すもも
2025-05-23 23:25:09
1462文字
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キスの日の音セシ

キスしてるだけ

 ふと目が合って、どちらからともなく唇を寄せた。
 目の前の綺麗な瞳は伏せられ、唇が重なると長い睫毛がふるりと震える。柔らかな感触を楽しむように唇を啄んでいると、誘うように薄く唇が開かれた。
 狭く熱いそこに舌を滑り込ませると待ち構えていたかのようにセシルの舌が絡みつき、強請るように舌先を吸われて身体の奥に熱が灯る。
 可愛いおねだりに応えるように舌を掬って甘噛みすると甘い吐息が零れ落ち、音也の熱を更に煽った。
 煽られるままに深く舌を差し入れて、セシルの口内を愛撫する。
「ん……っ」
 敏感な上顎や舌の付け根を舐るように擽りながら、後頭部に添えていた手を滑らせて耳朶に触れると、鼻にかかったような甘い声が音也の鼓膜を震わせる。
 そのまま指先で耳の形を確かめるようにゆっくりとなぞると、ぴくんと肩が跳ね上がる。
「ふ……ぁ、っ……
 潤む瞳、濡れた吐息、ほんのりと赤く色付いた頬。
 キスをしているだけなのにセシルの表情はどんどんと艶を帯び、その色香に音也の背筋がぞくりと震える。
 そっと耳を塞ぐように手のひらを被せて、今度はゆっくりと舌を絡め取った。
 ちゅく、ちゅく、と音を立てて何度も舌を吸い上げると、セシルの手が縋り付くように音也のシャツを握り締めた。そのいじらしい仕草が堪らなくて、音也の口付けが深くなる。
「ん、ん…………
 唇と唇の隙間がないほどぴたりと塞いで、セシルの口内を余すことなく舌でまさぐった。
 互いの唾液が混ざり合って口内を満たし、それを飲み下すセシルの喉の動きにすら興奮してしまう。
……は、ぁ……っ」
 何度もそうやって口付けてようやく解放されたセシルの唇は赤く濡れそぼり、垂れた銀糸が口の端から一筋伝い落ちる。
 親指で拭うように唇に触れると、セシルの瞳が音也をうっとりと見つめた。
「気持ちよさそうな顔してる」
 熱っぽい瞳に囁くと、セシルはとろりとした顔のままこくりと小さく頷いた。
「ん……きもちいい、です……だから、もっと」
 切なげな吐息を漏らし、セシルは音也の首に腕を回す。
「もっと、オトヤが欲しいです」
 息を奪うように唇を塞ぐ。
 丸く見開かれた瞳はすぐに嬉しそうに細められ、熱い舌が音也を迎える。
 全部が食べてしまいたいほどに可愛くて、セシルの身体を抱き寄せて貪るように口付けた。舌と舌を絡ませる湿った音が脳に直接響いてくるようで、熱が燻る身体を昂らせる。
「ん、…………ぅ、っ」
 甘い声さえも飲み込むように、角度を変えて口付けた。
 少し苦しげに吐息を零したセシルの手のひらが、音也の髪をくしゃりと乱す。その仕草にすら煽られて、音也は夢中でセシルの口内を愛撫した。
…………はぁ……オトヤ……
「ん……セシル……
 キスだけでこんなにも蕩けた顔をして、蜂蜜のように甘い声で名前を呼んでくれるなんて堪らない。
「可愛い……大好きだよ」
 キスの合間に囁くと、赤い頬を綻ばせたセシルがふにゃりと微笑んだ。
「ワタシもだいすきです」
 今度はセシルから唇が重ねられる。
 ちゅ、ちゅ、と音を立てて何度も吸い付いてくる唇を甘噛みしてぺろりと舐め上げる。
……ね、もっとキスしていい?」
「ふふ、どうぞ」
 嬉しそうに頷くセシルの頬に手を添えてまた唇を重ねる。
 今度はゆっくりと優しく。視線を絡ませ何度も啄むように口付けて、それからまた深く舌を絡ませる。
 飽きることなくキスを繰り返すふたりの時間は、甘くゆっくりと溶けていくのだった。