Maisie_Lyju
2025-05-24 14:10:35
7926文字
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異世界転生ヒカセンは逆ハーを目指さない②

乙女ゲームの世界に転生しちゃった光の戦士(脳筋ララフェル)は逆ハーなんて興味ないので全力でアゼム(悪役令嬢)とエメトセルク(王子ってか魔王)をくっつけます!

1:光の戦士、(ある意味)無双する

 
 こうしてオリヴィア・ブライトこと、ワタクシ、ヒカリリ・ヒカセンは、美しく分割した上腕二頭筋や大腿四頭筋、無骨な筋の入った腹筋をやけに派手な制服(胴セネシャルプリンスジャケット。染色2:スノーホワイト)で隠し、星の首都、アーモロートにある惑星アーテリスの最高学府アナイダ・アカデミアの高等部1年生へと編入したのである。
 星の首都アーモロートは、壮麗な高層建物が並び立ち、なのに閉塞感は全くなく、遥かな蒼天から届く日差しや風は、淀み無く街を包む。その中心部に程近い場所にあるアナイダ・アカデミアは、複数の高層の建物に囲まれながらも、ゆったりとし緑溢れるエントランスや広場を有している。アカデミアの案内によると、建物内には植物園や水族館のごとき区画もあるらしい。
 いやー、海底のアーモロートと形は同じだけど、だいぶ趣が違うね、こりゃ。なんていうか、光に溢れてるんだよね。
 同じ制服を着た生徒たちに紛れ、門をくぐる。
 キョロキョロと辺りを見ながら長いエントランススロープを歩き、建物に向かっていた。
 いや、さっすが星の首都。イケメン美女だらけじゃん。あの、白髪ヴィエラ顔の一人だけ白い制服着た男の子と隣の赤髪の男の子も、あのガイアとおんなじ髪型の子と仲良さげなボーイッシュ女の子も。
 と、思って見ているうちに、
 その人達を、みつけた……
 いや! そうだよ! 惑星アーテリスに、首都アーモロート、学園名はアナイダ・アカデミアなんだから、こうなることは予想できたはずで!
 なのに、なんでか、今の今までそんなこと考えもしなかった!
 そうか、ここは、分割されなかった惑星ハイデリンの並行世界ってやつなんだ。並行世界、ちゃんとその概念も知ってる。元となる世界と並行して存在するから、その二つは別世界でありながらとてもよく似ているのだ。アラガントームストーン幻想で見たし、ロウェナがまだ目をつけてないから溜め込んであるアラガントームストーン量子でも見た。
 そこにいたのは……
「エメトセルク!! ヒュトロダエウス!!」
 エメトセルク、見間違えるはずもない、その金色の瞳と白銀の髪。相変わらず眉間に皺をつくって、私とおなじデザインだけど、袖とかマントは赤い制服を着ている。
 ヒュトロダエウス、柔らかく結ったラベンダー色の三つ編みに、同じ色の瞳で、どこか懐かしさすら感じる雰囲気でエメトセルクの横に立っている。ヒュトロダエウスの方は、制服のマントは私と同じ白だ。
 思わず声を上げた私に、エメトセルクはこちらに視線を向けた後、心底嫌そうな顔をして目を逸らした。
 わかる! わかるよエメトセルク、今あんた「めんどうそうだ、関わらないに限る」って思ってるでしょ! お見通しだ!
 ヒュトロダエウスの方は足を止めてこちらを向いた。
「ねぇ、キミ、あの子知り合い? ワタシは見たことない子なんだけど」
……知らない。私は何も、知らない」
「そんなわけないでしょ。あの子アゼムの色にすごく似てる。アゼムの妹かな?」
 ほう、つまり、この世界にはアゼムもいるわけか。もしかして古代では終ぞお目にかかれなかったアゼムに会えると! いいねぇ。アゼムはどうも私の前世らしい。いや、オリヴィアの前世はヒカセンだから前前前世か。
「だとしたら、もっと話題になっているだろう。だいたい、あれと同じような人間が二人といてたまるか」
「ふふ。おっしゃる通りで」
 私はそう言って話す二人にズカズカと近付く。あー、ララフェル時代はずいぶん見上げたもんだけど、ヒューラン体型いいわー。目線、近い!
「エメトセルク、ヒュトロダエウス、きみたちは私のことを知らないだろうけど、私はきみたちにとても深い親愛を抱いてる者だ。同じ学園の生徒として、仲良くしてほしい」
 胸に手を当て柔らかな表情を心がけて言った私に、エメトセルクとヒュトロダエウスはキョトンとしている。
 そして、何故か周囲の人々がギョっと立ち止まりその様子にヒソヒソ言っている。
 なんだ? いや、まぁおかしなことを言っている自覚はあるが、転生者なので許してほしい。
 耳をそばだてると、こんなことを言っていた。
「つっよ……エメトセルク様とヒュトロダエウス様にあの物言いって……
「すげーな……ヒュトロダエウスはともかく、ハーデスに初対面で話しかけるとか……
 あん? なんだ、エメトセルクとヒュトロダエウスはこの世界でもエライさんなのか。制服着てるから、同じ学生の身分かと思ったけど。
「この子……アレじゃないかな、ほら、編入生の」
 周囲の反応にキョロキョロする私を見て、ヒュトロダエウスがそうエメトセルクに耳打ちした。
「ああ、特別編入生の、オリヴィア・ブライトか……
 そうそう、それそれ。エメトセルクの言葉にコクコク頷いてやる。
「あ、でもヒカ……んん。リヴィって呼んでくれていいよ」
 言いながら、プロピュライオンでヒカリと名乗ったときのことを思い出す。あのときヒュトロダエウスが言ったよね、「ワタシもそう呼ばせてもらうとするよ」って。結局、キミとかうっすら使い魔もどきって呼ばれることの方が多くて、ヒカリと呼ばれたのは数えるほどだったなーとか思いながら。
 でもそうしてると、また周囲がざわついた。
「エメトセルク様に、愛称を呼ばせようとしてる?!」
「一体……何様なんだ……
 え、転生者様です。すいません。そんな変なことしてるかな?
 オリヴィア・ブライトの記憶もある私はこの世界の一般常識もちゃんとある。この世界には異世界転生モノによくあった、貴族とか王族とかそんなのはない。共和政をとっており、都市国家が乱立するエオルゼアより少し進歩した世界だ。星一個を丸ごと一つの政府が運営してるから、戦争とかは起こり得なくて、ただひたすらに星の文化と文明の発展に勤しんでいる。
 この学園は、世界中から優秀な人材のみが集められ、ゆくゆくは創世に携わる人材を育成するのが目的だ。無事卒業できた者は、すべからく星の運営を担う機関に就職する。カピトル議事堂に集う議員もその一つ。彼らは政府として星の運営の頂点にいる。だけど、議員に関わらず職業に世襲はないし、力や能力を誇示することはヨシとされないので、同じ制服を着た学生に貴賎はないはずなのだけど……。オリヴィア・ブライトは田舎出身の中途編入生なので、アーモロートには知らない常識も多々あるのだろうか。
 そこへあのガイアと同じ髪型の女の子とボーイッシュな女の子がやって来た。よく見れば、二人もエメトセルクと同じ赤いマントをつけてる。
 赤い……。ん? あか。赤い……仮面……前世の世界では、十四人委員会のメンバーだけは赤い仮面をつけていて、他はみんな白い仮面で……
 見渡せば、私やヒュトロダエウスを含め、他の学生たちはみんな白いマントをつけている。あのヴィエラ顔の男の子だけは、白い制服に赤いマント……
「何の騒ぎなの、エメトセルク」
 ガイア髪の、いや顔もガイアに雰囲気が似てる気がする。ガイアよりシュっとしてるけど。その子が声を上げて、
「ガイア?!」
 思わず言ってしまった。だって、声までガイアだったし、もうこれは間違いなくガイアだ。
 ガイアは眉を顰めた。隣のボーイッシュな女の子からは何故か殺意でもこもってそうな睨みを寄越されている。
……アンタ、誰?」
 誰って言われてもなんて説明していいのやら、あたふたしていると、周囲がまたまたざわついた。
「次はアログリフのこと、本名呼びだぞ……
「まじか、アログリフはミトロン以外に本名呼ばせないのにな……
 え、そうなの、それは知らんかった。うん? ちょまてよ、この、ガイアにぴったり寄り添ってるボーイッシュな女の子……ガイアがアログリフってことは、
「え、ちょま、え? もしかしてミトロン!? 女だったのか!」
「は?」
 ミトロン(仮)が怪訝な顔をする。
「ああ、いや、その、ミトロンといえばガイアの騎士みたいなイメージが……だからなんか勝手に男性だとばかり……
「騎士……
 ミトロン(仮)、いや否定しないんだし(仮)はなくていいのか。ミトロンは何故か満更でもない顔をした。
「ミトロンは大事な友達なのよ。騎士って何よ」
 ガイアは不満そうだけど、ミトロンはその頭をぽんぽんする。
「別に、私はそう見えたって構わない」
「もう、ミトロンったら、私に甘すぎるのよ」
 そう言いつつガイアは満面の笑みだ。
 なるほど、色々理解してきた。
 つまり、この学園には十四人委員会がある、と。たぶん、異世界転生モノにある『生徒会』ってやつと同じような役割なんだろう。ふむふむ。生徒会ってやつは異世界転生モノだけじゃなく普通の学園モノでも絶大な権力を持ってた。それでエメトセルク「様」なわけなんだな。
 え? つまりラハブレアもそのうち生徒として登場する? え? あの「ふははは」とか言っちゃう爺さん声で学生? おい、会うの俄然楽しみなんだが。
 ニヤニヤしだした私に、十四人委員会様とヒュトロダエウスは困惑ぎみだ。
 私はコホンと一つ咳払いした。
「いや、混乱させたね。申し訳ない。きみたちの噂は遠い私の故郷でもよく聞いていてね。同じ学園に通うことになったのだから、仲良くしたいと思っていたんだ」
 うん、これで誤魔化そう。
 この後も知った人にたぶん色々出会うだろう。ヴェーネスもいるかな。こっちの世界のヴェーネスには何のことかわからないだろうけど、あの時魂まで消えてしまったヴェーネスは、終末を退けたことをたぶん知らない。それを、伝えたいな……
 なんて感傷的に思ってると、ヒュトロダエウスが苦笑いした。
「うん……、まぁ、彼らの場合はね? でもワタシの噂までキミの故郷に?」
 ん? そうか、この世界に創造物管理局はないし、ヒュトロダエウスは一般人なのかな。
 そのとき、
「お前……、同人誌を読んだな」
 エメトセルクが怒りを含んだ口調で言った。
 え、ええ?! た、たしかにアラガントームストーン同人は、私の主食ですが! この世界にもあるの?! 古代アラグの時代に、文筆を主業としない人たちが趣味として錬成し、自主出版した書物。商業出版物でないことをいいことに、作者の欲望と癖の集大成をなす、それがアラガントームストーン同人のはずで!
「ふふ。そういうことか」
「なるほどね……。もう、いいかげんうんざりだわ」
「くだらん。妄想物語りの我々と現実の我々を混同しないでいただきたい」
 ヒュトロダエウスとアロミトも納得している。
 え?。 つまり、この世界の同人活動は、私説を述べるものや、異世界転生無双モノやチートハーレムものや時間停止エロエロを錬成するものだけではなく……
「もしかしてこの世界の同人って、キミたちを題材にしてるの?!」
 ……いや、アラグの同人もそうだったのかもしれないけど、アラグの時代の有名人知らないし気付いてなかっただけってこと?! は……そういえば「おりじなる」っていう「たぐ」というやつがない作品は、何の事件も事故も起こらないけど、登場人物たちがドタバタギャクしてるだけ、とか、とにかくエッチするだけ、みたいな話がたくさんあったけど、それって、そういう……。こと、だったのか……
「なんだ、知らなかったのか」
 エメトセルクが眉間を緩めて言う。つまり、自分たちが題材になっていることを肯定していらっしゃるわけで。
 私は哀れみの目で彼らを順繰りに見た。
「それは……ご愁傷様だ」
 いや、私もいっぱしの英雄様だったから、しょっちゅう貴女を題材に物語りを書かせてくれとか、絵を描かせくれとか言われたわけよ。でもそうやって書かれるのはだいたいまともで……でも、同人、つまり権利許諾などなしで描かれるとなるとそうはいかないわけでしょ……。エオルゼアにもあったのかなそういう同人誌……。ありそう……。アイメリクとかメルウィヴ提督とか一大ジャンルなんじゃないかな……。もし私のもあったら、ナナモ様との百合百合しいやつとかってこと? い、いやむしろ、テレジア・デレジとのドスケベ調教系とか……。うぅ……胸焼けが……
 私の言葉にエメトセルクは大きくため息をついた。
「だから私はあれほど規制を設けろと言うんだ。実在の人物で夢小説や……b性描写のある漫画を描くなど……、本人の尊厳を蔑ろにしていると思わないのか」
 いや、ホントそう。めっちゃ可哀想。
「仕方ないじゃない。「エメトセルク」がどのエメトセルクを指してるかわからない以上、キミが肖像権の侵害を訴えることはできないって、パシュタロットが結論出しちゃったんだから。ハーデスだってさ、歴史を顧みれば幾人も同じ名の人がいるしね」
「はぁ。畏れいるわ。ただ一言「当代」をつけないだけで委員会の面々は全員餌食になるんだもの」
「ほんと、そうだよねー。銀髪金眼のエメトセルクなんて歴史上一人しかいないのに」
「その幼馴染みのヒュトロダエウスも、古今東西お前だけだ」
「そうなんだけど、ワタシはワタシの尊厳なんてこれっぽちも気にしていないから、訴える気なんて皆無だよ」
 わちゃわちゃ話す古代人sにほっこりしていると、ヒュトロダエウスがふいに鋭い目を向けて来た。
「だけど、ワタシたちをネタにした同人誌を読んだんじゃないなら、どうしてワタシのことまで知っていたのかな? ワタシを知っていて、ミトロンが女の子だって知らなかった。そんなこと、ある?」
 ヒュトロダエウスは口元は笑っているけど、笑ってない目で言う。
 エメトセルクも頷く。
「そうだ。ヒュトロダエウスの名は公式なものではない。官報に載るのは別の名だ。なのにお前は確かにはじめ、ヒュトロダエウス、と、そう言った」
 え? え? そうなの、ヒュトロダエウスって本名じゃないの?! みんなそう呼んでたじゃん、ヘルメスとかもさー。
※脚注 この光の戦士は宇宙の果てでゼノスと殴り合ったのちにこの世界にやって来ており、6.3で実装されたミニオンのフレーバーテキストを未開放となっています
「ええ〜えーと、それはですね……
 あー! なんて誤魔化そう! ヤバいヤバい! 頭おかしいと思われてもいいから転生者って言うべき?! あーでも転生って概念から説明しなきゃじゃん! この世界は星海と地上を魂が巡ってるっていう考えじゃないし、なんと言えば……
 うわー! もう知らん! 信頼を得るには真実を語る! これしかない! 私はそうして冒険者としてやってきたんだ!
「だって、はじめてアーモロートに辿り着いたときに、泡ヒュが色々教えてくれて、」
 そう言った途端に、エメトセルクもヒュトロダエウスもすん、と表情を元に戻した。
「なんだ、泡ヒュの仕業か」
「そっか、泡ヒュなら仕方ないね」
 え? なに? 泡ヒュトロダエウス、いるの? この世界。このエメトセルクもなんかセンチメンタルなってたの?
「なによ、アワヒュって」
 ガイアが尋ねたけど、ヒュトロダエウスはニコッと笑って話を変える。
「この子、害はなさそうだよ。なにより特別編入生だ。能力も相当高いはず。委員会としては、そばにおいて見ておいたほうがいいんじゃないかな」
「それは、そうだろうけど……
 ヒュトロダエウスが泡ヒュについて話したくないのを悟ったガイアは不満そうだ。 
 ま、泡ヒュはエメトセルクがぼんやり考えごとしてて産み出しちゃったヒュトロダエウスの幻影だもんね。この世界でどんな感じかはわかんないけど、ガイアたちにはあまり知られたくないんだろう。うん。
「そうそう。私は右も左もわからない編入生だからな! そばにいて新たな生活を見守ってほしい」
……もう、面倒だけど、仕方ないわね」
 ガイアは不満そうな顔をしたまま、頷く。ガイアはツンデレやしな。こんな顔してるけど、言うほど不満じゃないの、知ってるよ。
 そうしてウンウンと頷いていると、周囲がまたザワつきだした。
「え……? なんか馴染んじゃってない? あの方達に……
「うん。よくわからんが、なんか、すぽっと入り込んじゃった感」
「は?? 十四人委員会だぞ……。俺らにしたら雲の上の存在なのに」
 あ? そうなの? そういう感じ? いや、ごめんて、いくら転生者でも編入初日で学園の設定とかまでは知らんし。
 とかなんとか思っていると、さっきイケメンだなと思っていた、一人だけ白い制服を着たヴィエラ顔のわりに小柄な男の子が近付いてきた。
「やぁ、おはよう、みんな。なんだか盛り上がっているようだけど」
 柔和だけどミステリアスな声で男の子が言った。
 え。。。。
 こ、この声は………
「ああ、こいつは件の編入生の……
 エメトセルクが何か説明しようとしたが、私は叫び声でそれを掻き消してしまった。
「えええ!! エリディブス!!!! きみ、エリディブスなの?!」
 ※脚注 この光の戦士は宇宙の果てでゼノスと殴り合ったのちにこの世界にやって来ており、万魔殿パンデモニウムを未プレイとなっています。
「ああ。そうだけれど、君は……?」
 穏やかな目で尋ねかけるその子に私は思わず涙が滲んでしまった。
「うわーーーーん! よかったねぇえ! ほんとよかった」
「よかった……?」
 エリディブスは不思議そうに首を傾げるけど、その様子にすら私は涙がこぼれちゃってどうしようもない。
「彼女は? なんだかアゼムに雰囲気が似ているけれど」
 エリディブスは泣く私を宥めながらエメトセルク達に目を向けて尋ねる。
「アゼムとは無関係だ。ただまぁ、似たようなものだな。常人でないのは、見ての通りだ。これが件の異例の編入生というわけだ」
 エメトセルクの説明にエリディブスはふむと頷く。
「なるほどね」
 今の説明で何がわかったのかわからないが、エリディブスは何かを納得している。エメトセルク達への信頼の厚さを伺えるというものだ。
 私は服の袖でぐいぐい涙を拭ってから、エリディブスの手を取った。
「急に泣いちゃって驚かせたよね。でも私は、君が大好きな人達に囲まれている……それがとても嬉しい!」
「大好きな人」
「そうだよ。君は委員会の人達のことをとても大好きじゃないか! よかった……ほんと、よかった……ぐすぐす」
 元の世界のエリディブスは、最後の一人になってしまった。皆を好きだった、また皆んなで笑い合える日が来る、その想いで突き進んできたはずが、最後の一人になってしまった。そのエリディブスが、ここでは一人じゃない。これが泣かずにおられるか?!
「まったく……。泡ヒュはどこまで何を喋っているんだ……
 エメトセルクがボソっと呟く。
 エリディブスは私を見てエンジェルスマイルをした。
……なんだか君は私をとてもよく理解してくれているようだ。ありがとう。君の編入を心から歓迎するよ。仲良くしてくれると嬉しい」
 エリディブスのその言葉と共にまた周囲が大きくざわついた。
「初対面でエリディブスまで絆した……!」
「もう、訳がわからないよ! どんなコミュ強だよ!!」
「強すぎる……
 いや、強いもなにも、冒険者なんだからこんなの普通だよ。会話をしたが最期、みんな友達だよ。