くと鼻から目一杯空気を取り込み、ヌヴィレットさんを吸った。
「はー、最高……
俺がなんだかんだとペットドアを付け替えられない理由――それは、こうしてドアに閊えたヌヴィレットさんのお尻がとんでもなく魅力的で、このふわふわもふもふのお尻に顔を埋めてヌヴィレットさんを吸うのが堪らなく癒されるからだ。
抵抗するように唸り声をあげ続けるヌヴィレットさんに、ごめんな、と思いながらもヌヴィ吸いを止めることはできない。俺の都合で本当に申し訳ないとは思うが、ペットドアに閊えることで形の良いお尻が更に強調されるのだ。これは吸わない訳にはいかない。
「あー……このままずっと吸っていたい……ヌヴィレットさん、もしや俺を駄目にするフェロモンでも出してるんじゃないかい?」
抗議するようにパシパシと尻尾で頭を叩かれるのも、また良い。ただ、こうしてお尻に顔を埋めてヌヴィレットさんを吸った後は、しばらくご機嫌斜めになってしまうのが難点だ。当然と言えば当然ではあるが。
――あとで高級ミネラルウォーターと液状おやつを差し出すとしよう。これがヌヴィレットさんをますます膨よかにしているということに気付いてはいるが、あと少しだけ、と思いながら俺はまたヌヴィレットさんを吸った。